Firefox OSスマホ「Fx0」は“縛り”を打ち破る端末だった:レヴュー

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2014年末にauが発表した、Firefox OS搭載機「Fx0」は、これまでの「縛り」からユーザーを解放するスマートフォンだ。KDDIとMozillaのコラボレーションから誕生した、次世代のモバイルデヴァイスは、これからどこへ向かうのか。米マウンテンヴューのMozilla本社を訪れ、Mozillaコーポレーションのリー・コン社長(Li Gong)に、Fx0のもたらす可能性を訊いた。

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WIRED
・表示がクリアなHD IPS液晶ディスプレイ
・“ギーク”の要求に応えるカスタマイズ性
TIRED
・対応アプリがまだ十分でない

これまでにも、数々のデザイン性の高いモバイルデヴァイスを発表してきたauだが、それでも「Fx0」の見た目は印象的だ。トランスルーセントのポリカーボネイトボディは、中のパーツが全て透けており、Firefox OSとLG Electronicsの名前が入ったバッテリーや、SIMカードの位置まではっきりと見える。

吉岡徳仁による細部までバランスがとれたプロダクトデザイン。筐体は特注品のネジを使って組み立てられ、Firefoxのロゴが刻印されたホームボタンは、完成まで10回以上金型をつくり直したという完成度の高さで、手に持ったときにしっくりくる質感がある。

スマートフォンとしての機能は、どうだろう。ホーム画面のスクロールが縦方向だという違いはあるが、iPhoneやAndroidと比べてあまり違和感はない。

当然ながらスマートフォンとして必要な、電話、メール、カメラ、音楽プレイヤー、動画プレイヤーの機能は搭載されており、Facebook、TwitterなどSNSやゲームのアプリも、専用の「Firefox Marketplace」から追加ダウンロードできる。

Windows Mobileフォンが、その性能の高さは認められながらも日本市場で伸び悩んだのと同様に、ダウンロードできるアプリの数が少ないのは正直気になる。だが、どうしても使いたいアプリがあるのでなければ、ラインナップとしては十分なのかもしれない。

あらためてスマホとしての単体機能を見直してみると、4.7インチのHD IPS液晶ディスプレイは表示がクリアで見やすく、スクロールやスワイプ操作の反応も悪くない。オムロンソフトウェアのiWnnをベースに開発した日本語入力も使いやすいと評価は高い。

アイコンのサイズやホーム画面のカスタマイズまで詳細にカスタマイズできるという点では、確かにギークユーザーの方がより楽しめるかもしれないが、「高機能にも使えるシンプルなスマホ」という方が正しいかもしれない。

本体ハードをカスタマイズできる点も魅力になるだろう。Fx0はケースの3Dデータが公開されていて、ダウンロードして自在にデザインを変えられるようになっている。例えば、カメラ三脚用のネジ穴付き、なんて着せ替え用ケースをつくるといったことができ、いまやひろく提供されている3Dプリンター出力サーヴィスを利用して出力すれば、色や材質も好みに仕上げられる。

気になる月額利用料も、高速データ通信の4G LTE対応で、auが提供するスマートフォン向け料金プランが月3,800円(*)から用意されており、既存のスマホとも比較購入対象に十分なりうる。同じOSをバージョンアップするのと同じぐらいの感覚で、意外にするりと乗り換えられるかもしれない。[* 新規契約(MNP含む)でFx0を購入した際に加入できるデータ定額サーヴィスを組み合わせることで月額利用料3,800円〜(加入翌月〜24カ月目)という料金プランが用意されている。]


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「カメラ三脚用のネジ穴付き」ケースのデータを作成してみた。心得のあるユーザーたちがコミュニティを築き自分たちの欲しいかたちを実現していく様は、まさに「つくる自由」を体現したものだといえる。

MozillaがFirefox OS搭載スマートフォンの開発プロジェクトを正式にスタートしたのは2012年のことだった。

同年7月にサムスン製のデヴァイスでFirefox OSのデモを公開し、翌13年2月にスペインのバルセロナで開催されたモバイル関連の国際イヴェント、MWC(モバイルワールドコングレス)のプレイヴェントで、KDDIと共同でオリジナルデヴァイスを開発すると発表している。しかし、製品に関する情報はほとんどなく、14年度内に発売すると再び発表があったものの、約束は守られないであろうと思われていた。

状況が突然動いたのは、発表から20カ月後。東京で開催されたMozilla Japanのイヴェント「Mozilla Open Web Day in Tokyo」の会場で、KDDIの田中孝司社長がFirefox OSフォンをクリスマスに発売すると発表。14年12月23日に発表されたFx0は、世界初のハイエンドなFirefox OS搭載スマホという、予想外の仕上りで世界を驚かせた。

というのも、Mozillaは29カ国、15のキャリアからFirefox OSスマホを発売しているが、そのほとんどがエントリーモデル、あるいは開発者向けである。特に廉価版スマホという印象が強く、昨年6月には、当時COOだったリー・コンが、上海の「Mobile Asia Expo 2014」でインド市場に25ドルでスマホを発売すると発表しており、昨年10月には本体価格35ドルの「Cloud FX」を新興国向けに発売している。

「Mozillaは、いまやインターネットを体験する窓口として最も普及しているモバイルを、さらに多くの人たちに拡げるためにFirefox OSスマホの開発を行っています。いまもフィリピンやアフリカ向けに低価格スマホを発売する計画を進めていますが、本来はハイエンドモデルにも十分搭載できるOSであり、KDDIとの共同開発は絶好の機会だったといえます。難しい問題も多かったが、互いに最高のアイデアと技術を出し合った結果、Fx0が誕生したわけです。その仕上がりは、とても満足がいくものです」(コン)

それにしても、MozillaはなぜこれほどまでにFirefox OSスマホの開発に力を入れているのか。その答えは、Mozillaが設立された時と同じく、「特定の企業が開発する技術が市場で大きなシェアを占めることで、イノヴェイションを推し進める力を滞らせないないようにするため」だとコン社長は言う。


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1/3マウンテンヴューにある本社はアクセスフリーなオープンンスペースが設けられ、シリコンヴァレーの開発コミュニティのための交流拠点にもなっている。

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2/3広いシリコンヴァレーを移動するために誰でも自由に使えるFirefox用のフリーバイクも提供している。

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3/3大小様々なミーティングルームがたくさん用意されており、ネットワークを通じて世界中のMozilla開発者といつでも話し合えるようにしている。

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マウンテンヴューにある本社はアクセスフリーなオープンンスペースが設けられ、シリコンヴァレーの開発コミュニティのための交流拠点にもなっている。

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広いシリコンヴァレーを移動するために誰でも自由に使えるFirefox用のフリーバイクも提供している。

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大小様々なミーティングルームがたくさん用意されており、ネットワークを通じて世界中のMozilla開発者といつでも話し合えるようにしている。

そもそもMozillaは、1998年当時、インターネットブラウザー市場で全盛を極めていたマイクロソフトのインターネットエクスプローラに対抗するための、オープンソースプロジェクトをはじまりとしている。

代名詞であるFirefoxブラウザーは、「インターネットを健全でより良いものにする」ことを目的に集まった世界中のボランティアによりオープンプロセスで開発が進められ、技術や情報はすべて公開、共有されている。

現在のスマホを中心とした、モバイル市場はそのころと状況が似ており、2014年に世界で販売されたスマートフォンの総数は12億台を超えるが、そのOSは、GoogleのAndroidが81%、AppleのiOSが15%と、ほぼこの2社によって占められている(Gartner調べ)。

「モバイル市場は人々の生活に大きな影響を与える存在になっているが、現在はあまり健全とは言えない状況にあります。そうした状況を打破するため、Windowsやサムスンなどの企業も、Mozillaと同時期に独自OSの開発に乗り出しています」というコン氏。「Mozillaがそれらの企業と大きく異なるのは、市場から得られる利益ではなく、逆にオープン性を保つことによってイノヴェイションを推し進め、純粋に技術を発展させようとしている点にあるのです」。

Mozillaファウンデーションは非営利組織として運営されており、すべての利益はコミュニティに還元されている。米マウンテンヴューにある本社は、開発コミュニティのためのフリーアクセススペースとして開放され、毎週開催される勉強会には、周辺のシリコンヴァレー企業に勤める技術者やクリエイターたちも数多く集まるという。

そうした環境から誕生したFirefox OSは、ブラウザーのFirefoxと同じくHTML5やjavascriptといった、ウェブ標準技術をベースに開発されている。モバイルアプリの開発はOSに合わせた開発スキルが必要とされるが、Firefox OSは、ウェブアプリ開発やサイト構築で使われる技術がそのまま応用でき、システムエンジニア以外にもクリエイターやデザイナーが開発に参加しやすい環境となっている。

「これまでFirefox OSは低価格機種向けだという印象をもたれていましたが、Fx0はそれを払拭するには十分な完成度で、わたしたちが考えていた以上の機能やアイデアが実現されています。すでに開発コミュニティも動いており、Mozilla全体への大きな刺激になっていると感じています。イノヴェイションをおこすのに大事なのは、誰もが自由にアイデアを出し合い、実現できる環境づくりだと考えていますが、Fx0もそのための環境になりつつあります。プロジェクトは製品を発表したから終わりではなく、コミュニティにとってはこれからがスタートなのです」

AmazonのFire Phoneが大失敗に終わるなど、昨年はあまりパッとしなかったモバイル市場だが、今年に入って、延期やプロジェクトの混乱が続いていたTaizenについて、サムスンから新製品を発売すると発表があったり、ブラックベリースマホも参入したりと、iPhoneとAndroid以外のOSの動きが活発になっている。そうした状況で、Firefox OSとFx0がどのような存在感を見せるのか、今後もその存在に注目したい。

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