協会が毎月開催している体験イベントにも、20代以上の女性参加者が多いという

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昔ながらの“鬼ごっこ”を競技として進化させた「スポーツ鬼ごっこ」がブームの兆しを見せている。一般社団法人の鬼ごっこ協会が2010年にルールを定め、以降約5年間で競技人口が約20万人に急増。

【写真を見る】スポーツ鬼ごっこの日本代表。成年男子は約15人。2カ月に1度は集結して練習に励んでいる

企業研修や合コンのイベントにも導入されるなど、大人たちからのラブコールも相次いでいる。なぜ今さら鬼ごっこ? その真相に迫ってみたい。

協会が推奨する「スポーツ鬼ごっこ」は、懐かしの「缶蹴り」や「陣取り鬼ごっこ」を発展させたような競技だ。7人制の2チームに分かれ、“宝”を守りながら、相手にタッチされないように相手陣地の宝を奪う。

「攻め役」「守り役」などの役割分担をはじめとする多彩な戦術や、宝を守るために味方同士で声を掛け合うコミュニケーションプレーも重要。幼稚な遊び?と思いきや、チームプレイの醍醐味が凝縮されているため、ついつい大人も夢中になってしまうのだ。

同協会の地道な普及活動により、「スポーツ鬼ごっこ」の競技人口は現在およそ20万人。2012年から毎年11月に東京で全国大会が開催されており、2014年度は約60チームが参加。観戦者を含めて約3000人が集まった。

その全国大会などの成績をもとに優秀なプレイヤーを選抜した日本代表チームも組織している。理事長の羽崎貴雄さんは「10年後にはオリンピック競技として採用されることを目論んでいる」と語る。

代表メンバーには30代以上も。まだ歴史が浅いこともあり、他のメジャーな競技よりは明らかに代表入りを狙いやすい。今から始めておけば、“中年の星”としてメダルを獲得することも夢じゃないかもしれない。

遊びの要素を織り交ぜながら組織の団結力を育める「スポーツ鬼ごっこ」は、実はビジネス界からも注目を集めている。例えば、法人向けに職場旅行などを取り扱うJTBコーポレートセールスは、協会とコラボして同競技を応用したプログラムを開発。

鬼から逃げ回りながら与えられたミッションをクリアしていく企画で、チームを組んだ社員らは自然とアイデアを出し合い、団結していくのだ。パソコンでの作業が多いIT企業などが、社員の運動不足解消を狙って採り入れるケースも多いという。実際、2014年には、渋谷のITベンチャー6社が参加した大会が行われている。

さらに、恋愛への発展も期待できる競技として認知されてきている。各種合コンパーティーを主催するベストパートナーは、定期的にイベントを実施。一緒に童心に帰って遊ぶことで、通常よりも仲良くなれる確率が高くなるという。

「口数が少ないけどリーダーシップがある」「足は遅いけど、積極的な性格」など、言葉の自己紹介だけではアピールできない“男らしさ”を発揮しやすいのだとか。もはや単なる遊びと侮ってはいけない。仕事でも恋愛でも、“できる男”の必須競技としての地位を確立する時代が近づきつつある。

そもそも、ローカルルールを含めると日本には約200種類の鬼ごっこが存在するという。そのなかで、“オトナが手軽に楽しめる遊び”を協会におすすめしてもらった。

まずは、日本最古の鬼ごっことされる「ことろことろ」。数人で芋虫状態に連なり、先頭に「親」、最後尾に「子」がつく。対向する「鬼」が最後尾の「子」にタッチしようと挑むゲームだ。10秒程度の短い対戦だが、“チューチュートレイン状態”で動き回る様子が笑いを誘い、ランチタイムの息抜きに打ってつけ。

続いて、合コンで盛り上がるのが「背中タッチ鬼」。男女1対1で片手をつなぎ、先に相手の背中をタッチした方が勝ち、という極めて単純なルールだが、「最小人数&最小スペースで行えること」と、「ボディタッチが自然にできること」がポイント。初対面の緊張をほぐすアイスブレイクとして使いやすいのだとか。

最後に、現代の子どもたちの間で妖怪ウォッチ並みに浸透しているのが「バナナ鬼」。鬼にタッチされたら両手を上に伸ばしてバナナになる。捕まっていない者がその手を左右に開いたら(皮をむいたら)、復活だ。

このバナナ鬼を知っているだけで、わんぱくキッズと遊ばなきゃいけない状況も怖くない! 町内会イベントで子どもたちを難なく手懐ける姿を見せれば、近所の奥様から熱視線が注がれるかもしれない。

今後、「スポーツ鬼ごっこ」のブームをきっかけに、派生系も盛り上がりを見せる可能性が高い。鬼ごっこを制する者は、コミュニケーションを制すると言っても過言ではない!?【東京ウォーカー/記事提供=週刊ジョージア】

※記事の内容は、無料スマホマガジン「週刊ジョージア」から一部抜粋、再構成したものです