近頃は喫煙と同じくらい危険視されている肥満。ところが、もっと怖いモノがあるらしい。それは「運動不足」。英ケンブリッジ大学の報告から。

 研究対象は、欧州在住の男女、33万4161人で、試験に参加した人は診療所で身長、体重、腹囲径を測り、身体活動状況を自己申告している。身体活動は、申告に基づき、「活動不足」「やや、活動不足」「やや、活動的」「活動的」に4分類された。

 ここでいう「活動不足」は、1日のカロリー消費量が体重1キログラム当たりわずか8.6キロカロリーほど。身長170センチメートル、体重70キログラムの男性なら、日常の生活動作と朝夕の通勤時間くらいしか身体を動かす機会がないケース。現代人の典型だろう。逆に、「活動的」ともなれば、生活動作にプラス、ランニングやサッカーなど比較的強度の高い運動を毎日30〜40分はこなしているイメージだ。

 平均12年間の追跡調査の結果、やはり「活動的」な集団は「活動不足」集団より死亡率が低いことが判明している。その傾向はBMI(体格指数)や腹囲径が増えても変わらず、運動不足の方が肥満やメタボよりも怖いことが、あらためて裏付けられた。事実、欧州の死亡原因を調べた最新データから、運動不足による死亡は、肥満が原因の死亡数の2倍に及ぶことがわかっている。運動刺激は免疫系を活性化し、内分泌代謝のバランスを改善する。人間という動物も、動け(か)なくなれば、生命の危機に直面するのだ。

 本研究からも、1日20分の早歩き(時速6〜7キロメートル)をプラスするだけで、死亡リスクを30%減らせることが判明している。その効果は「活動不足」の人々が、次の「やや、活動不足」へステージアップするときこそ、最大限に発揮されるという。

 1日20分の早歩きで消費されるカロリー量は、90〜110キロカロリー。毎日のウオーキングが面倒なら一つ、良い手がある。それは家事。浴室の掃除や雑巾がけをこなせば100キロカロリーくらい、すぐ消費できる。その際は、腹筋を引き締め、手足を意識的に大きく動かすこと。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)