■2月特集 2015年躍動するホープたち(10)

 2014年シーズン、若きヒロインが続々と登場した日本女子ツアー。春先には、当時15歳のアマチュア女子高校生・勝みなみ(16歳)が史上最年少優勝(15歳293日)を遂げて「アマチュア旋風」を起こせば、秋には20歳の鈴木愛がメジャー大会の日本女子プロ選手権で初優勝を飾って脚光を浴びた。他にも、成田美寿々(22歳)がツアー3勝を上げて賞金女王争いに加わる活躍を見せれば、香妻琴乃(22歳)や渡邉彩香(21歳)らが何度となく上位争いを演じて奮闘。個性的な新鋭たちがツアーを盛り上げた。
※文中( )内の年齢は2015年2月25日現在のもの。以下同。

 そして今季も、より多くの若手プレイヤーの躍進が見込まれ、新たな「ヒロイン」誕生ムードに包まれている。

 まず、アマチュア時代からの実績と周囲の期待値からその候補に挙げられるのは、柏原明日架(19歳)、堀琴音(18歳)、平野ジェニファー(24歳)の3人だ。

 柏原は、ジュニア時代から将来を嘱望される「逸材」と言われてきた。高校2年生のときには、イギリスで開催された男女混合の「ジュニアオープン選手権」で優勝。女子選手としては史上初の快挙を成し遂げた。

 昨季は、アマチュアながらプロツアーで2度もトップ10フィニッシュ。プロとなった今季は、さらなる活躍が見込まれているが、残念なのは、今季のツアー出場権を争う昨年末のファイナルQT(※)で58位と振るわなかったこと。結果、今季は主催者推薦など、限られた試合にしか出場できない状況にある。
※クォリファイングトーナメント。ファースト、セカンド、サード、ファイナルという順に行なわれる、ツアーの出場資格を得るためのトーナメント。ファイナルQTで40位前後の成績を収めれば、翌年ツアーの大半は出場できる。

 とはいえ、テレビ解説などでお馴染みの森口祐子プロは、柏原が飛躍する可能性は十分にあると語る。

「我々の時代は、アマからプロ、そしてトッププロへと段階を踏んでいったけれども、今の若い選手はその境目がなくて、言ってみれば、怖さ知らずのまま流れに乗っていける人が上にいけるわけです。柏原さんも、変にプロということを意識せず、アマチュア時代のゴルフをしていけば、自然と結果は出ると思います」

 堀琴音は、一昨年ツアー2勝を挙げて一躍トッププロの地位を築いた堀奈津佳(22歳)の妹。アマチュア時代は、姉と同じようにナショナルメンバーの一員としても奮闘し、昨季はプロツアーで、アマチュアながら出場3試合連続トップ10フィニッシュという快挙を成し遂げた。7月にプロテストを合格したあとも、日本女子オープンで16位タイという好成績を残して、多くの関係者がツアー初優勝も間近、と見ている。

 堀琴音の強みは、姉の奈津佳曰く「狙ったところに打てるショットと、マネジメント能力の高さ」と言う。とりわけ、ショットの安定感は抜群。"左手一本の片手打ち"を、ジュニア時代から一日最低100球はこなして、体幹を鍛えてきた効果だ。ファイナルQT45位と、ツアー参戦の条件は決して恵まれてはいないが、持ち前の勝負強さで早々に結果を出してもおかしくない。

 日系アメリカ人の平野ジェニファーは、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ出身だが、日本でのプレイを望んで昨年プロテストに合格。昨季ツアーでは、プロテスト合格前のステップ・アップ・ツアーで1勝し、合格後も歴代優勝者にトッププレイヤーが名を連ねるLPGA新人戦加賀電子カップを制した。プロでも十分に戦える実力の持ち主で、女子ツアーに精通するゴルフ専門誌記者が、今季羽ばたく「ニューヒロイン」の最有力候補に挙げる。

「(平野の)プレイスタイルは、とにかくイケイケ。飛距離の出るドライバーを武器にして、セカンドでは常にピンに絡むショットを狙ってくる。昨年末のファイナルQTでは、風邪を引いて39度という高熱がありながらプレイ。そのため、85位と結果を出せませんでしたが、実力的には若手選手の中ではトップクラス。ステップ・アップ・ツアーで結果を出して、すぐに上のツアー(レギュラーツアー)でも活躍できると思います」

 有望な選手はまだまだいる。特にファイナルQTで結果を出して、今季ツアーフル参戦を果たすメンバーたちだ。ビジュアル的にも注目されているのが、QT11位の松森彩夏(20歳)と、QT21位の江澤亜弥(20歳)だ。

 170cmという長身を誇る松森は、ドライバーの飛距離が250ヤード前後のロングヒッター。前出のゴルフ専門誌記者によれば、「都会のお嬢様的な雰囲気を持つ美人。それでいて、アスリート系というギャップが魅力」と、結果を出せば、一躍スターになれる素材だと語る。

 江澤は、埼玉県の名門・埼玉栄高校出身。現在ツアーで活躍している渡邉彩香や辻梨恵(21歳)らの後輩で、彼女らとともに全国高校ゴルフ選手権に出場し、団体優勝を飾った経験を持つ。ゴルフ専門誌記者は、「癒し系の美人選手。礼儀正しく、話しぶりも好感が持てて、すぐに多くのファンがつくと思いますよ」と、松森同様、スター性の高さに太鼓判を押す。

 QT上位選手には他にも、25位の青木瀬令奈(22歳)、26位の種子田香夏(19歳)、35位の武尾咲希(20歳)、36位の大西葵(20歳)、そしてQT37位で、LPGA新人戦加賀電子カップでも2位という好成績を残した永峰咲希(19歳)と、逸材がズラリ。それぞれ高い能力を秘め、楽しみな存在ばかりだ。

 近年、若手プレイヤーの躍進が著しい女子ツアー。今季も「ニューヒロイン」が続々と誕生するのは間違いない。そのフレッシュかつアグレッシブな戦いから、目が離せない。

古屋雅章●文 text by Furuya Masaaki