マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

フェルナンデスの母国キューバで絶大な人気を誇るイチロー

 マーリンズのエース右腕ホセ・フェルナンデス投手が、今季から同僚となったイチロー外野手の母国キューバでの絶大な人気を明かしている。米全国紙USAトゥデーが報じている。

 オフの一大補強でプレーオフ進出へ期待の集まるマーリンズには、北米スポーツ史上最高の年俸総額で契約延長したスラッガー、ジャンカルロ・スタントン外野手のような若きスーパースターもいる。だが、新加入の背番号51もここまで大きな注目を集めている。

 特集では、フロリダ州ジュピターでスプリングキャンプを行うイチローに地元メディアだけでなく、多数の日本人記者が取材を行うなど、その注目度の高さを伝えている。

 キャンプ中、米国内でもコンスタントにメディアに露出しているイチローについて、フェルナンデスは「すごくクールなことだよね。彼が何をしているか、みんなが知りたがっている。日本人は全員、彼がどんな様子か知りたいと思っているし、アメリカの人々も彼が何をしているか知りたがっているんだ」と語っているという。

フェルナンデス自身も2013年にナ・リーグ新人王に輝いたスター

 22歳のフェルナンデスもまたスターだ。2008年に家族とともにキューバから亡命し、2011年にドラフト1巡目(全体14位)でマーリンズに指名された。2013年にメジャーデビューし、150キロ台後半の速球と急激に落ちるカーブを武器に12勝6敗、防御率2.19、187奪三振と大活躍。いきなりオールスターに選出され、ナ・リーグ新人王に輝くと、サイ・ヤング賞投票でも3位に入った。

 当時、レイズを率いていた現カブスのジョン・マドン監督は対戦後に「おそらく私が今まで見た若手の中で最高の投手だ」と認めたという。それほどの逸材でもある。

 わずか1年でメジャーを代表する右腕となったフェルナンデスは右肘靭帯断裂で昨年5月に靭帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受けた。ただ、リハビリは順調に進んでおり、マイケル・ヒル強化責任者は6月か7月に公式戦で復帰する見通しであることを説明している。

 そんなフェルナンデスが親子ほど歳の離れたイチローについて意外な事実を明らかにしたことを、記事では紹介している。

「誰もが彼のことを愛している」「キューバではメジャーリーグで最も有名な存在」

キューバでは、彼は神のような存在なんだ。誰もが彼のことを愛しているね。しかも熱烈に。キューバの人々は彼のプレーについて称賛しているんだ。彼と同じチームの一員になれるなんて本当にアメイジングなことなんだ。彼はキューバではメジャーリーグ選手で最も有名な存在かもしれない。ここでプレーしている多くのキューバ選手よりも有名だと思うよ」

 メジャー15年目を迎える安打製造機がキューバで絶大な人気を誇るあまり“神格化”の域に達しているとフェルナンデスは語っている。

 人口約1123万人のキューバで、野球は国技の1つとされている。国際大会でも無類の強さを見せており、フェルナンデスのみならず、ドジャースのヤシエル・プイグ外野手、ホワイトソックスのホセ・アブレイユ内野手、レッズのアロルディス・チャップマン投手ら、キューバ人選手がメジャーを席巻している。だが、イチローはカリブ海の野球大国で自国出身のスターよりも有名だという。

 メジャー通算3000本安打の金字塔まで156本と迫るレジェンドは、日本、アメリカ、そして、キューバでも大きな注目を集めている。