厚労省の2010年の統計データによると、日本人の死因第2位の心疾患(心筋梗塞や狭心症など)と3位の脳血管疾患(脳梗塞や脳出血、くも膜下出血など)を合わせると、約4人に1人が血管トラブルで亡くなっている。
 動脈が酷く傷んでくる40〜50代過ぎの約7割の人に動脈硬化が見られ、それがもとで命を落とす人が少なくない。

 そもそも心筋梗塞や脳梗塞といった病気は、心臓や脳自体の病気ではなく動脈硬化が引き起こす“血管の病気”。「人は血管とともに老いる」との説もあるが、動脈硬化は加齢による血管の老化に起因し、高血圧、脂質異常、糖尿や喫煙といった生活習慣の乱れやストレスなどがその進行を加速させている。
 つまり、動脈硬化を防ぎ血管事故を防ぐためには、血管年齢を若々しく保ち、柔軟性のあるしなやかな状態の血管へケアしていくことが大事なのだ。
 「かつて血管の老化を防ぐものとして、“血液をサラサラにする”食べ物がはやりました。確かに血液がドロドロでは血管にも影響が出ます。しかし実は、血液よりも血管を強くしなければ意味がない。血管の老化は50歳前後の中年から始まります。これを防ぐことが心筋梗塞や脳卒中の予防につながります」

 東京多摩総合医療センター総合内科・辻野文紀医師はこう説明する。
 「健康な血管を考える上で近年注目されているのが、内皮細胞です。この血管内皮とも呼ばれる細胞は、血管の内側を覆っているもので、血管の収縮や拡張を調節しています。内皮細胞が元気に収縮することで、血管そのものが広がり強くなります」(同)

 内皮細胞を健康な状態にすれば血管は強くなる。それにもっとも効果的といわれるのが、抗酸化作用の高い食品の摂取だ。
 緑黄野菜のルテイン、トマトのリコピン、生姜のジンゲロールやショウガオール、ミカンのβ-クリプトキサンチンなどの野菜や果物、さらに赤ワインやオリーブオイルにも抗酸化成分が豊富に含まれている。
 また、食事で血管を鍛えて老化を防ぐ方法は、“カロリーと塩分の調節”と言う専門家もいる。確かに揚げ物や塩気の強い食べ物を減らし、腹八分目の食事を心掛けることが正しいのはわかるが、なかなかできないのが中年族の悲しいところ。

 しかし、大学病院元管理栄養士で料理研究家・林康子氏は言う。
 「少なくとも塩分については、多く摂ってしまっても食事の工夫次第で排出することができます。最もその効果が高いのが、カリウムを多く含む食品。塩分を多く摂ると細胞内のナトリウム量が増え、多量な水分を補給するために血圧が上がります。しかしカリウムには、ナトリウムを排出し体内のナトリウムのバランスを適正に保つ働きがあるのです」