攻撃に活路を見出したザッケローニ。日本人の俊敏性を活かそうとした彼は、後任の日本代表監督のひとつのモデルとなる。(C) Getty Images

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 近年の日本サッカーは、著しい進化を遂げてきた。その証拠に、今や多くの日本人選手が欧州のトップリーグでプレーするようになっている。彼らは一見して、ボールプレーヤーとしてのレベルが高い。狭い局面での技術は、もはや世界トップレベルにあるだろう。
 
 私は「批評が容赦ない」と煙たがれることもある男だが、その成長ぶりには素直に頭が下がる思いである。
 
 そして日本人選手の特長として目立つのは、やはりアジリティ(俊敏性)だろう。体格やパワーではやや劣るものの、素早さは瞠目に値する。10メートルのスタート&ストップを何度も繰り返せるのだ。
 
 マジョルカ時代の大久保嘉人がまずそうだったが、トップスピードでボールを扱える技術は欧州や南米の選手以上だろう。その特性を存分に生かした香川真司は、ドルトムントで成功を収めた。シャルケの内田篤人、フランクフルトの乾貴士、インテルの長友佑都らも、“日本人らしいアジリティ”を武器にすることで、欧州のトップレベルで実績を残している。
 
 なかでも私が刮目するのは、マインツの岡崎慎司である。
 
 岡崎のプレーを最初に目にしたのは、南アフリカ・ワールドカップの前だったが、一瞬で心を奪われた。マークを外すのに必ず予備動作を入れ、相手の逆を取り続けられる。ゴール前へ入るタイミングも抜群。濃厚なインテリジェンスを感じさせるストライカーだ。
 
 ジョゼップ・グアルディオラが師と仰ぐファンマ・リージョ監督と日本代表の試合を見ていた時、ふたりで「こんな選手がJリーグにもいるのか!?」と絶賛したものである。
 
 では、技術と機動力に長所のある日本人選手を束ねて列強と戦うには、どのような指揮官がベストなのだろうか?
 
 2014年まで日本を率いたアルベルト・ザッケローニ監督は、ひとつのモデルになるだろう。ブラジル・ワールドカップの本大会ではグループリーグで敗退したものの、アジアカップ、ワールドカップ・アジア予選、コンフェデレーションズカップを見た限り、攻撃に活路を見出していた。
 
 守備ラインの設定が高く、ボールに対して複数の選手が絡み、積極的にコンビネーションを作りながら果敢にゴールを狙う。驚くほどアグレッシブな印象を受けた。
 その一方で守備面はイノセントで、簡単に相手にスペースを与えることがあった。正直、CBはあらゆる面で世界の一流FWの前では後手に回り、「ブラジル・ワールドカップをこのまま戦うのは厳しい」と危惧していた。案の定、本番では前がかりになった状況で綻びが出てしまった。
 
 ただし、日本代表監督として最適なのは、ザッケローニのような戦術姿勢なのだろう。日本人選手のキャラクターを活かすことを優先的に考えるべきで、“自陣に引いて守りを固め、カウンターを狙う”という戦い方は論理的ではない。ボールを持つ時間を増やしながら、機動力で狭いスペースを破る。この戦い方が主流になるだろう。
 
 しかし世界で勝つには、相手に応じて多様な戦術を使えなくてはならない。
 
 その点、ブラジル・ワールドカップ後に就任したハビエル・アギーレ監督は、リーガ・エスパニョーラで選手を上手く用いる手腕を見せていた。彼は攻撃的プレーの信奉者であるにもかかわらず、チーム力に応じて現実的に勝率を高められる。
 
 戦力の乏しいオサスナをリーグ4位にした実績は、スクデット(セリエA優勝)にも値するキャリアだろう。個人的には、“日本代表を成熟させられる”と期待していたのだが……。
 
 次期代表監督の選考がスタートしている以上、今後に目を向けるべきだろう。