35歳を過ぎてからの初産が危険ってホント?

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■35歳以上の高齢出産は全体の20%

日本産科婦人科学会では「35歳以上の初産婦を高年初産婦とする」と定義しています。なぜこのようなことを定義するのかというと、35歳以上の初産にはさまざまなリスクがともなうからです。

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社会的には困難なことではありますが、生物学的に母子ともにもっともリスクが少なく出産できるのは18歳くらいと言われています。高齢出産は社会的な背景もあり年々増加しており、今では全体の20%ほどが高齢出産とのデータがあります。

高齢出産のリスクとは?

35歳以上の高齢出産には、さまざまなリスクがともなうと言われています。

・産道が固くなることで、分娩時に障害を起こすことがある
・染色体異常のリスクが高まる

染色体異常は20代の出産では500人に1人くらいの割合とされますが、高齢になるにつれ増加し、30代半ばで200人に1人、40代で60人から70人に1人と言われています。外見でわかる奇形も確率が高くなります。

・ハイリスク妊娠の確率が高くなる

妊娠高血圧症候群や切迫早産、妊娠糖尿病といったハイリスク妊娠の確率が高くなります。特に妊娠高血圧症候群に関しては、初産であることがリスクを高める要因になると言われています。

・胎盤の位置の異常や子宮筋腫の合併が多くなる

■妊娠中は使える薬にも制限がある!

妊娠中は使える薬も非常に制限が増えるので、管理の面でも困難を伴います。たとえば一般的によく用いられる血圧の薬(ARBやACE阻害薬)は、妊婦には使えません。

また糖尿病の薬も基本的には内服ではなく、インスリン注射によるコントロールが必要になります。妊娠糖尿病は通常の血糖管理目標値よりも一段と厳しく設定されるのです。

高血糖では巨大児になり帝王切開でないと産めなくなったり、胎盤の血流が悪くなると未熟児のリスクが大きくなったり奇形児のリスクも上昇すると言われています。

■まとめ

35歳を過ぎてからの初産にはさまざまな困難が伴いますが、医学が進歩した現在、その数は年々増加しているのも事実です。まずは正しい知識を身に付けることからスタートしましょう。

(36歳女性内科医/Doctors Me)

※画像は本文と関係ありません