飲酒量が多いと、医療費が高くつく──昨年12月、アルコール依存症の専門誌に金沢医科大学公衆衛生学、中村幸志准教授らの研究報告が掲載された。

 同研究の対象は、健康保険の被保険者で、健康診断時に毎日お酒を飲む習慣があると回答した男性(40〜69歳、平均年齢53.6歳)、9万4307人。1日の飲酒量を2杯未満、2〜3.9杯、4〜5.9杯、6杯以上の4群に分け、1年間の追跡期間中に高額医療費が生じる可能性と、入院の可能性を検討した。被験者の平均BMI(体格指数)は23.4と標準からプチ肥満。半数が喫煙者で、週に2回、30分程度の運動習慣がある人は5人に1人という「ごく平均的」な日本人男性だった。

 ちなみに、2杯未満のアルコール量は23グラムで、アルコール度数15%の日本酒なら1合まで、同じく5%のビールなら500ミリリットルのロング缶1本、35%の焼酎ならストレートで80ミリリットルに相当する。

 一般に、国民総医療費の大半は入院を含む高度な医療を受けた「少数」の患者によって消費されていることが指摘されている。今回の研究でも、年間に費やした医療費の上位10%に入った被験者の医療費だけで、全参加者の医療費総額の6割以上を占めることが判明した。これら医療サービスの“ヘビーユーザー”が年間に費やす医療費は、1人当たり少なくとも30万円にも達する──自己負担は3割だけど。

 年齢、体重などのリスク因子の影響を排除してアルコール摂取量と医療費の関係を調べたところ、1日6杯以上アルコールを摂る群は、高額医療消費者=何らかの重大な疾患を抱える可能性が、1日2杯未満の群より、1.31倍高いことが判った。入院との関連でも1日6杯以上飲むと、入院リスクが1.39倍に上昇した。1日2〜5.9杯でも飲酒量が増えるにつれて入院リスクがジワジワ高くなることが示されている。

 本研究の結果は国民総医療費削減へのヒントになりそうだが、そこまで大きく出なくても家計への影響を考えるには十分だろう。お酒を控えれば医療費が減る。身体については言わずもがなである。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)