中国の参考消息網は6日付で、「アジアで砂が重要な戦略資源になっている」と報じた。注目されているのはシンガポールで「輸入した砂」による埋め立てで、領土拡張を進めているという。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国の参考消息網は6日付で、「アジアで砂が重要な戦略資源になっている」と報じた。注目されているのはシンガポールで「輸入した砂」による埋め立てで、領土拡張を進めているという。

 シンガポールは1965年の独立時に580平方キロメートルだった領土が、現在は22%増の710平方キロメートルになった。2030年までに、さらに56平方キロメートル増やす計画だ。

 国連環境計画によると、同国は2014年時点で世界最大の砂輸入国であり、国民1人当たりの砂使用量でも世界第1位という。

 しかし周辺国では自国における砂の大量採取や埋め立てによる環境への影響を懸念する声が高まっている。マレーシアは97年、インドネシアは07年、カンボジアは09年に砂の輸出を禁止した。ベトナムもすでに禁止し、ミャンマーでも禁止を求める声が高まっている。

 シンガポールの埋め立ては歴史的に見れば、世界最大規模というわけではない。例えば日本では19世紀から現在にかけて、東京湾を250平方キロメートル埋め立てた。香港は香港島のビクトリア湾から九龍半島に向けて埋め立てを進めている。

 シンガポールの場合、最狭部分で幅が1100メートルのジョホール海峡の向こうがマレーシアであり、隣国に極めて近い海域で埋め立てを進めることで、問題が複雑化した。

 マレーシアは2003年、シンガポールの埋め立てにより主権が侵害され、環境が悪影響を受け、自国漁民の生活が脅威にさらされているとして、国際法廷に提訴した。法廷の仲裁で問題は平和的に解決したが、今度はマレーシア側の埋め立てにシンガポールが反発するなど、主客が交代した形で問題は続いている。

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◆解説◆
 上記文章は触れていないが、埋め立てでは中国によるスプラトリー諸島(南沙諸島)の埋め立ても問題視されている。南沙諸島は中国やベトナム、フィリピン、台湾(中華民国)などが領有権を主張して対立している。最大の島の太平島を実効支配しているのは台湾だ。中国が支配している最大の陸地部分である東門礁は、高潮時に一部の岩が海面から露出する程度だ。

 しかし中国は実効支配する岩礁の多くで、埋め立てや人工構造物建築に熱心に取り組んでいる。島や岩礁の場合には埋め立てても「新たな領土」と認められないが、中国は「既成事実を作る」ことを重視しているとされている。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF)