改正災害対策法が威力発揮。

特殊車両の全国配備でメーカー特需か

改正災害対策基本法が昨年11月に施行された。翌12月には徳島・愛媛県境の大雪に初めて適用し、国土交通省が指定した区間で雪の路上に立ち往生する自動車を撤去。震災など大規模災害時には放置車両が避難や救助の障害になると懸念されていたが、改正法により迅速な避難・救助ルートの確保が可能になる。
徳島・愛媛の例では、雪で動けなくなって道路をふさぐ自動車を移動させ、除雪作業をやりやすくした。従来は車両を移動する過程で自動車を損傷した場合、現場で移動作業した公務員個人や委託業者に賠償責任が及ぶ可能性があった。しかし、改正法では道路を管理する国や地方自治体が補償すると明記し、災害時に現場に到着した職員が撤去作業に専念できる体制が整えられたのだ。
山間地の大雪だけでなく、地震や津波、洪水など災害の形態は多様だ。交通量多い大都市部ほど災害時の路上放置車両も多くなるといわれる。自動車学校では、災害時にやむをえず自動車を放棄する場合、エンジンキーを付けたまま路肩に寄せて停車させるよう教えているが、努力規定にすぎない。旧法下では、災害時に道路を埋め尽くす無数の放置車両を傷つけぬよう慎重に移動させるしかなく、救助の遅れや都市機能のマヒが長引くと心配されていた。
しかし、まだ仕事が残っている。今回、法律はできたのだが、それだけで撤去作業がスピードアップするわけではない。今後の課題は、使いやすい特殊作業車の開発と、作業車の全国への大量配備である。
国土交通省は、メーカーと特殊作業車の開発に乗り出すことになる。道路管理の仕事は国、都道府県、市町村がそれぞれ担当しており、役所の数だけ作業車が必要になるだろう。
災害に強い国土づくりは政府・与党の目標でもある。早めに車両開発・購入予算がつくとみられ、特殊作業車を生産するタダノや加藤製作所などの株価が刺激されそうだ。車両導入後の整備も含めて、大きなビジネスになる。(木島 隆)

大規模災害時は路上車両の素早い撤去が避難や救助の成否を左右する。改正災害対策法で撤去が容易になったが、特殊作業車の配備はこれからだ。

この記事は「ネットマネー2015年3月号」に掲載されたものです。