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特集・パブリック・ジャーナリスト宣言(3)

2005年02月15日16時53分 / 提供:PJニュース

pj

仮設住宅の周囲には雪が降り積もった=1月12日、新潟・川口町にて(撮影:吉川忠行)
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新潟県中越地震で、震源地の川口町に通じる主な道路・鉄道は寸断され、水道・電気・ガス・電話とあらゆるライフラインも不通となり、川口町はまさに「陸の孤島」と化した。

 「川口町災害ボランティアセンター(VC)」(新潟県川口町)が開設されたのは地震発生から一週間後の10月30日。翌日から住民が必要とする情報を載せた「ぬくもりニュース」の発行を開始した。取材編集者はすべてアマチュア。パブリック・ジャーナリズム活動の一つといえる。陸の孤島と化した川口町の住民に必要な情報を伝えるため、「ぬくもりニュース」には物資の配布や医療機関、交通機関の情報などが掲載された。



ブログを見て川口町VCにやってきた、ボランティアの菅原さん(撮影:吉川忠行)
ブログでボランティアのための情報提供をしよう

 11月1日午前にはブログも立ち上げ、川口町の状況をマスコミに先駆けて報じるとともに、川口町でのボランティア希望者への道路状況や必携品などの情報提供を始めた。固定電話が復旧するまではPHSを使って更新を続けた。大手ポータルサイトや被災地情報を集めたサイトなどに取り上げられたことで、川口町を目指すボランティアの目に留まるようになっていった。

 千葉県から来たあるボランティアは「このホームページを見ないと、どうやって川口町VCに行けるかわからなかった」と語る。川口町VCにやってくるボランティア数は当初の157人から日を追うごとに増え、7日と13日は一日で800人を超えた。1月中旬までには、のべ2万3560人に達した。

住民が必要とする情報を伝えよう

 住民向けに物資の配布情報などを載せた「ぬくもりニュース」は、10月31日から11月30日までは毎日、その後は役場の広報紙に合わせて随時発行されている。「ぬくもりニュース」を担当したボランティアの本間達也さんにとって、新聞作りは始めてだった。本間さんは昼間に救援活動と取材活動を同時にこなし、夜を徹して編集作業、翌日正午までには新聞を刷り上げた。その新聞をボランティアのバイク約30台と役場の町職員が手分けして被災者の各戸に配った。発行当初300部だった「ぬくもりニュース」は、すぐに600部に増刷された。

 本間さんによると、写真を多用したビジュアルな紙面づくりや、商店の開店情報やバスの時刻表などの生活情報が好評だったという。文字情報に頼った情報誌は役場にまかせ、子供達の写真などを載せるなど、人々のぬくもりが伝わるように心掛けた。読者である川口町の住民から「よく読んでいるよ」と言われたのがうれしかったという。

ブログで被災地の状況を県内外に伝える

 川口町から北へ約30キロの被災地、長岡市でもボランティアによるパブリック・ジャーナリズム活動があった。情報通信技術を利用してまちづくりを行うNPO、「ながおか生活情報交流ねっと」(新潟県長岡市)では、長岡市や山古志村などでの災害対策を伝えるブログを開設した。

 立ち上げたブログの一つ「山古志村緊急ブログ」は、山古志村の職員であるNPOメンバーに連絡を取って10月26日から、同村の災害対策などの情報を載せた。同NPOの桑原真二・理事長は「昨年7月13日に新潟県中越地方を襲った水害で行政のサーバーがダウンした経験」がもとで、被災地外にあるサーバーを利用してブログを立ち上げたという。

 同NPOが運営している5つのブログ全体で、アクセス数はピーク時に一日約2万件、最初の一ヶ月で約20万件以上となった。ブログを開始すると、神戸など過去の自然災害被災地の人々を中心に、全国各地から援助の申し出が多く寄せられた。「新潟とは縁もゆかりもない人達が大半だったが、今度は自分たちが手助けする番だ、という想いが伝わってきた」と桑原さん。「全国の人にお世話になったことへの恩返しに、ありのままの復興の姿を発信できたら」と情報発信の姿を思い描く。

被災現場の情報と記事内容のギャップ

 被災地から情報発信をした2つのボランティア団体からは、マスコミが発信する報道について共通した感覚があった。それは、被災現場の実態と新聞記事や放送の内容とのギャップだ。既存のメディアは「物語を作ろうとする感じ」(本間さん)、「目を引く記事にする感じ」(桑原さん)といった印象を持っているという。
 
 被災者らへの取材時に「聞く」より「話す」スタンスを取ったという本間さんは「被災直後でもマスコミの記者は被災者の持つ感情に深くえぐり込んでいくが、私は一歩離れたスタンスをとった」と、被災者感情への配慮という点で、取材手法の違いも感じたようだ。桑原さんはこう語る。「住民自身が、つたない文章でも真実に近い情報を残していくことが大切なのではないか。最終的には真の社会の発展に結びつくと思う」。【了】

特集・パブリック・ジャーナリスト宣言(1)
特集・パブリック・ジャーナリスト宣言(2)

※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。

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