左から、司会:山田幸美さん、アニメコンシェルジュ:氷川竜介さん、監督:荒牧伸志さん、CGディレクター・コンポジット:松本勝さん、プロデューサー:石井朋彦さん

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2月6日に公開された、カラーとドワンゴが共同で行っている短編映像配信プロジェクト「日本アニメ(ーター)見本市」の第12話として、「エヴァンゲリオン」の別世界を描いた「evangelion:Another Impact (Confidential)」が話題となっている。

第12話「evangelion:Another Impact (Confidential)」トレーラー


【ニコニコ動画】第12話「evangelion:Another Impact(Confidential)」トレーラー/日本アニメ(ーター)見本市

同プロジェクト恒例の解説番組「日本アニメ(ーター)見本市 -同トレス-」が、翌週月曜の2月9日に行われ、監督をつとめた荒牧伸志さん、プロデューサーの石井朋彦さん、CGディレクター・コンポジットの松本勝さんらが出演。

ここでは、そのトーク内容と、放送されていない荒牧監督へのインタビューを含めて、いかにして「evangelion:Another Impact (Confidential)」が生まれたのかをレポートする。

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「日本アニメ(ーター)見本市-同トレス-」は、アニメーションスタジオ・カラーと「niconico」などを運営するドワンゴによる短編アニメ配信プロジェクトで発表されたアニメの制作陣を招いて、創作秘話や裏話などに迫る見応えのある解説番組。

今回取り扱ったのは、大人気アニメ「エヴァンゲリオン」シリーズを別の制作陣でつくり変えるという意欲作「evangelion:Another Impact (Confidential)」。

本編のパラレルワールド的な世界観のもと、別の場所・別の時間軸で、起動実験中に制御不能となったエヴァンゲリオン(Another No.=無号機)が街で暴れる様を大迫力のフル3DCGで描いている。

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左から、監督の荒牧伸志さん、CGディレクター・コンポジットの松本勝さん、プロデューサーの石井朋彦さん



出演したのは、監督の荒牧伸志さん、プロデューサーの石井朋彦さん、CGディレクター・コンポジットの松本勝さん。

荒牧伸志さんは、2004年にフル3DCGアニメのさきがけとなった劇場版『APPLESEED』で世界中のクリエイターに大きな影響を与え、現在、最新作『アップルシード アルファ』が劇場公開中のベテラン監督。

石井朋彦さんは、Production I.Gで『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』、『東のエデン』などを手がけてきたプロデューサー。『攻殻機動隊S.A.C.』などの監督をつとめた神山健治さんらが立ち上げたSTEVE N' STEVENの取締役もつとめている。

松本勝さんは、CGディレクターとして数々のゲームムービー、CG映画に参加し、荒牧さんが監督の『アップルシード アルファ』でもCGディレクターをつとめている人物だ。

今回の企画を始めるに当たって荒牧巻さんは最初、無理だと思いつつ『エヴァンゲリオン』のパロディーをやりたいと、同作の監督・庵野秀明さんに相談してみたそうだ。

ところが、庵野さんから「『エヴァンゲリオン』を好きにしていい」と、拍子抜けするほど簡単に許可がもらえてしまったという。

ハリウッドに負けない作品を


荒牧さんは『APPLESEED』などの3DCGアニメーションを早くから取り入れていた人物で、いま「ジャパニメーション」として世界に打ち出されている(『新世紀エヴァンゲリオン』のような)セルアニメとは違い、むしろハリウッドで多用される実写的なフル3DCG映画の作風に近い。

「パシフィック・リムやゴジラなど、日本のコンテンツがアメリカのハリウッドにいって、すごい形で戻ってくる。素晴らしいことだが、つくり手として手放しで喜んでいていいのかという思いがあって、日本の意地を見せたかった」と語りった。パシフィック・リムの中に登場するモンスターはKaiju(カイジュー)と呼ばれ、強く日本の影響を受けていることがわかる。また、ゴジラもハリウッドでリメイクされグローバルに高い評価を受けた。

そんなハリウッドに比べて、3DCGアニメーションに力を入れていないと言われていた日本への問題提起も企画の意図にあったことを明かした。

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無号機のデザインを担当したのは、メカニックデザイナーの竹内敦志さん。「盲目のエヴァ」をイメージにデザインされたエヴァンゲリオンは、庵野さんが一目見ただけで、竹内さんのデザインだとわかったほど個性的なもの。



今作の中でも特に“エヴァっぽい”シーンとして、無号機が暴れる中で「ここにいるよ」という林原めぐみさんの印象的な声が聞こえてくる場面がある。

このシーンについて荒牧さんは「本編のエヴァに変な誤解を与えないよう、キャラクターが重ならないように努力はした」と話した。しかしながら、林原さんが本編の登場人物・綾波レイの声優をつとめているということもあり、実際の映像の印象は綾波レイそのものだ。

荒牧さんは「色々なコンセプトはあって、林原さんには説明したんですが、この場で説明するのはやめておきます。謎は謎のままにしておいた方がエヴァっぽいでしょ」と説明した。

番組後に個別にお話しを聞いてみると……!


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番組終了後、それぞれの方に荒牧監督に個別でお話もうかがうことができた。

──完成した今作をご覧になった庵野さんの反応はいかがでしたか?

荒牧 そういえば聞いていないですね。知りたいけど、あんまり公にではなく、コッソリと聞きたいですね。

──原作のエヴァンゲリオンで好きなシーンはどこですか?

荒牧 やっぱりヤシマ作戦(第六話「決戦、第3新東京市」)が好きです。あとは、空から降ってくる使徒を手で受け止める(第拾弐話「奇跡の価値は」)シーンですかね。「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の走るエヴァが好きなので、今回もエヴァを走らせてみました。でも、本編みたいに凄いスピードで走るのではなく、ゆっくり走るんです。

本編では、エヴァが地上に出てくるときにズドンッと勢いよく射出されますが、今回の作品ではゆっくり射出されるようにしました。ゆっくりした動きにはこだわりがあるんですよね。

──今作を完成させてからのユーザーの反応はいかがでしたか?

荒牧 思っていた以上の反響で、「エヴァンゲリオン」というコンテンツの偉大さに、改めて驚きました。

それから、「パシフィック・リム」の造形作家であるサイモン・リーさんから一緒に仕事がしたいという話が舞い込んできました。まさに今日、Facebookメッセージが来たんです(笑)。ビックリしましたね。

「エヴァンゲリオン」という作品がつなげたクリエイターたちの縁が、今後どのような形の作品となって実現するのか楽しみだ。

ハリウッドの作家までも惹きつける「日本アニメ(ーター)見本市」は今作で第1期が終了する。

次回作は、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』などで監督を務め、日本アニメ(ーター)見本市でも「西荻窪駅徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可」の監督をつとめた前田真宏さんによる「Kanon」。3月上旬の公開予定となっている。

【Kanon】キービジュアル