セガの奇ゲー『トージャム&アール』新作始動。初代開発者による正統進化

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かつてセガの変ゲーとして半端な人気を誇った『Toejam & Earl』(トージャム&アール)シリーズの完全新作プロジェクトが始動しました。

(SEGA GENESIS / メガドライブ向けの初代トージャム&アール)

第一作が米国で1991年、国内では1992年にメガドライブ向けとしてセガから発売された『トージャム&アール』は、2プレーヤー協力が可能な見下ろし視点アクションゲームに、ローグライクな探索とランダム生成要素を加えた作品。

......と説明すれば至って普通のゲームですが、主人公は棒のように突き出た目と三本足、全身真っ赤な異形ながらラップ好きな宇宙人の少年と、風船のようなぷよぷよボディに触角、サングラスをかけたその相棒というキテレツな組み合わせ。

宇宙船の事故で不時着した彼らが母星Funkotronに戻るため探索する舞台といえば、名前こそ地球とされているもののどう見てもわれわれの知る地球ではない、奇妙に歪んだ原住生物に支配される謎の平面多層構造物といった具合です。

珍妙な世界観と、ランダム生成されるステージやアイテムが生み出す奇妙なプレイ感覚、意外と高度なリアルタイム画面分割協力プレイなどが地味な評判を呼び、たまたまソニックの登場で一時的な勢いに乗ったGenesis では期待以上のスマッシュヒットとなりました。日本においては、メガドライブが市場的には負け組ながら変なゲームが遊べるプラットフォームとの印象を決定的にした犯人グループの一員として、ごく一部で偏愛されています。

その後は米国向けに同じジェネシスで普通の横スクロールアクションになった2 (Panic on Funkotron)が出たものの振るわず、サターンとドリームキャス時代は途絶えた(DC版はベータ段階で発売断念した)のち、2002年には初代 Xbox で初代に近い3D検索ゲーム (Mission to Earth)が発売されたけれどやはり初代ほどの評価は得られず、以降10年以上も忘れられたシリーズと化していました。国内向けには初代しか発売されていません。(初代はWiiのバーチャルコンソールで、初代と2は Xbox 360のLiveアーケードで復刻されています)。


といったカルト作品をいまさら蘇らせようと画策するのは、初代から全作品を手がけたオリジナルのゲームデザイナー Greg Johnson氏。トージャム&アールはもともとジョンソン氏が独自に開発してセガに発売を持ちかけた経緯です。

インディペンデント開発者として34年のキャリアを持ち大手パブリッシャーからの著名作品も多数手がけたベテランですが、やはり自作としては Toejam & Earl にもっとも愛着があり、パブリッシャーの力を借りず自由にインディーズ作品が作れる可能性があるクラウドファンディングを選択したと語っています。

パブリッシャーが興味を示さないような時点では市場的な成功の見込みも低いのでは、との見方もできますが、リスクを恐れるパブリッシャーには見向きもされなかった作品が新しいプラットフォームで人気を博し凱旋を飾る例、途絶えていたかつての人気作がファンの出資で復活した例は、クラウドファンディングの定着でたしかに増えています。(流れに乗れると安易に挑んで立ち消えるプロジェクトも数多ありますが)。

またトージャム&アール シリーズは、初代の進化形を目指したもののセガの意向で『普通の』プラットフォーマーになった2、セガの判断でXboxでしかリリースされなかった3など、オリジナルの開発者とパブリッシャーの意向が必ずしも一致しなかったシリーズでもあります。

経緯はともかく新作『Back to the Groove』の話をすれば、ゲーム内容はローグライク(ライク)だった初代の正当な続編として、地形描画は3Dながら視点は見下ろし2D、キャラクターは2Dスプライトで表現します。セガではなくオリジナル開発者のジョンソンがキャラクターの権利を持っているため、今回はセルフパブリッシュのインディーズ作品として、まずPC向け Unity ベースで開発する予定。iOS や Android 、 PS4 や Xbox One といったプラットフォームはまずプロジェクトが完成してからの話です。

ゲーム内容も初代を引き継ぐものの、ステージを3D表現したことでカメラの要素が加わり、ぐっとズームアウトすれば下層が見えてレベルの行き来に戦略性が加わるとされています。またランダム生成要素は変わらないものの、ゲームを超えて蓄積される能力やアンロック、少しずつ完成させる要素など、現代にふさわしい要素も加わる予定。現在は動くコンセプトデモに近いごく初期の段階です。詳しくは開発者による口上を聞いてください。

Kickstarterでの開発資金調達キャンペーンは、PC向けのゲーム本編と協力者クレジットのみが15ドル。あとはポスターやマグカップ、Tシャツ、主人公たちのフィギュアなどおまけつきのメニューが延々と続きます。数千ドルから万ドルの上位ティアでは、ゲーム内の壁にグラフィティとして名前を残す権利、ゲーム内に協力キャラクターとして登場する権利、開発スタジオでジョンソンやウィル・ライト(あのWill Wright)など業界人とボードゲームパーティーに招待される権などもあり。

調達目標の40万ドルに対して、キャンペーン開始2日目時点で集まったのは約15万ドル。少人数チームのため目標額は控えめながら、出荷は「完成したら」という気の長い話です。記憶の片隅に引っかかっていたあの奇妙な宇宙人たちの活躍をまた見たい!というかたは多少払っておくと、忘れた頃に完成するかもしれません。