先ごろ平成26年版の犯罪白書が発表されたが、高齢者の窃盗が増えていることが明らかになった。昨年1年間の検挙者は3万4060人。20年前の4.5倍にまで上っているのだ。
 さらに犯行動機・原因についての調査によれば、男子では「生活困窮」によるものが66%を占め、「対象物の所有目的」が37%、「空腹」によるものが19%。つまり、モノを盗むことによって空腹や生活困窮を解消し、欲しいという欲求を充足したいのだ。

 ところが、世の中にはモノは満ち足りているのに、衝動的に盗みに走る人がいる。
 「衝動的に万引きを繰り返す精神疾患“窃盗症”が社会問題となっています。自分の意志では抑えられない病で、やめられずに苦しむ人は少なくありません。もともと窃盗は再犯率が高いが、累犯者の中には窃盗症の該当者が一定の割合でいるようです」(社会部記者)

 窃盗癖が“病気”になっているというのである。
 精神科医で銀座泰明クリニック院長の茅野分氏が言う。
 「一昨年、みのもんたさんの次男が他人のバッグを盗みキャッシュカードを無断で使おうとした事件がありましたが、ほとんど話題にされていないのが“動機”です。彼は超有名人の息子で、有名私立小学校から大学まで進学し、テレビ局へ入社して高級マンションに居住、さらに妻子ありと、何不自由ない生活をしていました。なぜわざわざ危険を冒してまで窃盗をする必要があるのでしょう? 『窃盗症』は、これと同じような病の不思議さを持ちます」

 茅野氏によれば、窃盗癖とは、「抵抗困難な窃盗衝動」を特徴としている。その不合理性と反復性の2点をもって、病的とされているという。“不合理性”とは、盗んだ品物自体には必要性や価値を認めず、購入する金銭を所持しているにもかかわらず窃盗行為に及ぶ。
 「それでは、何のために行うのでしょう? それは“盗む”ためとしか言いようがありません。アメリカの診断基準によると、“窃盗に及ぶ直前の緊張感の高まり”“窃盗を犯す時の快感、満足、または解放感”が定義されています。つまり経済的ではなく心理的な目的のために行われるわけです」(同)

 アメリカの診断基準によると、「放火癖」「病的賭博」「抜毛癖」などに似ているという。
 「“衝動性”を特徴として、『あらかじめ考えられた動機ではなく、駆り立てられるような心理により、目的意識を持たず、ただちに実行し遂行すると深い満足を覚える』ことを特徴とするのです」(同)