世紀の一戦が、ついに実現する。5月2日、無敗の5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(38歳・米国)と、6階級制覇王者マニー・パッキャオ(36歳・フィリピン)が、ラスベガスで対戦することが発表された。

5年以上前から、対戦が噂されては立ち消えた両者の一戦。ファイトマネーは、メイウェザーが1億2000万ドル(約142億8000万円)以上、パッキャオが8000万ドル(約103億2000万円)と予想され、早くもリング外で狂想曲が鳴り響いている。

ちなみに、昨年の世界スポーツ長者番付で、年収1億500万ドル(約120億円。金額は当時のレート換算)で1位となったのがメイウェザー。2位はサッカーのクリスティアーノ・ロナウドで8000万ドル(約91億円)だったが、メイウェザーはロナウドと違い、一切CMに出演せず2試合のファイトマネーだけで稼ぎ出した金額である。

気になる勝敗予想は、多くのブックメーカーのオッズで現在、約3対1でメイウェザー有利となっている。

この数字を「妥当なもの」と言うのは、ボクシングライターの原功(いさお)氏だ。

「パッキャオは荒々しいファイトと爆発的な破壊力を持つ左で、輝かしい戦歴を築いた選手です。しかし近年、研究し尽くされたこともあり、ここ9試合はKO勝ちがなく、さらに2012年のファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)戦ではKO負けを喫し、衰えを指摘する声もあります。

片やメイウェザーは、47戦47勝のパーフェクトな戦績。“パウンド・フォー・パウンド(全階級を通じての最強ボクサー)”と呼ばれ、負け方を想像することすら困難な選手です。『どちらに賭けるか?』と聞かれれば、多くの識者はメイウェザーと答えるでしょう。ただ、だからこそ、多くのボクシングファンはメイウェザーが負けるシーンを見たいと願いますし、それを実現する可能性が最も高いのがパッキャオであることは間違いありません」

今からゴングが待ち遠しい。ただ、意外なことに、多くの識者からは「凡戦になる可能性が高い」という声も聞こえてくる。その理由を原氏が解説する。

「両者が警戒し、“勝つ”より“負けない”試合の組み立てをする可能性が高い。しかも、もしこの一戦が実現しないままならば、世間的には『メイウェザーのほうが強い』という声が多かったでしょうから、選手としての商品価値という点において、よりリスクが高い一戦になるのはメイウェザー。“マスター・オブ・ディフェンス”と呼ばれ、人間離れした防御力を持つメイウェザーが、より慎重になる可能性は高く、同時に凡戦になる可能性も高まります」

しかし原氏は、どんな試合展開になったとしても「試合を楽しめる注目ポイントがある」と言う。

「この一戦は、“最強の盾瓩函蛤廼の矛”の戦いです。パッキャオの左が当たるのか? メイウェザーはそれを避けられるのか? 注目点は、この一点に集約されます。そして何より、どんな結果や内容になろうと、この試合が後世に語り継がれることは間違いないのですから」(原氏)

世紀の一戦の勝者、そして試合内容は神のみぞ知る。しかし、歴史の目撃者になれる機会であることは間違いない。

(取材・文/水野光博)