物議を醸したアギーレ問題の幕引き。スペイン、イングランド、そして日本の識者に「任命責任不問」の是非を問うた。 (C)Getty Images

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 ハビエル・アギーレ監督が解任された問題で、日本サッカー協会は大仁邦彌会長、原博実専務理事らに任命責任を問わないことを決めた。
 
 騒動を起こしたことなどから、大仁会長が給与の50パーセントを、原専務理事と霜田正浩強化担当技術委員長が給与の30パーセントを4か月間、自主返納することが決まったが、「任命責任不問」は妥当な幕引きだったのか。
 
「不問」は是か、非か――。国内外の識者4人に評決を求めた。
 
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from SPAIN
ファン・カストロ記者の評決
 
 アギーレの八百長疑惑は大きな問題だったのか? 個人的には、解任するほどの問題ではなかったと思っている。
 
 アギーレの解雇も不当だし、日本サッカー協会の会長、専務理事、技術委員長が給与の何パーセントかを4か月間も自主返納するという決定にも非常に驚いた。
 
 私が何度も主張しているように、アギーレは現段階では告発が受理されたというだけで、何の罪も証明されていないのだ。
 
 有罪が確定したのなら、代表監督解任という処分は妥当であり、当然である。しかし告発されたという事実は、それだけではなんの意味もなさない。
 
 アギーレはこれから法廷で証言し、自らの潔白を証明するだろう。それも待たずに、一方的に契約を解除した判断は理解に苦しむ。協会は推移を見守るべきではなかったか。
 
 メディア、ファン、スポンサーの間でアギーレ解任を求める動きがあったことは知っている。アギーレ自身も語っているように、日本はスペインとは違って、告発自体を重く見る向きがある。それが日本人の国民性であり、日本の文化でもあるだけに、仕方がないのだろうが……。
 
 協会幹部に対する任命責任の不問については、まったく正しい判断だ。アギーレが有罪でない以上、彼らにはなんの責任もないからだ。給与の自主返納すらやり過ぎではないかという印象だ。有罪になってもいない人間を代表監督に選出した事実だけで、なぜ処罰を受けなければならないのか?
 
 それに、レバンテ対サラゴサという数年前のリーガ・エスパニョーラの一試合が、八百長の疑いで告発されることなど、彼らには到底分かりようがなかったはずだ。それらを考慮しても、なお協会幹部を処罰すべきだという声が上がるのは、良くも悪くも日本的なのかもしれない。
(翻訳:豊福晋)
 
Juan CASTRO ファン・カストロ
『マルカ』紙記者。アギーレとは13年来の友人であり、昨秋にも日本を訪れるなどスペインで最もアギーレに近い記者と言われる。
from ENGLAND
サイモン・ジョンソン記者の評決
 
 イングランド代表監督に八百長疑惑が持ち上がれば、引責辞任が当然だ。
 
 代表監督とは、単なるフットボールチームの監督ではない。国を代表する存在であり、模範でなければならないのだ。不祥事は真偽の別なく言語道断。噂や疑惑でも許されない。代表監督のスキャンダルは、代表チームや協会のみならず、国全体に泥を塗るものだ。
 
 2012年の監督人事で、FA(イングランド・サッカー協会)がハリー・レドナップではなくロイ・ホジソンを選んだのもそのためだ。当時レドナップは脱税疑惑の渦中にあり、FAはこの点を重視したのである。
 
 アギーレ解任問題で、日本サッカー協会(JFA)の幹部が責任を問われるのは当然だ。彼を選んだ張本人たちなのだから。仮にアギーレが無罪になっても責任は免れない。代表チームに悪影響を及ぼしたその責任がある。アジアカップの早期敗退は、アギーレの疑惑と無関係ではなかっただろう。
 
 リーダーシップと決断力の欠如は、後任人事においても大きな懸念材料となるだろう。