『劇場版 BiSキャノンボール2014』 ©2015 SPACE SHOWER NETWORKS INC R-15指定 ※15歳未満の方はご入場出来ません。

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ドキュメンタリーとは視点を明確にする手法だと思う。

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映画館でドキュメンタリーを好んで見る人ならばもはや「客観的であるべき」という意見を絶対だと考える方が少ないのではないだろうか。

近年話題になった作品を挙げるが、そのどれもが一筋縄ではいかないものばかりだ。想田和弘監督は「観察映画」と明言することで本編中に説明を排した意図を観客に伝え、『アクト・オブ・キリング』は再現を劇中に取り込み、マイケル・ムーア監督は「マイケル・ムーア」を演じ続けることで世界を変えようとした。僕はドキュメンタリーにはまだ開拓されていない余地があると思う。

ところで『劇場版テレクラキャノンボール2013』が提示した視点は「これはゲームである」ということだ。

女性を点数制で競い、男たちは笑い転げ、悔しがる。時には涙する者も現れ、恐ろしいほどのテンションが観客にも伝わるが、それは共感ではない。

「びっくりする話とへーって話、どっちが聞きたい?」なんて言葉でナンパが出来るのは限られた人間だ。テレクラで自分よりも大きな女性と出会って平然としてられる自信もない。スピード違反をしながらビデオカメラを地面スレスレで撮るなんて、免許を持ってるからこそ怖くて出来ない。

僕らは『テレキャノ』に映る人たちを憧れの眼差しで見ているが、それは体を張って互いに競い合うからこそ笑えるのだ。例えばカンパニー松尾監督の『私を女優にして下さい』シリーズのように私的な視点で撮られた作品だったら、僕らはカメラと同化した感情を共有し、息苦しいほどの緊張感を強いられることになっただろう。

僕はそんな松尾監督作品をダウナー系と呼んでいるが、『テレキャノ』はアッパー系だからこそ受けたのだ。その結果が昨年、映画館だけでなくライブ会場やイベントホールといった非劇場でも上映が続き、動員は1万人を超えたそうだ。さらに映画誌の年間ベストにさえランクインする快挙を成し遂げた。

その勢いで作られた『劇場版BiSキャノンボール2014』は「ゲームである」という線引きを引き継いでいる。お馴染みのメンバーがBiSを騙す形で点数を稼ぎ、彼女たちがライブで歌う間にそれぞれの映像を見て競い合う。

観客もゲームと気付かないアイドルと、普段の撮影と全く異なるAV監督たちの戸惑いを楽しむことになるが、後半それが崩れる。撮影時に起きたトラブルをカメラは容赦なく記録していたのだ。それは監督だけでなく、これまで楽しんで見ていた観客にも冷や水を浴びせるような映像だった。

しかし、ここからがダウナー系カンパニー松尾監督の本領発揮だ。現場の問題さえも隠さず描くことで見事な「転」へと昇華させてしまったのだ。

僕はドキュメンタリーに成功も失敗もないと思う。

なぜなら現実を記録することが鉄則だからだ。この世界がそんな簡単に二分化出来ないように。しかし、ドキュメンタリーも映像である以上、面白いかつまらないかに分けられる。もちろん『劇場版テレクラキャノンボール2014』と『劇場版BiSキャノンボール2014』は前者に決まっている。

凄いのはそれぞれが異なる魅力を持つことだ。これらの作品でカンパニー松尾監督と出会った人はその幅の違いに驚くことだろう。松尾監督は佐野元春の「つまらない大人になりたくない」という詞を体言する。

だからこそ奇跡のような大円団を撮ることも、悪夢のような失敗も「おもしろい」映像として描くことが出来るのだ。

■ゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて2作品上映!

●2月21日(土)19:30〜 トークショー付き

この掟破りのアイドル・ドキュメントは是か非か!?
是非あなた自身の目で確かめてみよう。

『劇場版 BiSキャノンボール2014』
カンパニー松尾監督による「テレクラキャノンボール2013」の設定をそのまま生かし、2014年7月のBiS解散ライブに6人のAV監督が潜入し、メンバー1人に1監督が完全密着、一筋縄ではいかないドキュメンタリーを作るという趣旨でスタートした企画。BiSメンバーを騙す為に、あえて「普通のドキュメンタリーを撮影します」という偽のコンセプトで進め、解散ライブ前後3日間に完全密着(ホテルも同室!)した。2014/9/27には60分のスペースシャワーTV版が放送され、大反響を巻き起こすも、これはあくまで壮大な予告編に過ぎず、今回の劇場版が正真正銘の『BiSキャノンボール』である。

『テレクラキャノンボール2013』
2014年No.1の呼び声も高い傑作ドキュメンタリー。6人の男達が東京から仙台、青森を経由して札幌まで、車3台、バイク2台でレースしながらテレクラやナンパ、各種出会い系を駆使して現地素人をハメ倒す痛快セックスバトルドキュメント。そのあまりにも奇怪でハチャメチャな人間模様が爆笑と妙な感動を呼び、口コミだけで大ヒット。AVファンだけでなく、映画ファン、お笑いファン、サブカル好きを巻き込み日本各地でロングランが続く局地的カルトムービーである。「映画芸術」2014年日本映画ベストテン第5位。「映画秘宝」2014年ベストテン第9位。