指定席を予約した新幹線に乗り遅れたら、元々の切符で後続列車の自由席に座ることができる

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新幹線の指定席をめぐる大学副学長のツイートが物議を醸している。指定席を予約していた列車に乗り遅れた場合、指定席に座るには改めて指定席の特急料金を支払わなければならない。

この大学教授は指定席が予約してあった列車に乗らなかったが、元々の切符で後続列車の指定席に座った。当然、車掌から自由席に移るように求められた。「来られたら移動ではダメですか」と抵抗を試みたが認められず、結局指定席の特急料金を支払った。しかし、車掌に不満をぶつけ、車掌の名字を出しながら「だから、新幹線は嫌いです」とツイート、物議を醸している。

ホームで待っていたらビックカメラに行きたくなる

話題になっているのは、人間環境大学(愛知県岡崎市)の芦田宏直副学長のツイート。芦田氏は教育問題に関するメディアでの発言も多い。

ツイートによると、芦田氏は2015年3月4日、名古屋駅の新幹線ホームで20時42分発の新大阪行き「のぞみ253号」を待っていた。芦田氏は「のぞみ253号」の指定席を予約していた。ツイートが発信された時刻によると、20時34分には新幹線のホームにいた。

だが、ホームからビックカメラの看板が視界に入り、「むらむらと気持ちがわいてきて」急に買い物に行くことを決めた。改札を出てビックカメラでヘッドフォンを物色したが、新大阪行き新幹線の最終便の時刻が気になり、走って駅まで戻って21時3分発の新大阪行き「のぞみ255号」に乗った。

問題が起こったのは、ここからだ。芦田氏曰く、「急いで乗ったために指定席の空いているところに座ったため、車掌が自由席に移動しろと迫ってきた」。芦田氏は「(その席を予約していた本来の乗客が)来られたら移動ではダメですか」と聞いたが車掌は聞き入れず、芦田氏は指定席特急料金の3120円を支払った。

車掌の行動は当然なことなのに芦田氏は、

「指定席券がとれるのであれば、席は新大阪まで空いてるではないか」

とも車掌に不満をぶつけたようだ。新大阪まで人が座る予定がなかった座席だったにもかかわらず移動を迫られたことに納得がいかないようだ。車掌は終始「ムスッと」していたらしく、芦田氏は「だから、新幹線は嫌いです」。

乗り遅れても指定席に乗りたい場合は「指定席特急料金を全額お支払いいただきます」

車掌は、規則通りの対応をしていると言える。JR東海のウェブサイトのQ&Aコーナーでは、

「指定席をとっていた特急列車に乗り遅れた場合、特急券の変更や払戻しはできますか?」

という質問がある。回答は、

「指定席特急券については、乗り遅れた場合でも指定された列車の乗車日と同じ日のうちなら、普通車自由席に限ってご利用いただけます。なお、指定席に乗車される場合は、指定席特急料金を全額お支払いいただきます」

というものだ。こういった規則を芦田氏は把握しており、ツイッター上の、

「時刻表に書いてる きっぷのルール について読みなおす事をおすすめします」

という声には

「そんなこと誰でも知っている」

と反論している。

ルールの「存在」と「適用」には「千里の径庭」??

芦田氏の専門はドイツ哲学。カントの考え方を紹介しながら、今回の出来事について、

「カントは、ルールが存在するということと、それに従ってルールが『適用される』こととの間には、千里の径庭(編注:けいてい=隔たり)があると指摘していた。その<間>を埋めるものを<構想力>とカントは呼んだが、構想力は『教えることができない』とも」

などと主張。車掌にも「教えることができなかった」とした。凡人には何が言いたいのかよく理解できない文章だ。芦田氏は、車掌が「融通が利かない」と言いたかったのかもしれないが、無理な主張に思える。

芦田氏は最後にこうツイートした。

「私は、3000円払っても歩きたくないほどに疲れていただけですよ。ビックカメラと新幹線名古屋駅ホーム間、20分でホーム駆け下り駆け上がり往復したんだから(笑)」

芦田氏の一連のツイートをまとめたサイトには

「無法を哲学で正当化する大先生」
「なまじ哲学とか勉強するとこうなるのか」
「指定席の権利自分から捨ててるのに何言ってるんだこいつw」

といった声が寄せられており、大半が芦田氏に批判的だ。