「ユリ熊嵐」6話「月の娘と森の娘」。純花の「スキ」が描かれた回でした。

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「紅羽ちゃん、私は私の『スキ』を諦めないよ」

アニメ「ユリ熊嵐」(TOKYO MXほか)の6話「月の娘と森の娘」が2月9日に放送された。全12話の折り返し地点の6話は、1話で姿を消した泉乃純花のエピソードを中心に展開した。
(1話レビュー/2話レビュー/3話レビュー/4話レビュー/5話レビュー)

椿輝紅羽の誕生日が近づいている。いなくなってしまった純花は、紅羽に「誕生日に読んでほしい」手紙を残していた。
……話は少し前にさかのぼる。紅羽と純花の出会いは入学式だった。失くしてしまった髪留めを探す純花を、他の誰も手伝おうとしない。そんな中で紅羽だけが純花を助けてくれた。だからこそ純花は嵐の日に花壇を守りに行ったのだ。
嵐の夜、紅羽の家で一緒に布団に包まりながら、紅羽の母・澪愛の描いた絵本『月の娘と森の娘』を読む2人。
「あの日のことは何もかも覚えてる。きっと、私がおばあさんになっても忘れないよ」
完成する前に澪愛はクマに食べられてしまったから、絵本は未完のまま。「自分を引き裂き、身を砕いてでも、『スキ』を証明できるか」と問うてくる絵本に、紅羽は断言する。
「私は自分を撃つわ。撃って、私の『スキ』が本物だって証明してみせる」
そんな紅羽を見て純花は決心する。赤江カチューシャが議長となって進行する「排除の儀」。みなの指が紅羽を選ぶ中で、純花だけは選ばなかった。──純花は自分から「透明な嵐」の中に飛び込んだ……。

さまざまな思惑や不穏な空気がまじりあいながら、紅羽の誕生日に向かって突き進んでいく6話。
ちょうど折り返しなので、これまでの状況をざっくりとまとめたい。「ユリ熊嵐」の構成はこのようになっている。
1話から3話にかけて紅羽たちを取り囲む状況──「透明な嵐」と「スキ」──について描写。百合園蜜子が大暴れした。「ユリ裁判(ユリ承認)」はとても目立つ要素ではあるが、実は作品のメインではない。
4話からはキャラクターの掘り下げ。
4話は百合ヶ咲るるの過去が寓話調に。5話は百合城銀子の意外な妄想癖と紅羽との接点が、そして6話は泉乃純花について深く描かれている。よく「るるには感情移入できるけど、紅羽にはできない」という感想を見る(し、私もそう思う)が、それは紅羽がどういう人間なのか他のキャラクターに比べて描写されていないからだ。

せっかくなので、6話までの退場キャラについてもまとめておこう(超ネタバレなので万が一未見の方がいたら目を細めて見てください)。
・椿輝澪愛 1話の時点で故人。「クマに食べられた」と言われている。
・泉乃純花 1話で蜜子にクマショック!
・赤江カチューシャ 1話で銀子とるるにクマショック!
・百合川このみ 2話で蜜子にバキューン。
・???(透明な女の子) 2話で蜜子にクマショック!
・百合園蜜子 3話で紅羽にバキューン!(生死はどちらとも取れる描写)
・鬼山江梨子 3話で銀子とるるにクマショック!
・みるん 4話で完全に事故。
ちなみに5話で銀子とるるは針島薫を「ユリ裁判」の後に襲っているが、クマバサミで追い返されている。

6話では、赤江カチューシャが過去の「排除の儀」の議長を務めていたことが描かれていた。
つまり、これまで銀子とるるたちが「ユリ承認」を経て食べていた女の子たちは、全員「排除の儀」のトップ、つまり紅羽を排除しようとしていた女の子の最先鋒なのだ。
「あなたは透明になりますか? それとも人間、食べますか?」
この問いは「透明な嵐」に加わるか、透明な嵐のいちばん目立つところにいる(=紅羽や「スキ」を傷つける)人間を食べるか、の二択のようにも見える。
でも「透明な嵐」が恐ろしいのは、「集団の空気」であるということ。現に銀子とるるが誰を食べようが、代わりに新しい議長が立つだけで、透明な嵐は収まらない……。銀子たちが「食べる」以外の方法で透明な嵐に立ち向かえるのだろうか。

6話の時点で気になることはまだまだあるが、一番気になるのは「スキ」の描かれかただ。紅羽・銀子・るる・純花は4人とも「『スキ』を諦めない」が、抱いている「スキ」はそれぞれ違う。
紅羽は痛々しいほどにまっすぐな「スキ」。
銀子はひとりじめにしたい「スキ」。
るるはキスがもらえなくてもいい「スキ」。
そして純花は隣にいるのが私じゃなくてもいいという「スキ」。
さらに言えば、銀子とるるの2人は「罪グマ」。ただし「クマにとって人を食べるのは罪ではない」ので、もっと違う部分で2人は罪を背負っている。6話の作中に「傲慢は罪」という言葉があったが、それが関係してくるのかもしれない。箱仲ユリーカの「『スキ』は時として私たちを傷つける」という台詞も気になるところだ。

あっという間の折り返し。残り6話、「ユリ熊嵐」は嵐のような「スキ」を見せてくれる。

(青柳美帆子)