ガレージにあったタイヤで人間バイクになる地本草子さん・八田モンキーさん 撮影:市村岬

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前回は虹のコンキスタドールから3人を招いて初心者の女の子のアイデアを元に行ったバイクカスタム企画。今回はバイク大好きのライトノベル作家、地本草子さんと八田モンキーさんをゲストに迎えて一緒にカスタムしていきます!

それぞれバイク遍歴を持ちながら、ハーレーに触れる機会は今回が初めてという2人。果たしてどのように仕上げるのでしょうか。

バイク好きは作品の中でも


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『メイド喫茶ひろしま』


お二人ともバイクが好きということで、それぞれ自身の作中でもバイクの話がちらほらと。

八田 僕の書いた『メイド喫茶ひろしま』では登場人物の名前を主要4メーカーから取っているんです。ヒロインの滝本多麻(たきもとたま)のほか、大鈴稀星(おおすずきらら)、遠山葉月(とおやまはずき)、美濃川咲夜(みのかわさくや)で、それぞれ名前の真ん中にホンダ、スズキ、ヤマハ、カワサキを入れています。

黒猫の水曜日

『黒猫の水曜日』



地本 逆に僕は本の中でバイクのことを書くと、読者を置いてきぼりにしちゃうような気がするので遠慮気味にしてるんですよ。つい自分1人で盛り上がっちゃうから。でもデビュー作の『黒猫の水曜日』1巻で、イスタンブールのボスポラス海峡の橋の上で装甲車から逃げるっていうバイクのアクションシーンは書きましたね。

4月に出す次の本はヒーロー物で、そちらでも高速道路でのチェイスシーンがありますよ。

今回カスタムするハーレーについて、その印象は……


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地本 まず高級ですね。でも、ここに来る前にちょっと調べたら同じ排気量の日本車と値段はあんまり変わらないか、オプションなしだと外車としてはもしかしたら安いのかもしれない。

八田 でもヤフオクで車体を買って自分で整備していたのに比べると、維持費でけっこうかかりそうだな。大学生とか乗ってたら舌打ちしたくなっちゃう(笑)。僕はハーレーと言うと値段というよりのイメージかな。

地本 旅、それと自由! フリーダムですよ。乗ってる奴は絶対革パンに上半身裸で革のベスト着てて、頭に星条旗かドクロのバンダナを巻いてる。アメリカ人の愛国心って、日本人の僕らが言うところの愛国心と違うんだよね。彼らにとっては政府ありきのものじゃなくて民主主義で、俺達がこの国の主役だっていう上でのものだから。

八田 ハーレーは民主主義ということ?

地本 そう、ハーレーは民主主義の象徴だよ! アメリカっていう国の民主主義の象徴、権化ですね! けっこうお年の方がハーレー乗ったりするじゃないですか。あれはある種、社会から自由になったということの発露だと思うんです。ハーレー乗ってる人は皆アナーキストなんだよ。

八田 それって民主主義と結びつくかなぁ?

ハーレーだけでなくバイクへのイメージを好き勝手言い始める2人



八田 僕は『メイド喫茶ひろしま』の4人を考えた時、メーカーのイメージで多少性格も意識してましたね。

地本 スズキの場合だとムッツリスケベで変態の女の子ってよく描かれますよね。

八田 ホンダは主人公、ヤマハが都会っ子でカワサキが古風な感じ。

地本 古風っていうかスケバンですよ、ヤンキーで木刀とか持ってるの。絶対スカート長い。ハーレーは、女の子なら金髪のチャンネーが星条旗のビキニでカウボーイハットにブーツ、それに地理に弱くてテキサスっ子みたいな。

雑誌を見ながら

雑誌のホットパンツの美女を指さして「これがハーレーだよ!」



八田 ライトノベルに限らず映画でもアニメでも、絶対車両からの人物イメージって意識してますよね。

地本 ハリウッド映画でハーレー乗ってるヤツってどういう風に描かれるかというと、やっぱりアウトローで法に縛られない奴がドゥドゥドゥドゥってエンジンを鳴らしながら移動してるんですよ。

八田 じゃあハーレーのアンチテーゼになるメーカーってどこだと思います?

地本 ハーレーの一部門としての「Buell」もすでにアンチテーゼっぽいけど、やっぱりホンダじゃない? ハーレーってエンジンであったり、ある種時代的に古いものを守っているのに対して、その対極としてハイテクを推し進めていったのがホンダじゃないのかな。モーターみたいな馬力のあるエンジンつくって音も静かだし。

八田 まぁ対極ですね。ハーレーは音と振動を楽しむところがあるから。

地本 スズキ乗りから言わせるとハーレーは怖いです。バイク乗りの間だと、スズキ車乗りを「鈴菌」って言うじゃないですか。その感染者の治療法の一つとして、延々とハーレーを眺めさせて改心させるっていうのがあるんですよ。

八田 スタンダードなところのカッコよさっていうのを押し付けるわけね。(笑)

※あくまで個人の見解です

ひとしきりバイクに対するイメージを言い合ったところで、やっと今回のカスタムを考えていきます。

またがった印象から方向性が見えてきた?


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カスタムのイメージを掴むべく、ひとまずまたがってみた2人。ベース車のスポーツスター883はハーレーの中でも比較的軽く、思った以上に体勢も楽ということで、店頭にあった他の車輌と比べても親しみやすい様子。

その軽さを活かすということで、60年代の公道レースに端を発するカフェレーサーというスタイルでカスタムの方向性を考えることに。

カスタム相談中

店長も交え、カスタムの相談をする2人



地本 まずカフェレーサーとは何か。

八田 ハンドル周りのロケットカウルに低いセパレートハンドル、あと地面に擦らないためのバックステップでドーン!って感じ。僕はオフロードバイクが好きで車体は軽いほど良いという感覚なので、その考え方にはカフェレーサーも相反しないのかなと。パーツを付けるばかりが改造じゃない、取るのも改造なんだっていう発想。あとフェンダーを軽いカーボンに変えたり。

地本 でも、やりすぎるとハーレーのアイデンティティがなくなりそうで難しいところっすね。樹脂パーツは高級感には欠けるからハーレーの重量感を出すには本当はふさわしくない。でも、確かにリヤフェンダーがなくなるともっとスポーティになりそうなんですよね。

八田 運動性能のためにタンクももっと小さいものをつけたいですね。純正とカスタムとで重さを比べて何グラム軽くなりました!ってやってみたい。うん、大分方向性決まってきたな。

地本 そうかぁ?

八田 レトロなカフェレーサーとういうことならスポークホイールはどうだろう? タイヤも内側が白いペイントとかしてあったらカッコイイんじゃないですか?

地本 レーシングストライプも入れたいね。でっかいカウルをつけて、そこにガッっと。対向車にも「俺はやるぞ!」って印象を持たせるくらいのをね。

さて、今回の提案を受けて、一体どのようなバイクに仕上がるのでしょう? 今回も協力は、ハーレー専門のカスタムショップ・BLACKTOP MOTORECYLCE。カスタムは店長の植田さんが手がけてくださいました。

ノーマルスポーツスター

ほぼノーマル状態のここからどのようにカスタムされるのか?



【次ページ】提案を元にカスタム完成!

完成車はレーサーの雰囲気ただようオールドスタイルに


2人の意見を参考にしたカスタムは一体どうなったのか? 約3週間後、カスタムが完了したとのことで早速お店へ向かいました。

そこで待っていたのがこちらのマシン!

完成車両



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今回の車体のテーマは「夜に映えるクラシックレーサー」。

提案として挙げられたカフェレーサーのスタイルにレトロな要素も取り入れたカスタムになりました。

計画時に何度も言及された軽量化を果たすべく、各部のパーツは手が入れられています。正確な計測はしていないものの、店長曰く、10kg程度は軽くなっているのではないかとのこと。

店長も満足のガソリンタンク


タンク比較

タンクはひとまわり小さいものに。これだけでも全体の印象がグッとスリムに


見た目にも大きな要素となるガソリンタンクは純正のものより一回り小柄なものになり、軽量化・低重心化。また、タンク表面にはゴールドカラーでハーレー社のロゴとストライプをペイント。ヨーロッパ車の雰囲気も取り入れられ、「塗装屋さんとも相談して形状に映える綺麗なラインを描くことが出来ました」と店長も満足な仕上がりです。

性能重視のストリートレーサーな吸排気


ドラッグマフラー

シンプルで軽量なドラッグパイプマフラー


マフラーはエンジンからそれぞれパイプ一本でまっすぐ伸びるドラッグパイプタイプに。シンプルな構造なので純正のものに比べ軽量化したことで、取り回しのしやすさも期待できます。

このマフラーと合わせてエンジンに空気を取り入れるエアクリーナーはファンネル仕様に。浄化性能を多少犠牲にするものの、抵抗を減らしより大量の空気を吸い込むことで抜けの良いマフラーと合わさり高回転まで伸びるエンジン特性へ。

シンプルなエアクリーナーやハンドル周り

エアクリーナーのほか、ハンドル周りもミラーの変更やスピードメーターの移設でシンプルに



フェンダーは思い切り良くカット!


フェンダーカット

不要な部分はカット!


走行中の水はねを防ぐための前後輪を覆うフェンダーですが、ハーレーの場合鉄製ということで重量増となるパーツの一つでもあります。そこで全体のバランスを崩さないように気を付けつつ、不要な部分をまるごとカット!

前後ともフェンダーは小さくまとめ、後輪側のナンバープレートやテールランプも車体横にコンパクトにまとめました。

リア周り

フェンダーをカットしたためナンバプレートは車体横に



フェンダーから覗くタイヤはクラシックな縦溝のもの。溝だけでなくシルエットも最新のタイヤに比べ丸みのある形状で、全体の雰囲気と相まってよりビンテージ感を漂わせます。

店長

勢い良くやりつつバランスも大切に、とカッター片手に店長



大きなパーツの変更だけではなく、ウインカーやエンジンカバーといった細かい部分も要所をおさえて黒にペイント。全体を通して引き締まった、夜の街にも映えそうな一台となりました。

完成車back



完成版について、2人の感想は?(仮)


そして、今回コンセプトを考えていただいたお2人にも、完成版を見て感想をいただきました。

地本 スズキのバイクはデザインの完成度が極めて高いので、普段はあまりカスタムをせず、オリジナルの状態で楽しむことがほとんどの僕ですが、今回の取材を通して少なからずその意識が変わったかもしれません。だってこのスポスタ……めちゃんこかっこいいじゃないっすか!?

店長さんのスーパー調教スキルによって、想像の遥かに上をいくかっこよさに仕上がったスポスタは、まさにテキサス娘が一夜にして洗練されたニューヨーカーに変貌した感じです!そしてタンクのラインが黒タイツからうっすらと透ける生肌のようにエロく、こんなスポスタならばまたがるよりもまたがられたい真剣(マジ)で!

あ゛ぁ〜、鈴菌消毒されちゃうぅ〜!

八田 まさか本当にフェンダーを切ってしまうとは思っていませんでした(汗)。
10kgの軽量と言えば、大成功ですね。店長さんのノリの良さ、そしてビルダーとしてのこだわりに感動しました! っていうか、カスタム後の車両のかっこよさを見ると、もう車重とかどうでもいいですね。

いつの日か富と自由を得ることがあれば、店長さんにフルカスタムをお願いして旅に出ようと思います。そういう夢とか野望とか概念的なものこそが、僕にとっての"ハーレー"だということで(?)、この度はとても楽しい企画に呼んでいただきありがとうございました!

今回のショップ訪問でカスタムによって自分の色に染める楽しみかたや、ハーレーの持つ歴史的なフロンティア精神を感じたという2人。自由な発想でオリジナルの一台をつくり上げられるバイクの楽しさを改めて体感したようでした。