今年も、特別な週末がやってきた――。「NBAオールスターウィークエンド(現地2月13日〜2月15日)」。そのフレーズを耳にするだけで、胸が高鳴ってくる。近年のオールスターウィークエンドは、スキルチャレンジ(※)やライジングスターズチャレンジ(※)など、昔と比べると開催されるイベントが増えた。それでも、2月15日(日本時間16日10時30分〜)に行なわれるオールスターゲームと同じくらい、2月14日(日本時間15日午前中)に開催されるスラムダンクコンテストとスリーポイント(3P)シュートコンテストの両コンテストに、格別の想いを抱く読者も多いのではないだろうか。

※スキルチャレンジ=障害物の間をドリブルで駆け抜けながら、スピードやパスの精度を競い合うゲーム。
※ライジングスターズチャレンジ=1年目の選手と2年目の選手の混合チームが戦い合うゲーム。

 スラムダンクコンテスト――。その言葉を聞いて、何年の、誰のダンクを思い浮かべるだろう?

 1987年と1988年、フリースローラインから跳んだマイケル・ジョーダン(当時シカゴ・ブルズ/SG)の「レーンアップ」の衝撃は、今も色あせない。同じ年なら、ジェローム・カーシー(当時ポートランド・トレイルブレイザーズ/SF)や、「クライド・ザ・グライド」ことクライド・ドレクスラー(当時トレイルブレイザーズ/SG)、そしてドミニク・ウィルキンス(当時アトランタ・ホークス/SF)のパワフルなダンクが印象に残っているファンも多いはずだ。

※ポジションの略称=PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)。

「驚愕」という点では、1986年、「小さかったら高く跳べ」のキャッチコピーでスポーツシューズのCMにも出演した170センチのスパット・ウェブ(当時ホークス/PG)のダンクを真っ先に思い出す人もいるだろう。1991年のディー・ブラウン(当時ボストン・セルティックス/PG)の目隠しダンクと、その直前にシューズにエアを入れるパフォーマンスに魅せられ、リーボックのポンプオムニライトを買った中高生のバスケ部員も多かった。また、スラムダンクコンテストに4度出場しながら、ついに優勝できなかったショーン・ケンプ(1989年〜2003年/元シアトル・スーパーソニックスなど/PF)や、1997年に最年少記録(18歳)でコンテストを制したルーキーのコービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ/SG)のダンクに魅了されたファンも少なくない。その後も、2000年に逆回転360ウィンドミル(※)を披露したビンス・カーター(当時トロント・ラプターズ/SG)や、2010年に史上最多となる3度目の優勝を飾った175センチのネイト・ロビンソン(当時ニューヨーク・ニックス/PG)など、スラムダンクコンテストから次々とスターが生まれた。

※ウィンドミル=ボールを持った腕を風車のように回転させながら行なうダンク。

 そして、2015年のスラムダンクコンテストに参戦する選手たちも、次世代のスターとなる可能性を十分に秘めている。今回出場するのは、ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス/SF)、ザック・ラビーン(ミネソタ・ティンバーウルブズ/PG)、ビクター・オラディポ(オーランド・マジック/SG)、メイソン・プラムリー(ブルックリン・ネッツ/C)。4人全員が初めての出場だ。

 中でも注目は、20歳のアデトクンボと、19歳のラビーンの2選手だろう。

「グリーク・フリーク(ギリシャの怪物)」と呼ばれるギリシャ出身のアデトクンボは、今季、クリス・ボッシュ(マイアミ・ヒート/C)の頭上からダンクを叩き込んだり、1月31日のトレイルブレイザーズ戦でパワフルなウィンドミルを披露するなど、優勝者となる資格は十分。7フッター(約213センチ)近い高身長ながら、ガードのようなスピードを持ち合わせ、規定外の体躯と身体能力からどんなダンクを見せてくれるのか、想像すらつかない。

 そして、今年の大本命と言われているのが、プロ1年目のラビーンだ。今季開幕前、ルーキーたちの間で流行った遊びがある。自身の得意とするダンクの映像をツイッターにアップし、「このダンクを超えてみろ!」と挑戦者を名指しする。名指しされた選手は、同じように自慢のダンクを披露し、次の挑戦者を指名するのだ。

 グレン・ロビンソン3世(ティンバーウルブズ/SG)から始まったこのゲームに、アンドリュー・ウィギンス(ティンバーウルブズ/SF)、ジャバリ・パーカー(ミルウォーキー・バックス/SF)などが参加。その中で圧巻だったのが、ラビーンの披露したレッグスルーからのトマホークダンクだった。また昨夏、ジャマール・クロフォード(ロサンゼルス・クリッパーズ/SG)が開催したイベントでも、ラビーンはレーンアップからウィンドミルを決めている。つまり、マイケル・ジョーダンの優雅さと、ドミニク・ウィルキンスの豪快さを兼ね合わせたスラムダンカーなのだ。

「あのダンクを見たか?」

 何十年後、「あのダンク」を指すのが、今年、ラビーンがコンテストで披露するダンクになっているかもしれない。

 一方、スラムダンクコンテストと同じ日に行なわれるスリーポイントシュートコンテストも、今年は見どころ満載だ。初めてスリーポイントシュートコンテストが開催されたのは、今から30年前の1986年。初開催年から3連覇を達成したのが、「レジェンド」の異名を持つラリー・バード(元セルティックス/SF)だ。コンテストのファイナルラウンド前、バードが対戦相手に「準優勝おめでとう」と話しかけたことや、ファイナルラウンドのラストショットを放った直後に人差し指で天を差したパフォーマンスは、今もオールドファンの語り種(ぐさ)となっている。

 スラムダンクコンテストで2連覇(1987年・1988年)したジョーダンは、1990年にはスリーポイントシュートコンテストに参加。しかし、ファーストラウンドで記録した5点が歴代最低得点だったことも思い出深い。ちなみに、1990年から3連覇を達成したのは、ジョーダンのチームメイトで、いぶし銀のシューターとして活躍したクレイグ・ホッジス(当時シカゴ・ブルズ/SG)である。

 ホッジスのみならず連覇が多いのも、スリーポイントシュートコンテストの特徴のひとつだ。1993年と1994年はマーク・プライス(当時クリーブランド・キャバリアーズ/PG)、1998年と2000年(※)はジェフ・ホーナセック(当時ユタ・ジャズ/SG)、2002年と2003年はペジャ・ストヤコビッチ(当時サクラメント・キングス/SF)、2007年と2008年はジェイソン・カポノ(当時ヒート&ラプターズ/SF)がコンテストを連覇している。いずれも、NBAの一時代を築いたシューターばかりだ。

(※)1999年はロックアウトによるシーズン縮小のため開催されず。

 だが、優勝者がスリーポイントのスペシャリストばかりでない点も面白い。2006年のダーク・ノビツキー(ダラス・マーベリックス/PF)、2012年のケビン・ラブ(当時ティンバーウルブズ/PF)なども優勝している。ただ、「希代のスリーポイントシューター」と称されたレジー・ミラー(1987年〜2005年/元インディアナ・ペイサーズ/SG)は5度出場しながら、一度もコンテストに勝てずに終わっている。

 1ラウンド1分間で25本のシュートを放ち、通常のボールは1点、5球あるボーナスボールは2点で計算され、最大30点。1ラウンド歴代最多得点は、1986年のホッジスと、2008年のカポノが記録した25点だ。しかし今年は、それを超える記録が出る可能性も十分にある。

 注目は、ゴールデンステート・ウォリアーズの「スプラッシュブラザーズ」、ステファン・カリー(PG)とクレイ・トンプソン(SG)のチームメイト対決だ。2月4日のマブス戦で10本のスリーポイントを沈めるなど、好調を維持して4度目の出場となるカリーは、「勝つまで出場する。悔しい思いをしているからね」と、かなりの本気モード。一方のトンプソンは、1月23日のキングス戦の第3クウォーターだけで9本のスリーポイントを成功させ、1ピリオドでの得点数のNBA新記録(37得点)を樹立したばかり。まさに、「入り出したら止まらない」タイプのシューターだ。チームメイトであるゆえに、ふたりの対戦はこのコンテストでしか見ることができない。

 さらに、現在スリーポイントシュート成功率がリーグで唯一5割を超えるカイル・コーバー(ホークス/SG)も参戦。今季、イースタンのトップを走るホークスのシューターが、ウェスタンで首位に君臨するウォリアーズのふたりのシューターに勝負を挑む。この対決を、今季のファイナル前哨戦として見るのも面白いだろう。

 その他にも、J・J・レディック(クリッパーズ/SG)、ウェズリー・マシューズ(トレイルブレイザーズ/SG)といった好シューターや、2013年のコンテストを制したカイリー・アービング(キャブス/SG)、昨年優勝のマルコ・ベリネッリ(サンアントニオ・スパーズ/SG)、さらに現在得点ランキングトップのジェームス・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ/SG)も登場してくる。空前絶後の好メンバーが揃った今年のスリーポイントシュートコンテストは、ハイレベルな戦いになること必至だ。

 数々の名勝負・名シーンを生み出してきた、スラムダンクコンテストとスリーポイントシュートコンテスト――。今年はどんな奇跡を見せてくれるのか、伝説の目撃者になる準備はできている。

※数字は現地2月11日現在

水野光博●構成・文 text by Mizuno Mitsuhiro