リオ五輪への本格的な第一歩が、3・11からスタートする。手倉森誠監督率いるU−22日本代表が、U−22ミャンマー代表とテストマッチを行うのだ。
 
 昨年1月に立ち上げられたチームは、これまで国際大会と海外遠征でアジアを転戦してきた。27日開幕のリオ五輪1次予選への壮行試合は、手倉森ジャパンの国内デビュー戦でもある。
 
 3月3日に発表された23人のメンバーは、1次予選で対戦するU−22マカオ、同ベトナム、同マレーシアとの力関係を意識したものだ。「引いてきた相手でも十分に崩せるクオリティを持った選手を選んだ」と、手倉森監督は話す。
 
 同じ23人を選考した昨年12月のタイ・バングラデシュ遠征ではDF8人、MF7人、FW5人だったが、今回はDFを6人に削った。そのぶんをMFへまわしている。攻撃的な性格の強いMFをこれまで以上に招集し、守備重視の相手を崩すための選択肢を増やしたのである。その一方で、センターバックとサイドバックが3人ずつの最終ラインは、MF登録の遠藤航(湘南)を加えることで必要なボリュームを担保した。ボランチとセンターバックでもプレーできる彼は、ゲームキャプテンの有力な候補だ。
 
 FWには2人の海外組が名を連ねた。久保裕也(ヤングボーイズ/スイス)と南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)である。彼らはU−22ミャンマー戦には出場せず、1次予選のみの合流だ。
 
 昨年12月のタイ・バングラデシュ遠征に、手倉森監督は2人を招集している。スイスから合流した久保はもちろん、当時はセレッソの一員だった南野も欧州からタイへ移動してきた。欧州移籍への個人的な準備が、はからずも1次予選のシミュレーションとなった。
 
 タイトなスケジュールで臨んだU−21タイ代表とのテストマッチで、彼らは指揮官を満足させるプレーを見せた。手倉森監督をとりわけ感心させたのは久保だ。「ボールを落ち着かせるところは本当にある。で、パワーを出すべきところを知っている。ホントにアンダー21世代かというぐらい、ベテランみたいな余裕があった。コンディションが悪い中で、これぐらいできれば」と、手倉森監督は表情を緩めたものだった。
 
 五輪予選は国際Aマッチと異なり、所属クラブの了解を得られなければ招集できない。そうした背景もあり、久保の起用には2試合までとの条件がつけられた。南野は27日のU−22マカオ戦、29日のU−22ベトナム戦までの出場だ。31日のU−22マレーシア戦を待たずに、南野はチームを離れる。
 
 欧州から駆け付ける彼らは、チームへの合流も遅れる。国内組は3月16日に現地クアラルンプール入りするが、久保は23日、南野は24日だ。
 
 それでも、手倉森監督は招集へ踏み切った。理由はふたつある。
 ひとつ目は刺激の注入だ。「彼らの合流や起用は条件付きだが、2人をチームにしっかりと組み合わせることで、世界への意識を全員に広めたい」と、手倉森監督は明かす。スイスとオーストリアでプレーする彼らの肌触りを、チームの共通認識へ近づける狙いを持つ。
 
 ふたつ目はチームの成熟だ。久保も南野も最大で2試合しか出場できないが、それにプラスして南野は4日間、久保は5日間にわたって練習に参加できる。チームへの合流は今後もスポット的となるだけに、練習を通じてコンビネーションやコミュニケーションを深めたいとの意図を、指揮官は思い描く。
 
 3月11日に対戦するU−22ミャンマー戦は、勝利が約束された相手だ。ポイントは守備的な相手を崩せるか。久保と南野の合流を前に、鈴木武蔵(新潟)、浅野拓磨(広島)、荒野拓馬(札幌)らが存在感を示せば、1次予選突破の明るい材料となる。