今年はじめに発表された米糖尿病学会(ADA)の診療ガイドラインで、アジア系米国人は他民族よりも低BMI(体格指数)で2型糖尿病を発症することが明記された。

 米国では、BMI25以上の肥満気味(日本では肥満)になると、血糖値の検査を受けるよう促される。しかし、今回改訂の診療ガイドラインではアジア系米国人に限って、BMI23以上で検査を受けるよう呼びかけている。

 ちなみに、日本基準でBMI23といえば標準の範疇。「標準体格で2型糖尿病リスク?」と抗議が出そうだが、アジア人種は、白人種やラテン民族よりも低いBMI値で2型糖尿病が発症しやすい。他民族よりウエスト周囲に脂肪がつきやすく、いわゆる「メタボ」に進展するからだ。

 メタボで肥大した内臓脂肪からは、血糖をコントロールするインスリンの働きを弱める悪玉物質が分泌される。この悪玉物質は筋骨格系での糖質の消費を妨げ、体内に糖質が溢れた状態をつくりだす。膵臓が必死にインスリンの増産を図るものの、やがて限界に達し、2型糖尿病が成立してしまう。

 もともとの民族的特質に米国流の「高カロリー、高脂肪、高塩分」の食事が当たり前となれば、見た目が「痩せ(米国基準で)」でも、中身は中性脂肪たっぷり、かつ高血糖というわけ。ハワイ在住のアジア系米国人を対象とした研究では、BMIが25未満であっても2型糖尿病の発症率が白人の2倍に増えると指摘されている。

 一方、日本人のデータをみるとメタボの基準を満たす人は非メタボより、4〜6倍も2型糖尿病になりやすい。生まれたときから欧米型の食習慣が身に付いている世代は、ハワイ在住の日系米国人と同じ条件下にある。生活ががらりと変わった1950年代生まれ以降は、BMI23を警戒区域としても良いかもしれない。

 さて、BMI23近辺の人がさらに痩せるのは少々、難しい。カロリー制限がツライ場合は、食事の内容を和食中心に変更しよう。洋食が恋しいときは、オリーブオイルや青魚、果物たっぷりの「地中海食」がお薦めである。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)