「おっさんレンタル」を始めた西本貴信さん

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いま話題の「レンタル彼女」をご存じでしょうか。好みのタイプの女性を選び、一緒に町を歩くだけではなく、食事や映画、プリクラ、カラオケなどをして、まるで「俺たち付き合っている?」というデート感覚を楽しめるサービスです。

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指名料は1時間5,000円程で、それに加えて交通費(3,000円)などを支払う必要があります(※サービスにより差額あり)。半日(6時間)デートすると30,000円。なかなか高額である一方、彼女たちの対応は大変すばらしいものがあり、「本物の彼女か」と思うような対応をしてくれるので、利用時間中はたっぷりラブラブできるのです。

同サービスは、テレビ番組『有吉ジャポン』で紹介されると、「利用してみたい」「支払い時がシュール」といった賛否両論の声があがりました。確かにデート終了後は「(6時間デートした)ので33,000円お願いします」とさらっと言われ、素直に支払いに応じなければなりません。

そんな話題のレンタル彼女ですが、女性をターゲットにした「レンタル彼氏」も存在します。しかし、今回ご紹介したいのは、そんなレンタル彼女・彼氏ではなく、同じレンタル業として、孤高のサービスを繰り広げる「おっさんレンタル」です。

■「おっさんレンタル」とは一体?

「えっ……、そんなものに需要があるの」

という声が聞こえてきそうですが、驚く勿れ。おっさんレンタルは、年間400件超えの依頼を誇る人気のサービス。運用するのは47歳のひとりのおっさん・西本貴信さんです。大阪出身でファンションプロデューサーの西本さんは、大学や専門学校で講師をする傍ら、週末を利用して「レンタル業」を行っているのです。実は海外でも注目を集めるおっさんで、『The Japan Times』でも取り上げられたことも。ちなみになかなかのイケメンです(注:個人差あり)。

このおっさんレンタル、公式ホームページには、「ポストで返却可。代引き払い♪遊ぶのも良し、話すのも良し、パシるのも良し、暇つぶしにいかがですか? ファッションの相談は『おっさんのファッションチェック♪ 』をご利用くださいね♪」と記載されており、利用方法は多様性があるようです。しかも、おっさんレンタルの料金設定は破格。1時間1,000円でレンタルすることができるのです。なんという安さ。

そもそもなぜ、こういったサービスが始まったのでしょうか。書籍『「おっさんレンタル」日記』で、その理由が明かされています。

■「おっさんのイメージ改善」を行いたい

「おっさんてさ、すぐ説教するし、イヤなんだけど。見た目もマジでキモいし」
「絶対話しかけんな!って感じだよね〜」

これは、ある日の電車の中で、西本さんが聞いた女子高生たちの言葉。この言葉が耳から離れず、実際に講師を務める大学・専門学校でおっさんのイメージを聞いたところ、あまりよろしくない答えが、わんさか飛び出たようです。

「僕はここで思いついたのです。イメージの悪いおっさんでも、自分のために働いてくれるとなったら、少しは見直してもらえるんじゃないか――。要は『おっさんのいいところ、見せたろ!』という見栄が、『おっさんレンタル』のそもそもの始まりだったのです」(同書より)

全国のおっさんを代表してイメージ改善を行おう。そう思い、西本さんは動き出したのです。

では、一体どのような利用方法があるのでしょうか。運用前は「便利屋」のように使われるのではないかと考えていた西本さん。引っ越しや掃除といった力仕事関係の依頼を準備していました。しかし、実際のところは、そういった力仕事の比率は少ない様子。

■「おっさんレンタル」の意外な用途とは

実際には何が多いかというと、意外にも「相談ごと」なのです。依頼内容を振り返った時、老若男女問わず「話を聞いてほしい」というものが多いとのこと。確かにいい大人に引っ越しなど力作業を頼むには恐縮しますよね。それと同時に、皆、誰にも言えない(言いたくない)話を抱えていたりするのです。

「おっさんレンタル」に興味津々でまるで取材のように話を聞きに来た青年、釣り堀で「父」にある報告をした青年、アイドル志望の女子中学生、医者になるかどうかを悩む女子大生、イケメンでも恋愛に自信を持てない学生……、西本さんは、そういった相談ごとに耳を傾け、時には熱く檄を飛ばし、相談者の支えとなっていきました。

■「おっさんレンタル」を通じて見えてきたこと

そんなこんなで「おっさんレンタル」は人気を集め、総利用回数は900件を超えるまでに。また、リピーターを現れるようになりました。利用者にとって、か けがえのないサービスになりつつある「おっさんレンタル」。しかし、西本さんにとっても、「誰かに必要とされる、認められることで、本当に生きている実感を持てる」と、このサービスを始めて良かったとその心の内を明かします。

サービスを始めた当初、「なんでそんなことしているの?」とバッサリと否定してくる同世代や同業者の大人が多かったようですが、その一方で、IT系の人や比較的若い人は西本さんを応援するようになったそうです。

今までの人生で培ってきた人間関係を大事にしつつも、「新しい関係から得られる刺激が、生きていくうえで大事だ」と考える西本さん。新たな刺激を得ることで西本さん自身も輝き、また、若者にとっても良い方向に向かうきっかけとなり、さらには、世の中のおっさんのイメージさえもプラスに変えてしまう、誰もが幸せになるスパイラルがそこにあるのです。

筆者もプチおっさんレンタルでも始めてみようかと考え中。皆さんも、自分に合ったレンタル業を始めてみませんか? 人の役に立てることは、自身のその後の人生を豊かなものにしてくれるのかもしれません。

【書籍情報】
『「おっさんレンタル」日記』西本貴信著 大和書房