株式や為替市場の浮き沈みばかりが取り沙汰されがちだが、その陰で数年来にわたってひそかに活況を呈してきたのがREIT(不動産投資信託)市場。高い利回りの分配金を得ることができるうえ、価格上昇に伴う含み益の拡大も期待できるという。

 では、具体的にどういった銘柄が有望なのか。

 REIT分析の第一人者であるみずほ証券経営調査部の石澤卓志上級研究員が注目するのは、時価が割安でありながら、分配金利回りが相対的に高いものだ。そして、その判断に用いるのが「NAV倍率」と呼ばれる指標である。

「NAV倍率」をざっくり説明すると、純資産(資産−負債+不動産の含み益)と比較してその銘柄の価格が割安か割高かを判断したものだ。同倍率が低いほど、時価が割安だとみなせる。

「現在上場している全銘柄のNAV倍率と分配金利回りを調査したうえで、私が注目銘柄として絞り込んだのは四つでした」(石澤さん)

「トップリート投資法人」はオフィスビルを中心とした総合型。「積水ハウス・SIレジデンシャル投資法人」は昨年6月から投資先を住居系に特化し、分配金も着実に増加しているという。

 そのほか、オフィス特化型の「野村不動産オフィスファンド投資法人」、商業施設を取得している複合型の「東急リアル・エステート投資法人」も注目できるという。いずれも利回りは3%台と相対的に高い。

 一方、投資情報サイト「JAPAN‐REIT.COM」にデータを提供するアイビー総研代表取締役の関大介さんは新たな物件の取得で分配金が増額されることを期待し、投資先をホテルに特化している2銘柄に期待をかける。

「特に『星野リゾート・リート投資法人』は増額の期待が高い。変わり種では、インフラ施設を組み入れた『産業ファンド投資法人』。オフィス系では、全般に利回りが低下している今だからこそ、分配金の引き上げを期待して、『日本ビルファンド投資法人』と『ジャパンリアルエステイト投資法人』に注目したい」

 オフィス系の2銘柄は、市場創設とともに上場したシンボリックな存在。それだけに、分配金の引き上げが現実となれば、他の銘柄以上に投資家からの買いが集まりやすいという。

「もっと小口で気軽に投資できるという点では、東証REIT指数に連動するETF(指数連動型上場投資信託)もいいでしょう。最低2万円弱から購入できる銘柄も多いし、三つ組み合わせて投資すれば、毎月分配金をもらえるようになります」(関さん) 

 ETFは株式市場に上場しており、株式銘柄のように取引時間中はリアルタイムに売買できる。野村アセットマネジメントの「NEXTFUNDS 東証REIT指数連動型上場投信」などがある。

 銘柄選別において、「有利子負債比率」に注目するのは野村証券エクイティ・リサーチ部エグゼクティブディレクターの荒木智浩さんだ。J‐REITは物件の取得資金をもっぱら金融機関からの借入金で調達する。

「相対的に有利子負債比率の低い(借り入れが少ない)銘柄は、新たな物件をさらに取得して分配金の利回り向上を図る余力が大きいと判断できます。有利子負債比率の低い銘柄の中で、現時点でも利回りがそれなりに高い銘柄に目を向けるのも一考でしょう。投資先別には、あえて不動産のタイプで分けるとホテル、オフィス、物流施設系を注目しており、住宅系や商業施設系の特化型よりも相対的に優位では」

 ホテルはインバウンド特需、オフィスは空室率の低下と賃料上昇、物流施設はeコマース拡大が見込まれるという。

週刊朝日 2015年2月20日号より抜粋