2015年2/13よる9時から、日本テレビ系列『崖の上のポニョ』放送。

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ずばっ。ポニョ大好きー。
2015年2/13よる9時から、日本テレビ系列で『崖の上のポニョ』が放送。
『崖の上のポニョ』のデタラメっぷりに圧倒されて、もう少し釈然としたいという人のために「結局なんだったの?」という疑問につきあうQ&A。

Q1:なんか滅茶苦茶な話だったんだけど!?
A1:
たしかに、滅茶苦茶な展開だ。人面魚が男の子と出会って、手と足がにょきと伸びて、お父さんは悪い魔法使いで、連れ戻されて、また逃げて、男の子と再開したけど、大洪水で世界が水浸しで、わーん。
宮崎駿劇場初監督作品は『カリオストロの城』だ。この時、宮崎監督は“一種の頭の遊び”のように構成を綿密に組み立てた。
が、“この方法を続けると、仕事に頽廃が生まれると感じ”、新しい方法論を試行錯誤しはじめた。
全体の構成を組み立てて絵コンテを描くのではなくて、絵コンテを作りながら物語を生み出していく。
ロバート・ホワイティングとの対話で、宮崎駿は、作り方をこう語っている。
“どこへたどり着くか、わからないけれど、出かけてみるしかない。そういうふうに、スタッフへ言いました。スリリングすぎて辛いですけども、全部見通すまで、ひたすら歩き続ける”(『ジブリの森とポニョの海』)

Q2:だから話の理屈が通ってないの?
A2:“理屈が通ってるのが好きだっていう人たちはいるんですよ。その人たちは映画を観なくてもいいと思うんだけどね、僕は(笑)”(「CUT No.234」宮崎駿4万字インタビュー)
はなから理屈を通そうとしてないのだ。
『崖の上のポニョ』は、映画のダイナミズムや絵の動く楽しさが全開で、展開も大暴走。すごい法螺話か神話のようなものとして受け止めればいいんじゃないかと思う。

Q3:っても、結局、どういう話なの?
A3:すぐれた作品は、作者の意図や、一面的な観方を超えて、多様に受け止めることができる。
だから、それぞれ自由に受け止めて、楽しめばいい。
とはいえ、宮崎駿監督はどういう意図で『崖の上のポニョ』を創りだしたのだろう?

「久石譲さんへの音楽メモ」のなかで宮崎駿監督は、“物語の構造は簡潔です”と宣言して次のように記している。
“海は女性原理をあらわし、陸は男性原理をあらわしています。そのため小さな港町は衰退しています。
海を、男どもの船や漁船がさわがしく行き来していますが、この世界ではもう尊敬さえされていません。しかし、女達もまたおとろえています。海辺でおむかえを待つ老女達、快活であっても船乗りの夫を待って何かやり場のない怒りを抱えている宗介の母。
それでもおだやかに一見安定していたこの世界を、ポニョの出現がかきまぜます。”(宮崎駿『折り返し点1997〜2008』岩波書店P493)

Q4:うーん、よくわからないよ!
A4:じゃあ、もうひとつ。
プロデューサーの鈴木敏夫はどう言っているか?
「まあ何しろすっごいシンプルで。最初のうち言ってたのは日本の昔話しですよね。それと『人魚姫』とかがグシャグシャになって、それをどうやってシンプルにひとつのお話にするかですもん。(…)そのシンプルな話を、表現上どうやって、手描きだけで豊かな複雑なものにできるか、そっちに力を注いでいますよね」(鈴木敏夫『風に吹かれて』中央公論社P267)
昔話、寓話、神話などをイメージを詰め込んで、ダイナミックに動かした。それこそが『崖の上のポニョ』のキモなのではないか。
宮崎駿監督は、“要するに孫悟空の世界ですね”とも答えている。
“孫悟空の中に、天界にいた金魚が3日間ほど地上に逃げて、化けものになって暴れるっていう話があるんですよ。(…)そういう話ですよ、要するに。”

Q5:絵のトーンが他のアニメと違うんだけど?
A5:「崖の上のポニョ企画書」には「隠された意図」として、“2Dアニメーションの継承宣言”とある。
3Dや、コンピュータ・グラフィックスではなく、手描きでやるんだ、と。
“描いたもののほうが明らかに伝わてくるものが多いんで。やっぱり手で、鉛筆で描こう”。(「CUT No.234」宮崎駿4万字インタビュー)
さらに、こう答えてもいる。
“幼児性を全開にしてやっていこう”。
世界的なアニメ作家の宮崎駿が62歳にして、ついに幼児にもどった。正しい構成とか、理屈とか、もうごちゃごちゃうるさい。
気持ちよく動くのがアニメーションだ。人面魚を水道の水に入れちゃっても大丈夫なんだ。波に目はあるし、魚になるし、その上を走るんだ。
ついてこい、気持ちいだろう、いざゆかん異界へ!
天才的な力量と努力の人が到達した高みで、最上の気持ちよさを創りだしたデタラメなアニメーションが『崖の上のポニョ』だ。

Q6:ところでポニョと宗介はこれから幸せに暮らしていくの?
A6:そう願いたいが、宮崎駿監督はこう記している。
“ポニョは女性原理の生粋の存在。抑えるすべてのものに反撥し、後先考えずにただちに行動し、ほしいものを手に入れるためにつき進みます。食べること、抱きしめること、追いかけることに何の迷いも配慮もありません。多産系で猥雑で、恋ならいくらでもしちゃうキャラクターですが、この映画では幼児のままで、出会う男性によってどんな女性に成長していくか決まるのでしょう。”(宮崎駿『折り返し点1997〜2008』岩波書店P493)
多産系で猥雑で、恋ならいくらでもしちゃうキャラクター!
おお、これは、「こうして二人は結ばれました。めでたしめでたし」ではなく、愛憎大波乱なドラマが、デタラメな未来が待ち受けていそうである。
がんばれ宗介!(米光一成)