パリの貴族から学んだ、毎日を“特別な日”のように生きるヒントが満載。『フランス人は10着しか服を持たない〜パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣〜』(ジェニファー・L・スコット 神崎朗子訳/大和書房)

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『フランス人は10着しか服を持たない〜パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣〜』(ジェニファー・L・スコット著/大和書房)が30万部を突破。
アメリカ人女性の著者が、学生時代にフランス・パリの貴族の家にホームステイしたときに学んだ“シック”なライフスタイルについてまとめたもので、原題は「Lessons from MADAME CHIC」。”フランス人は10着しか持たない"というのは邦題で付け加えられた。

ホームステイの初日、部屋に案内され、小型のクローゼットしか置いていないことに驚く。
「やがてすぐにわかったのだが、この家の人たちには、これくらいの小さな収納で十分だった。というのも、各自10着くらいのワードローブしか持っていなかったから」

10着のワードローブを選ぶためには、服を捨てなければならない。気に入っているか、着ているか、似合っているか、いまのわたしらしいと言えるかの4項目をチェックしながら、どんどん捨てる。
その結果、片付いているクローゼットを見るたびに気分まで晴れやかになり、買い物欲がおさまっていくのだ。

このプロセスは、ときめく・ときめかないで、いる・いらないを判断をする『人生がときめく片づけの魔法』(近藤麻理恵/サンマーク出版)や物への執着を捨て、自分の運気を磨く『新・片づけ術「断捨離」』(やましたひでこ/マガジンハウス)とも近い考え方だ。
さらに、この本では服の捨て方だけでなく、どんな服を選んだらいいのかを提案している。

最小限のワードローブで着回しすることはパリではめずらしくない。ホームステイ先の家庭だけではなく、ほかのフランス人家庭も、フランス映画のヒロインも、みんな同じ服をしょっちゅう着ていた。
「アメリカでは、同じ服を1週間に2回着るのはちょっと恥ずかしいし、ましてや3回なんてとんでもないと思っている。でも、フランスでは、そんなのは当たり前のことだった。だって、みんなそうだから!」
なんともうらやましい!
アメリカ同様、日本でも同じ服を週に何回も着るのには勇気がいる。しかし、フランス人は定番スタイルがあり、どんな服を着たら自分の美しさが引き立つか分かっている。手抜きしている訳ではなく、自分のスタイルを確立しているからおしゃれに見えるのだ。

著者自身も10着ワードローブに挑戦する。10着といっても、コートやドレス、アクセサリー、靴、重ね着用のシャツなどは含まない。また、季節ごとに見直してアイテムを入れ替えてOKだ。
「ポイントは、似合わない服や、ほとんど着ていない服、質の悪い服であふれ返っているクローゼットとおさらばすること。最終的な目標は、自分らしさを表現してくれる大好きな服ばかりにすること。そして、大切な服をゆったりと収納できるようにすることだ」

まずは自分のスタイルを見つけるために、なぜその服を着ているのかをじっくり考える。家族や恋人からのプレゼントだから、払ったお金がもったいないから、トレンドの服だから、モデルが着ていたから……。「わたしたちはつい、まちがった理由で服を取っておいて着てしまう。(中略)そうではなく、自分が本当に好きな服を着よう」

次に自分をどんな人間として印象づけたいかを考え、「テーマ」を一語で表す。著者の場合は「リラックス・リュクス」。カリフォルニアに住んでいて、カジュアルでおしゃれな感じのスポーティーな服が好き(=リラックス)で、シルクやカシミアなど高級素材が好き(=リュクス)だから。
よって、彼女の定番スタイルは、「スキニージンズにバレエシューズ、細身のブレザー、そしてシルクのトップス」となる。

自分のスタイルの「テーマ」が決まったら、目指すスタイルにぴったりのデザイナーを見つける。そうすれば、基本的にトレンドは無視して、お気に入りのブランドの新作をシーズンごとにチェックし、必要な分を買い足しすればいい。簡単かつ、お金や時間の節約にもなる。

『CLASSY.』2015年3月号で『もしもスタイリストが10着しか服をもたなかったら』という特集が組まれている。
人気スタイリスト3人がそれぞれ厳選した10着を紹介。着回しやすい服の選び方のヒントやコーディネート例があり、イメージがしやすく分かりやすい。それぞれテーマをつけるとすれば、「トラッド・カジュアル」「エレガント・フェミニン」「シンプル・モード」といったところだろうか。

手持ちの服と似ていた「トラッド・カジュアル」を参考に、私自身も10着ワードローブに挑戦してみた。といっても、10着ワードローブを揃えて2週間着回してみたというのが正しいところ。けれど、これでいいのだ。
著者も、こうアドバイスしている。
「とりあえず、一度はちゃんと試してみて、自分にはどんなワードローブが必要かを理解してほしい。そうすれば、どんな服を買い足せばいいのかわかるようになる。家のなかを見渡すようにワードローブも厳しくチェックして、余計なものを増やさないようにしよう。そうするうちに、本当に自分らしいスタイルが少しずつわかってくるはずだ」

まだ10着に絞りきれていないが、10着以上の洋服を手放すことはできた。ショッピングに出かけても衝動買いをすることはない。少し余裕ができたクローゼットを見るのも楽しくなってきた。なによりも好きなものにだけ囲まれていると、すっきりとして気持ちいい。
(平野友紀子)