2014年4月〜9月にNHK Eテレで放送された人気テニスアニメ「ベイビーステップ」。2015年4月からは新シリーズとなる「ベイビーステップ2」がNHK Eテレで放送が開始される。

プロテニスプレイヤーへの道を一旦諦めようとするも周囲の応援もあり、アメリカ留学を決意、再びプロを目指すようになる主人公・丸尾栄一郎の姿を描いた第1シリーズ。第2シリーズでは、プロテニスプレイヤーを多く輩出するフロリダのテニスアカデミーに短期留学。世界ランクを上げるために心身共に鍛え続ける選手たちとともによりハードなレッスンを受け、成長していく様子が描かれる。

先日、放送を控え、メインキャスト陣による囲み取材が行われた。第1シリーズから出演の村田太志さん(丸尾栄一郎役)、細谷佳正さん(池 爽児役)、新シリーズから出演の神谷浩史さん(アレックス・オブライアン役)、潘めぐみさん(マーシャ・オブライアン役)、江口拓也さん(平敦士役)、花江夏樹さん(ラメス・クリシュナ役)が取材に参加。


声優陣のインタビューを前に、同席のNHK・制作統括の斉藤健治チーフプロデューサーは「錦織圭選手の活躍で今、テニスが非常に盛り上がっています。先日、NHKで全豪オープンテニスを中継しましたが、錦織選手の活躍に比例してテニス中継の視聴率が上がってきております。そのくらい、テニスは国民的関心事になってきていますが、錦織選手が活躍することで我々が知ることができる世界というのは水面に浮いているごく一部。その水面下には表に出ない、トップを目指すプレイヤーや関係者のドラマがあります。それをわかりやすく、リアルに表現しているのが本作でございます。力を入れている作品ですので、応援をお願いいたします」と作品への熱意を語った。



――収録現場での様子や第2シリーズへ向けての意気込みをお願いいたします。

丸尾栄一郎役・村田太志:第2シリーズはフロリダからお話がはじまります。丸尾くんはテニスをはじめて2年くらいですが、色々な方々に影響を受けてプロを目指すことになりました。
アメリカで武者修行をして強くなって日本に戻ってくるわけですが、第2シリーズでは新キャストの方々が入ることで第1シリーズとはまたちょっと違う雰囲気で。栄一郎と一緒で、僕も新しい環境のなか、エーちゃんが感じていることを一緒に感じながらやっています。新鮮な空気の中でアフレコさせていただいています。

池 爽児役・細谷佳正:第1シリーズの後半から登場して、しばらく時間が空いてから第2シリーズに入ったのですが、僕個人としては日本からフロリダに行ったから、という場の雰囲気の変化はあまり感じていません。現場も堀内賢雄さん(マイク・マグワイヤ役)がおもしろいことをよく言ってくださるので、みんなで楽しくワイワイやっている感じです。
キャストだからというわけではないのですが、お客さんと同じ視点に立って見ても、エーちゃんが武者修行する姿が細かく描かれていますし、一般的にテニスは試合をテレビで見ることが多いと思いますが、能力を向上させるための合宿所とかアカデミーとか、選手がプロになっていく過程が細かく描かれています。
テニスが題材になっているアニメですが、スポーツ選手としての心構えを、試合を通して学んでいく様子はスポーツ全般にとても参考になることがあります。また序盤ではメンタル面での話が描かれているので、演者として自分も教訓にして持っていたいセリフも出てくるので、いろいろな側面で楽しめる内容になっていると思います。勉強になるようなお話だと思いますね。

アレックス・オブライアン役・神谷浩史:僕は第2シリーズからの参加なので、丸尾の身に何が起きたのかをまったく知らない状態で登場する役どころです。それなのに、丸尾にプロとしての洗礼を与えなければいけないというプレッシャーがあったので、非常に緊張してスタジオに来た第1話でした。
スタジオの雰囲気的には、継続しているメインキャストの方々がいらっしゃるなか、第2シリーズから登場している新キャストの方々、ベテランの先輩方と雰囲気のいいスタジオだなと思いました。

マーシャ・オブライアン役・潘めぐみ:マーシャのテニスをしているシーンは栄一郎と出会ってはじめてのシーンでしかないのですが、そこに彼女のプレイの力強さ、気の強さというのを出せればいいなと思ってやらせていただきました。日本ではなっちゃん(鷹崎奈津)が紅一点の存在として登場しますが、フロリダではマーシャが紅一点として登場します。
でも、マーシャはなっちゃんとは違うタイプの女の子で……。天然のツンデレだなと私は思っています(笑)。栄一郎と話してもたまにデレるときもありますけどツンツンしていますし、会話がかみあってないところが彼女なりの天然でかわいいところなので、そこがうまく表現できればと思っています。また、お兄ちゃんのことが大好きで、お兄ちゃんに影響を受けてプロを目指している気持ちを大切に演じさせていただきました。

平敦士役・江口拓也:敦士はエーちゃんと同じ日本人で、すでにフロリダに留学してテニスを学んでいるという立ち位置だったので、同じような感じでやってきた彼の一番の理解者として仲良くなれたらと思っている役どころです。留学している先輩として、どういう言葉をかけるのかなというところに重きを置きながら演じさせていただきました。
現場の雰囲気は第1シリーズで作れたものがありますし、村田さんを通して雰囲気のよさが伝わってきます。わからないところがあれば村田さんに頼れる、すべてを聞いていろいろなことをすり合わせながらできたので、役に集中して臨めたなと思います。

ラメス・クリシュナ役・花江夏樹:クリシュナはインドからの留学生でパッと見、やる気がなさそうな顔つきをしている、おっとりしているキャラクターという風に見受けたのですが、実はテニスに対するやる気は高い人です。「やる気がなさそうにしている人が、やる気がないというわけではないんだよ」と本人も言うくらい、強い意志を持っている子です。
立ち位置としては栄一郎の試合を敦士と一緒に解説したり、海外での彼の生活をサポートする立場です。ちなみに僕は小学生から中学卒業までテニスをやっていたので、この作品に出られると決まったときはうれしかったです。本作に出てくるテニススクール(STC)の元になったスクールにも通っていたので、ビックリしたのと同時に懐かしくてうれしかったです。
毎週、物語の中でエーちゃんが克服していかなければならない課題や、何をやるべきなのか、言っていることが全部わかるし、実際にそういう経験をしていたので、アフレコ現場に来るのが楽しみでしたし、だからこそ海外編があっという間に終わってしまうのがさみしいです。ずっとテニスにかかわっていきたいなと思いました。


――村田さんは第1シリーズ当初、テニス経験がないとおっしゃっていましたが、作品に携わるようになってテニスをやるようになりましたか?

村田:テニスは壁打ちで止まっております。花江君の他にもテニス経験者の方が共演者のなかにいらっしゃって、国立競技場の壁打ちができるところに一緒に行ってやったのですが、身体がついていかなかったので今はジムに通って体力作りをしているところです(笑)。



――みなさんがこだわったシーン、印象に残っているシーンについてお聞かせください。

村田:印象に残っているのはフロリダに来て練習するなか、27連敗してしまって、負け癖がついてしまうというお話があるのですが、僕自身、アフレコ現場で感覚的に前まではできていたけど、何で今はできないんだろうということが多々あるので、負け癖がついていると言いますか、精神的に変なところにはまることがあります。
そういう意味では自分とエーちゃんがリンクして気持ちがわかるなぁと。演じている最中も「わかるわかる」と共感できたので、感慨深かったですね。

細谷:こだわりのシーンは、池が素になったときになるべく何も考えてない風にやっているところです。他のプレイヤーに対するポーズなのかもしれませんが、テニスをしているときも周りの人たちと話しているときも努力をしている様子を見せずにいたいな、というのが自分のなかにありまして。
合宿所のチームメイトたちはプロになりたいという思いでがんばっているし、プロになって勝たなければいけないというプレッシャーのなかで必死にがんばっている人もいるのですが、現時点で池は圧倒的に強い人なので、周りとは一線を画したキャラクターにしたかったんです。
だから、あえて何も知らない風に見せることができればいいなと登場時から思っていました。ですのでチームメイトと話しているとき、丸尾くんと話しているときの力が抜けた感じ、「この人、本当に強いの?」みたいな雰囲気で見せられたらいいなと思っていたので、日常的なシーンをこだわってやりました。

神谷:アレックスは非常にクールな性格なので、栄一郎との試合のなかで段々と熱くなっていくところはこだわりを持ってやらせていただきました。

潘:全般的にこだわったのは、マーシャらしくもっと自分を出していこうと思って演じたところです。マーシャは、見た目はすごく大人ですがまだ13歳なので、素直になれない素直さみたいなものも出しつつ、わがままに、自分本位に演じてみました。

江口:エーちゃんのサポート役なので、彼とかかわっているところはいい人、頼れる先輩みたいな雰囲気を出せたらいいなと思ってやりました。ただモノローグでは「やってやるぞ」みたいに、自分もプロを目指す身として闘争心みたいなもの、内に秘めた部分が出てくるシーンがあったので、そういうところでメリハリをつけるように意識しながらやりました。

花江:一見やる気がなさそうに見える彼も、テニスについてはいろいろと考えているんだよというのを表現したくて、テニスシーンではこだわりを持ってやらせていただきました。というのも、テニスの選手って球を打つときにいろいろな息の抜き方をする人がいて、大声を出す人もいれば、ふぅと息を吐き出す人もいます。
海外編のなかでクリシュナはたった1回だけ、球を打つシーンがあるのですがそこにクリシュナらしさを詰め込もうと。短いシーンではありますが、彼の気持ちや息遣いなどニュアンスを入れたのが自分のなかではこだわりです。


――テニスをご覧になったときに、このテニスプレイヤーを真似して演じているというような、お手本にしたというプレイヤーはいますか?

潘:私はシャラポワです。彼女は球を打つときに相当気合いの入った声を出すんですよ。マーシャがシャラポワを意識しているかはわかりませんが、彼女もすごく力強い声を出してプレイするので、テニスでもマーシャの気の強い性格を表現ができたらいいなと思って、シャラポワのテニス動画を参考にさせていただきました。私が個人的に好きなのは、マルチナ・ヒンギスです。

村田:僕はテニスの経験がなかったので、ド素人から段々とうまくなっていく、掛け声も板についていくという成長していく様子は意識しましたが、何かを参考にするというよりも「エーちゃんならこういう風になっていくだろうな」というのが自分なりにあったので、それを演技に取り入れました。
ただ、第2シリーズになって花江君のような経験者が入ってきたので、打つときの声の出し方というのは若干変えました。息が抜けるというのも意識しましたしね。エーちゃんらしさを残しつつ、まだ自分なりにいろいろと試している最中です。

花江:参考にしたわけではないのですが、好きなテニス選手は(レイトン・)ヒューイット選手です。彼は何でも拾う選手で、とにかく球にくらいついていくので見ていておもしろいんです。ラリーがすごく続きますし。だから昔からずっと母と一緒に応援しています。


――神谷さんと潘さんは兄妹役ということですが、お互いの印象について教えていただけますか?

神谷:しっかりした子だなと思います。こんな立派な妹がいたらお兄さんはやりづらいだろうなと思いました(笑)。

潘:神谷さんは「現場のお兄さんっぽいな」とはじめて共演したときから思っています。たまに場を和ませてくれる瞬間もあるので、私もこういうときにこういう返しができたらいいなと。じつは今回、現場ではじめて隣に座らせていただきました。
スタジオに入って、座る場所に迷っていたときに「いいよ、ここに座りなよ」と言っていただけたのはとてもうれしかったですし、私にも気を使ってくださるので、本当にお兄ちゃんみたいだなと思いながら過ごさせていただきました。


――ありがとうございました。



■TVアニメ「ベイビーステップ」第2シリーズ

NHK Eテレにて2015年4月5日(日)より放送開始!

【スタッフ】
原作:勝木光
監督:むらた雅彦
シリーズ構成:千葉克彦
キャラクターデザイン:甲田正行
音楽:吉川洋一郎
アニメーション制作:ぴえろ
制作:NHKエンタープライズ、NHK
著作:NHK

【キャスト】
丸尾栄一郎:村田太志
鷹崎奈津:寿美菜子
江川逞:浪川大輔
影山小次郎:寺島拓篤
深沢諭吉:下野紘
宮川卓也:柿原徹也
大林良:前野智昭
荒谷寛:羽多野渉
田島勇樹:優希
三浦コーチ:楠大典
アレックス・オブライアン:神谷浩史
マーシャ・オブライアン:潘めぐみ


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