尖閣諸島で軍事衝突が起きたとき、アメリカは日本を助けてくれないのではないか、という議論がある。もし、そうなった時、日本はアメリカなしで中国と戦うことができるのだろうか。中国の国防費は日本の10倍、兵力も10倍に達する。軍事ジャーナリストの井上和彦氏はそうした物量だけでは日中の本当の軍事力は計れないと指摘する。

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 結論から先に言えば“量”で圧倒された自衛隊が“質”で人民解放軍を退けている。

 たとえば、航空自衛隊の主力戦闘機F-15Jは米F-15のライセンス生産機であるが、日本独自仕様の電子機器を搭載し、さらにその稼働率は本家アメリカを上回るという。これは世界一といわれる日本の品質管理技術の賜物なのだ。

 対する中国の殲11は、米F-15に匹敵するとされるロシアのスホーイ27の輸出用ダウングレード版をライセンス生産したもので、以後、中国が独自に改良を重ねているがその性能は定かではない。

 そもそも航空機製造の技術基盤が確立されていない中国で、最新鋭ハイテク戦闘機をカタログに書かれたスペック通りに製造できるのかが疑問視されている。ハイテク機であればあるほど、厳密な品質管理技術が求められるが、家電製品すらまともに作れない中国には難題である。

 なるほど、専門家によれば中国の殲11の稼働率は60〜70%程度ではないかとみる向きもあり、もしそうであれば、F-15Jと同程度の200機を保有しても常時飛べる機体は120〜140機程度ということになる。90%を超えるといわれる日本の稼働率を考えた場合、その差は歴然。しかも戦闘中に搭載機器が不具合を起こせば命取りになる。

 そして空の戦いは、機体性能と共にパイロットの技量がモノをいう。空自パイロットは実戦経験がないものの豊富な実戦経験をもつ米空軍との共同訓練を通じて鍛え上げられ、いまやその練度は世界トップレベルだ。現時点では、実戦経験のない中国空軍を寄せ付けない腕前を持っている。

※SAPIO2015年3月号