「お笑いで飯を食っていくために、町をつくる。」【キングコング西野インタビュー/最終章】
『はねるのトびら』で突き抜けることができなかった。でも、まだ方法はあるはずだ。
(『嫌われ西野、ニューヨークへ行く』/西野亮廣)

◆Vol.5 嫌われ西野、町をつくる。

――今年8月に開催される『おとぎ町ビエンナーレ』は、どのような“町”なのでしょうか?

まずは“町づくり”のモデルを作って、ほんまに町を作ろうというやつです。芸人は町を作らないとダメやと思うんです。たとえば、よしもとの劇場でも、お客さんが入っている劇場と入っていない劇場があるんですよ。入っている劇場というのが、大阪の「なんばグランド花月」(NGK)なんですけど。入っていない劇場との違いはなんやろ?って考えたときに、なんばグランド花月は、お客さんの一日のコーディネートができてるなと思ったんです。

大阪へ行ったら、USJに行って、たこ焼き食べて、NGKでお笑い観て、お好み焼き食べて、呑みに行くっていう。大阪の一日のプランの中に、劇場が自然と組み込まれているんですよね。今日、だれそれが出演するから来てくださいっていう、要はタレントのマンパワーだけで集客している劇場って、日本中どこ見てもあんまり上手く回っていないなと思うんです。大阪は、お客さんをシェアしているんですよね。USJが盛り上がったら、なんばグランド花月の集客も増えるんです。たこ焼き屋さんも、ちゃんとNGKの横に作ってあるんですよ。

去年、日比谷公会堂で独演会をやったんですけど、2000人のお客さんが来たんです。それって、すごいエネルギーが発生していたんだと思うんですよ。でも、17時から19時までの公演で、僕たちは19時の時点でお客さんを離しちゃったんです。「ハイ、お疲れ様でした! さよなら!」って。その後、お客さんたちはご飯を食べに和民に行ったりするんですよ。僕らは和民になんの恩もないのに、僕らが集めたエネルギーが和民に流れるじゃないですか。でも和民からこっちには流れてこないんですよね。これは良くないと思って。これをいつまでもやっているから、芸人がライブでご飯を食べていける状態が作れないんだと思うんです。

だったらもう発想を変えて、ライブでご飯を食べていくんじゃなくて、「ライブに集まった人のエネルギーで飯を食っていく」ということにしたらええやん、と。そのためには、ちゃんとお客さんの一日をコーディネートしなきゃいけないんですよね。ライブのチケットの半券でビール一杯無料ってなったら、お客さんその店に流れるじゃないですか。ご飯食べたあとは「ここに泊まってな」ってなったら、宿泊施設の人は「西野くんのライブ、また行ってあげてな」みたいにアナウンスをかけてくれる。ここでグルグルグルグル回すんです。

つまり町を作らないと、劇場が回らないと思うんですよ。そこには学校もあるし、音楽フェスもあるし、その中の一つでお笑いをやっていかないと、お笑いで飯を食ってけないなと思って。だから町を作りたいんですよね。お笑いで飯を食いたくてこの世界に入ったので、そこを整えないと。そこを無視しちゃダメだと思って。そういう町で、漫才をやりたいんです。やっぱり。

――“町”というのは、比喩的な意味ではなく……?

ホントに町を作りたいんですよ、ホントに。「東京都品川区おとぎ町」とか、結構しれっと入っていけるんちゃうかなと思って。地方で仕事があるときは、下見に行ってるんですよ。ここに作ったらどうなんねやろとか。

――実現しそうですか?

言わんことには、絶対実現しないですから。口には出していこうと思っています。実際、口に出してたら、『おとぎ町ビエンナーレ』は伊藤忠商事さんから、「ここでやって」という話がぽんと来たので。だから口には出していこうと思っています。