2月26日の増配発表後に株価が急騰した大塚家具(8186)の株価チャート(日足・1年)*チャート画像をクリックすると最新のチャートがご覧になれます。SBI証券HPより

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 ファミリー企業である大塚家具(8186)で経営陣が内輪揉めをしている。父親と娘が社長の座を取り合い、お互いが相手のことを経営に不要な人材であると主張しており、双方が新役員のメンバーを株主総会に提案、3月に行われる総会で株主がどちらの布陣案がいいかに投票をするという委任状争奪戦に発展している。

 これまで我が国においての委任状争奪戦と言えば、M&A関連、あるいは、増配の要求に関するものが多かった。役員任命に関する株主提案は、概ね実現性の低いものがほとんどであり、今回のように旧社長、新社長が真っ向から対立し、しかもそれが親子で、というケースはほかに思い当たらない。

M&Aに発展しそうだが、増配が買収防衛策に・・・

 株式投資の観点で先行きを考えると、ここまで泥沼化してしまったなら、どちらの言い分が通ろうが、この先の経営は容易ではないことが考えられる。

 ここはいっそのこと、外部から新社長を招聘してくる、あるいは、他社との協業や提携によって新たな打開策を見出すというのが、あり得るシナリオである。父は主要株主でもあるので、もし今回の委任状争奪戦に敗れた場合は、自分の経営方針を理解してくれる他社に株式を譲渡するということも考えられよう。

 しかし、それを見越してか、娘社長の会社側は先手を打つ形で大幅な増配を発表した。一株40円から80円に引き上げるというもので、発表前の株価は1100円前後であったので、配当利回りにしてみると、3%台後半だったものが、7%を超えるということになる。

 この配当利回りでの妙味に市場が注目して、2月26日の株価はストップ高となった。株価が上がってしまえば、第三者が同社を買収しようとしても割高と映ってしまい、実行に移せない可能性が高い。この増配は買収防衛の役割を果たすわけだ。

 また増配の恩恵を受ける株主たちは、委任状争奪戦において現経営陣側を支持する一つの要因にもなろう。つまり、現経営陣は札束で票を買いに行くと同時に、買収防衛策をも手当てするという芸当をやってのけようとしている。

 また増配をすれば、主要株主である父親にも相応の配当金が支払われることになる。これは、娘から父に対する「これだけ支払うんだから、もう口を挟まないでくれ」という手切れ金としての側面もあるのではないだろうか。ある意味では退職慰労金とも言えるかもしれない。

 このように考えると、今回の増配はなかなかによく練られた策であることが見えてくる。

 企業が大幅増配を実施する際は、物言う株主のプレッシャーによる場合が多い。今回も、大塚家具の主要株主としては、かつて小野薬品工業(4528)に大幅な増配を要求したブランデスが存在し、もしかすると同社からの圧力が存在したのかもしれない。もしもそうだったとすると、今回の増配はなおのこと現経営陣の地位を守る有効な手段ということになる。経営の経験が浅いと父に言われる娘社長だが、なかなかの戦略家だ。

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