画像はMail Onlineより

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 中国にて、子供の姿のまま成長しない奇病に苦しむ少女がメディアに出演し、話題となっている。ゼン・ユシャンは、1994年に中国青海省互助トゥ族自治県に生まれた。子供の頃は普通に育ったが、7歳のとき、鼻と脳のちょうど間にある脳下垂体に腫瘍を発症。それが原因となり、成長ホルモンの分泌に支障をきたした。

 英オクスフォード大学の分泌学専門家は、取材に対して次のように語っている。

「脳下垂体に適切な治療を施さなければ、彼女の身体の成長は止まったままでしょう。一説には、こうした症状の子供は通常よりも長生きになるとも言われますが、定かではありません。この症状の治療を受けるには、相当額の費用が必要になります」

 しかも、彼女の苦しみはこの症状だけではない。治療法を巡って両親はしばしば喧嘩になり、離婚。その後ユシャンは学校にも行けず、母親と二人で、治療費を求めて路上で募金を行う日々が続いた。さらに追い討ちをかけるように、離婚した父親も癌と診断され、2013年に死亡している。

 しかし路上での募金を続けるなか、二人に転機が訪れた。ある優しい夫婦が、彼女を娘として家に迎え入れてくれたのだ。養父となったグオ・リウ(50)ははじめてユシャンを見たとき、男の子か女の子かもわからなかった。当時、ユシャンは成長ホルモンの不足により、髪の毛が生えていなかったからだ。今年ユシャンは20歳になるが、その体つきはまだ7歳程度の子供と変わらない。また、成長が阻害されているため、精神年齢も5歳程度だという。そんな彼女と生活する中で、グオはこう話している。

「春節が終わったら北京の病院へ連れて行こうと思っています。私たちといる限り、彼女は生活することができますが、出来るならば彼女が自分一人でも生活できるように、治療してあげたいんです」

 オクスフォード大学の専門家によると、現在の西欧ではこうした事態は起こりづらいことである、としている。

「通常、小児科医がこうした症状については注意深く観察しているからです。脳下垂体の腫瘍自体とても珍しいもので、大人の場合で1000人に1人、子供に発生することは滅多にありません。仮にあったとしても1日1回、人工の成長ホルモンを注射することよって治療することが可能です」

 ただ、ユシャンのケースについては発達が止まったまま骨の年齢だけが進んでいるため、今後成長ホルモンを打って治療できる確率は半々なのだとか。とはいえ、多くの人々が彼女の回復を祈っているのだ。

(取材・文/)