究極の“自意識あるある”とは? 地下室でニコ生を配信する40歳ニートを安井順平が熱演
「安井順平さんって知ってる?」と友人に聞くと、「知らない」。動画を見せると、「知ってる!」という答えが返ってきます。元々は芸人さん。“芸人兼、俳優”というのが、抜群にハマる人です。

 2014年に主演した舞台『地下室の手記』で、第21回・読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE2 サイキック・ラブ』、ネスレシアター『踊る大宣伝会議』で話題沸騰! “次クル人”と注目されています。

『地下室の手記』が大盛況につき、2月25日(水)より再演が決定。前回の公演がとんでもなく異色で面白かった! と聞きつけ、稽古場にお邪魔してお話を聞いてきました。

――お芝居のストーリーを教えていただけますか?

簡単に言うと、自意識過剰な男の話ですね。自意識の発露が異常な、40歳ニート男の地下室でのモノローグです。引きこもって、ニコ生の視聴者に対して「俺がなぜ引きこもっているか説明してやる!」と配信するんです。

――ドストエフスキー『地下室の手記』が原作なんですね。

ドストエフスキーの原作を読んだとき、「150年くらい前の聖帝ロシア時代にも、こういう男いたんだ」と思いました。こじらせていて、傍から見ていてイタイ奴。「俺じゃねえか!」と思ったんですよね(笑)。感情移入が凄かったです。自分と似すぎていて気持ち悪くて。でもこれを演劇でやるなら、究極の“自意識あるある”になるんじゃないかなと思いました。ほとんどの人が共感できるだろうなと。

――どの辺りがとくに共感できますか?

本当はこう言いたいのに、自意識が発動して違うことを言ってしまったり。女性に対して、本当は嫌いじゃないのに、「だから駄目なんだよ!」と説教しちゃったり。家に帰ってから悶絶するパターンですよね(笑)。男は分かるだろうなと思ったんですけど、女性も意外と共感してくれたんですよ。自意識という点では、女性もあんまり変わらないんだなと思いました。

――自意識を吐き出すツールが、聖帝ロシア時代は「手記」、現代は「ニコ生」ということでしょうか?

まさにその通りです。僕はニコ生どころかツイッターもやっていないんですけど。「こう思われるんじゃないか?」とか、考えちゃうんですよ。この文章の書き方って、たぶん相手にとってこういう感じになるんだろうな、とか。演出の前川知大さんもそういう人なんです。これだれか出来ないかな?と考えていたときに、「安井なら出来る!」と思ってくれたみたいです。

――『地下室の手記』、どういう人に見てほしいですか?

抽象的な難しい芝居ではないので、初めてお芝居を見る方も入りやすいのかなと。共感できる部分が多いと思います。僕が自意識過剰の男を演じることで、「バカだなこいつ」「なんでそんなことやっちゃうんだよ」と笑いながら見られるような形にしたいですね。「君だけじゃないよ、もっと酷いやついるよ」という勇気を与えられたらなと思います。

――ありがとうございました。公演、楽しみにしています!

 コミュニケーション障害(いわゆるコミュ障)の人が増えている今、このお芝居はきっとウケるに違いない! 安井さんはご自身のことを「自意識過剰のこじらせ男」と言っていましたが、安井さんのように演劇に生かせる自意識であれば、いくらでも過剰でいいよなぁ、と羨ましくもなりました。「自意識のやり場がない……」という人は、『地下室の手記』を通して、なにか発散するヒントを得られるかも知れません。

<取材・文・撮影/尾崎ムギ子>

⇒【YouTube】予告動画 http://www.youtube.com/watch?v=rZXyBdYmm9w

『地下室の手記』
【原作】ドストエフスキー
【脚本・演出】前川知大
【料金】前売 3,800円/当日 4,000円(全席指定・税込)
【東京公演】2月25日(水)〜3月9日(月)赤坂RED/THEATER
【大阪公演】3月13日(金)〜15日(日)HEP HALL
【主催】イキウメ/エッチビイ www.ikiume.jp