鈴木、中島がそれぞれ4点ずつを挙げたが、チームのテーマのひとつである柔軟性を考えれば、「他の選手もゴールに絡まなければならない」と手倉森監督は課題を挙げた。

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――今日の試合について率直な感想をお願いします。
 
「チームが立ち上がって1年間、活動してきたコンセプトをしっかり表現しようと試合前に話しました。戦術面では良い判断をしてプレーすること、メンタル面ではこれからの日本のサッカーの可能性を示すべく全力を尽くすんだと。

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 そしてもうひとつは3.11、4年前の東日本大震災のことです。多くの犠牲者が出たなかで、自分たちは生かされている、まだ被災地で苦しんでいる人がいる。そのなかで、プロ選手という立場で国を背負って戦っている誇りを持って、そういった方々の光にならなければいけないと話しました。
 
 いち選手としてひとりの人間として、戦えるチームになろうと。得点差こそつきましたが、最後まで手を抜かずに戦ってくれて満足しています。多少、クオリティが欠けた部分もありましたが、これからの伸びしろだと思って、そこを高めて1次予選に向かいたいと思います」
 
――選手たちは気持ちの面で、芯の入った姿を見せてくれました。監督が強調したことが反映された手応えはありますか?
 
「実は(試合前に)映像を見せました。しんみりとなったところもあったんですけど、この日に試合をするという意義や想いを擦り込んでゲームに入ってくれたと感じています。
 
 大島選手の欠場は怪我ではなく、少し大事を取らせました。急なことにも選手たちは乱れることなく、みんながしっかり試合に向かってくれた。チームとしてエネルギーを注ぎたい、意欲を持って戦おうと思った時に一番恐いのは怪我です。
 
 秋野と豊川については、Jリーグから持ってきた怪我があって、今回は休ませました。これ以上は怪我人を作りたくないと考えて、慎重になった。奈良も同様です。今日はエネルギーを出す部分と慎重にやる部分と、少し工夫させてもらいました」
 
――前半と後半で大きくメンバーを替えました。それぞれの良いところ、悪いところは?
 
「前後半ともにボールを奪ってから前へ行く、ゴールを目指す姿勢は見えました。ゴールの数は7点と2点でしたが、後半はスピードを上げた時に少しクオリティを欠いた部分があったかなと。後半のメンバーは、ゲームの感覚をもう少し高めてあげなければいけないと感じました。
 
 (鈴木)武蔵、(中島)翔哉が4点ずつ、セットプレーで岩波がひとつ。柔軟性をテーマにした時に、他の選手たちもゴールに絡まなければならないという点は1次予選の課題だと思っています」

 
――3.11という日に良いゲームができました。改めて、被災地に向けてどのような想いを持っていますか?
 
「まず、3.11にゲームができたことは、震災を風化させないという意味では良かったと思います。自分は4年前に被災地のチーム(仙台)で監督をしていましたから、やはり伝え続けなければいけない立場だと思っています。
 
『震災を風化させない』というような話がありますけど、あの時に感じた悲しみや不安な気持ち、苦しさ、そういう想いの部分はどんどん風化させていくべきだと僕は思っています。逆に、あの時に感じた、人が支え合わなければいけない状況、助け合うんだという気持ち、やはり人はひとりでは生きていけないんだという想い、そういった気持ちは風化させてはいけません。こういった話を選手にも話しました」
 
――試合前に映像を見せたという話でした。
 
「見せた映像は、2012年のJリーグ・チャリティマッチで、トニーニョ・セレーゾ監督と一緒にチームを組んだ時に見せた『知られざる英雄』というものです。被災地で復興のために働いている、力を注いでいる人たちが、知られざる英雄でもあるという映像です。
 
 我々も代表という立場に立った時に、そういった人たちへの希望の光になれるような存在でいたいなという話を選手たちにもしました。そのためには勝ち続けるしかない、しっかりリオ五輪まで行って、日本の歴史を変えるというところまで、光を放ち続けたいなと思います」
 
――この1年での選手たちの成長は予想以上か、予想どおりか、予想以下か。
 
「予想どおりに成長していると感じています。1年間、一緒に仕事をして、選手の特長となにが伸びてきたのかをしっかり把握できています。また、彼らがこれからどうなっていくのかも、なんとなくイメージとして掴めそうな気はしています。
 
 これからの可能性を感じていますし、こうして集まって仕事をするたびに何回も繰り返さなければならない細かいところ(を指導するの)は楽になってきました。あとは大会をしっかりと勝ち抜いた後、強化期間を作りながらもっともっと高み目指して、いろんなことを擦り込んでいければと思います」