雑誌編集者として数々の企画を打ち出し、マツコ・デラックスさんらとゲイカルチャーをけん引してきたブルボンヌさん。女装ライターにしてパフォーマーの“彼”にLGBTにまつわるソボクなギモンをぶつけてみた。

――ゲイに生まれてよかったことは?

「ゲイに生まれたことで、『“常識”とは何だろう?』と考える、哲学の第1歩みたいな視点を、早く身につけられたことですね。

自分が普通から外れている身だからこそ、普通とは何かを切実に考えざるをえなかった。そこから外れているのに普通に追いすがると、自分を否定したり、いたたまれないことになるとわかっていたから、少数者である自分を早くに受け入れることができた。

そのことが軸となり、『世の中では何を普通と言ってるんだろう?』とか『普通じゃないことで、どう嫌われたり、幸せになりにくくなるんだろう?』とか、さまざまなことを考えました。

とくに異性愛の男性は“王道”に守られやすい存在だから、普通を疑わない人が多い。だから考えずに、簡単に『普通以外』を差別したりもする。私の場合は、ゲイだったことが、生き抜くための考え方を育んでくれたし、自ら掘り下げ、“王道”に整列行進して生きる人々を、横のけもの道から引いた目線で見られたことが、よかったことかしら」