米国で多数のケーブルTV局が、CMの時間を増やすためドラマや映画を「加速再生」していることが話題となっています。


映画のテレビ放送などでは、枠に押し込みつつコマーシャルも挿入するため場面やクレジットをカットすることが古くから慣行となっていますが、今回あらためて話題となったのは、再生速度そのものを数%ほど加速して「圧縮再生」する手法。

上は『サインフェルド』の再放送と過去の放送を並べて比較した動画。上が近年の再放送(ライブ放送)、下が10年前の録画。

最初は微妙なズレですが、すぐにオリジナルがシーン単位で引き離されてゆきます。三分ほどの再生時間で差は約15秒。元は30分枠で放送時間23分のため、1話につき2分ほどコマーシャルが増えている計算です。

リンク先の Wall Street Journal によると、コマーシャル時間を増やすために圧縮再生していることが分かった米国のケーブルネットワークはタイム・ワーナー傘下の TBS、Viacom傘下の TV Land など。

加速されていた番組にはサインフェルドやフレンズなどのテレビドラマだけでなく、古典映画の『オズの魔法使い』他も含まれています。

こうしたことがおこなわれる背景には、米国のケーブルテレビ局の加入者はNetflixなどネットのオンデマンドストリーミングサービスに押されて年々低下しており、減ってゆく収益を埋め合わせるためコマーシャルを増やす傾向があることが挙げられています。

参考リンク先のニールセン調べによれば、米国のケーブル局の平均的なコマーシャル放送時間は一時間につき14.5分。2014年には15.8分。オリジナルのテレビドラマ自体も枠に比して短くなる傾向にあり、旧作ドラマは圧縮やカットをしなくても現在の主流のドラマより広告を挟める時間が短いとされています。

「ほとんどの人が気づかないうちに、テレビ局がひそかに時間を操作している」「圧縮技術で多くの情報を人々の脳に刷り込もうとしている」と書くと何やら古き良きディストピアっぽく逆にときめかないでもありませんが、再生時間よりもテレビ離れのほうをますます加速していることは確かです。



こちらは長いコマーシャルを3秒間で圧縮知覚させる特殊技術 Blipverts と被験者の様子。



80年代の海外ドラマ『マックス・ヘッドルーム』より