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理化学研究所(理研)は2月18日、X線自由電子レーザ(XFEL:X-ray Free Electron Laser)を利用した計測の時間分解能を大幅に向上させる技術を開発し、XFEL施設である「SACLA」での実証実験に成功したと発表した。

同成果は、同所 放射光科学総合研究センター ビームライン開発チームの佐藤尭洋客員研究員(東京大学大学院理学系研究科助教)、矢橋牧名チームリーダーらによるもの。詳細は、応用物理学会の科学雑誌「Applied Physics Express」のオンライン版に掲載された。

XFELは、フェムト秒(10-15秒)レベルの極めて短い発光時間で計測できる能力を持つパルス型の超高輝度X線光源である。X線固有の高い空間分解能を活用することにより、物質内部の構造変化や化学反応といった超高速現象を、原子や電子レベルで解明できると期待されている。このような超高速現象の観測のために、ポンプ光とプローブ光の2種類のパルス光を利用して、ポンプ光の照射によって誘起される物質内の高速現象をプローブ光で観察する「ポンプ・プローブ計測法」が広く用いられている。

SACLAの場合、ポンプ光として赤外から紫外領域のフェムト秒レーザ(光学レーザ)光を、プローブ光としてXFEL光を利用する。この手法では、ポンプ光とプローブ光の時間間隔(照射のタイミング)を少しずつ変化させながら計測を繰り返すことにより、物質内の高速現象を高精度で追跡できる。しかし、「ポンプ・プローブ計測法」の時間分解能は、原理的にはポンプ光とプローブ光のパルス幅で決まるが、実際には、両者のタイミングをフェムト秒レベルで精密に制御することは技術的に難しく、タイミングの揺らぎが時間分解能を大幅に劣化させていた。

そこで、研究グループは、XFEL光を1次元に(一方向のみに)集光できる高精度X線集光楕円ミラーと空間デコーディング法を組み合わせ、XFELと光学レーザのタイミングを高精度で計測する新しい手法を開発した。同手法によって、SACLAとフェムト秒レーザが持つフェムト秒の短いパルス幅を最大限に活用した計測が可能となったとしている。

(日野雄太)