「Thinkstock」より

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 3月4日付当サイト記事『マッサージ店や整骨院があふれすぎ…3年で4割退職、給料20万から増えず』において、整骨院業界の現状を紹介したが、消費者にとってマッサージ店やエステティックサロン、整骨院などの垣根は年々低くなってきている。整骨院と比較する意味も含めて、今回は国内最大規模を誇るリラクゼーショングループのエリア統括マネージャー・A氏の声を紹介する。

--まず、リラクゼーション業界の現状について教えてください。

A 昨今の健康・癒やしブームの後押しもあり、市場規模は大きくなっています。消費者にとって、リラクゼーションサロンの存在は身近になり、店舗数も増加傾向にあります。ただ、低価格競争が激しくなりつつあり、ビジネスモデルとしては多店舗展開をしなければ利益が出にくくなるという弊害が生じています。

--価格競争が激しいとのことですが、景気回復の影響はありますか?

A 成功している店舗は、低単価の店舗と、高単価で質の高いサービスをする店舗の両極端に分かれています。逆に言うと、価格やサービスの中途半端な店舗は厳しい状況です。低単価のお店は10分1000円前後が一般的で、さらにクーポン利用で初回半額にするなど価格を引き下げる動きもあります。現場からの声から判断すると、景気の影響はあまり感じられません。

--そこまで価格競争が続けば、業界全体に影響が及びそうですね。

A そうですね。どこかで大きな変更を考えなければいけなくなるでしょう。結局、しわ寄せを受けるのは現場のスタッフたちなのです。しかし、一度下げた値段を引き上げるのは非常に困難です。一時期の美容業界と同じような状況で、価格を上げたいけれど、なかなか踏み切れない。そんなジレンマを抱えています。

--価格競争以外に表面化している問題点はありますか?

A 人手不足が深刻です。就職・採用の現場が今は売り手市場で、リラクゼーションの業界で働きたい、という絶対数が減っています。また、働いても長く続かない。特に若い世代が少ないので、店を任せるレベルの将来的な幹部候補のスタッフも足りません。

--なぜ若い世代が少ないのですか?

A 大きな要因としては、安定性がある職業とはいえない点だと思います。リラクゼーション業界は、基本給は少なめで、指名によるインセンティブ(成果報酬)で稼げ、という経営スタイルが多いです。アルバイトでも完全歩合制というお店も珍しくありません。若い頃はよくても、現場で長く働いているうちに「将来に対する不安を感じる」という声も聞きます。基本的には力仕事で、決して楽な業務内容ではないので、若い女性には厳しい環境かと思います。少しずつ制度を見直している段階ですが、長期キャリアで考えると難しい面があるのも事実です。

--しかし、インセンティブとなると、相当な金額を稼ぐ社員もいるのでしょうか?

A 大きく分けて雇用形態は3つあります。アルバイト、社員、フリーランスのマッサージ師を雇う委託契約です。アルバイトは時給制もしくは完全歩合制で、社員は固定給制、委託社員は完全歩合制となっているのが一般的です。売り上げは、ほぼ立地によって決まります。従って、固定給制の社員を好立地店舗に、委託社員を2等地の店舗という配置でバランスを取っています。

--集客力があるのは、具体的にどういった立地の店舗ですか?

A 繁華街の路面店、駅構内、空港併設店などの店舗は売り上げが好調です。特に空港併設店は、海外からの旅行者の増加もあり、ドル箱店舗となっています。最近では、オフィスビル、商業施設といった立地に出店する動きが加速しています。

--海外に出店をする動きはありますか?

A 進出している会社もありますが、ハードルはかなり高いです。なぜなら、アジア諸国はマッサージの値段が非常に安く、また伝統と歴史があります。アジア諸国から技術を輸入することはあっても、逆輸出は厳しいと思います。路面店ではなく、現地の温泉やサウナと協力して施設内に出店するのが、ビジネスとしては現実的でしょう。

--整骨院の数も増加していますが、その影響はありますか?

A その点については、大きく影響があると思います。暗黙の了解として、整骨院でもマッサージをしています。そうなるとリラクゼーションサロンは、価格では太刀打ちできません。売り上げだけでなく人材に関しても、現在は柔道整復師に流れていっていると感じます。エステやマッサージは資格がなくても働けるため目に見えたキャリアアップが想像しにくく、国家資格である柔道整復師の取得を目指す人が増えているのではないでしょうか。

--最後に、業界の今後の展望を教えてください。

A 店舗数に対して、技術のある指導者が現状でも不足しているので、今後はセラピストをいかに確保し育てられるかどうかによって、明暗が分かれていくでしょう。スタッフの確保と育成に対応できる企業が、生き残っていくと思います。そのためには、育児休暇、有給休暇などの各種福利厚生を充実させることは、最低限必要となってくるのではないでしょうか。
(文=編集部)