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理化学研究所(理研)は2月6日、試験管中で原料を混ぜるだけで高分子を精密に合成する方法を開発したと発表した。

同成果は、同所 創発物性科学研究センター 創発ソフトマター機能研究グループの宮島大吾基礎科学特別研究員、相田卓三グループディレクター(東京大学大学院 工学系研究科 教授)、東京大学大学院 工学系研究科の姜志亨大学院生、大阪大学大学院 工学研究科の井上佳久教授らによるもの。詳細は、米国の科学雑誌「Science」のオンライン版に掲載された。

プラスチックやゴムのような素材は日常生活になくてはならないものである。それらの素材は小さな分子(モノマー)が鎖状につながった高分子(ポリマー)からできており、必要とする機能に合わせて、つなぎ方が精密に制御されている。しかし、ニーズに合わせ多種多様な高分子を作製するには、高度な専門知識と熟練した技術、反応条件を制御できる設備による精密合成が必要である。一方で、1980年代後半に、"温和な条件下で原料を混ぜるだけ"でできる高分子の超分子ポリマーの合成法が報告されているが、この合成法では小分子同士が勝手に連結してしまうため、思い通りの設計が実現できない。

そこで、研究グループは、小分子が持つ2つの連結点をあらかじめ分子内で接着することで環状にし、他の分子と勝手に連結できなくした。そこに、連結反応を促す小分子(連結反応開始剤)を混ぜたところ、鎖状の2量体をつくり、さらに3量体、4量体と連結反応を繰り返し、鎖の長いポリマーに成長した。例えば、連結反応開始剤に対して環状の小分子を1000倍加えれば、1000回の連結反応が繰り返されるので、鎖の長さを一義的に決めることができる。

なお、この高分子の精密合成法は、誰でも、どこでも高分子の精密合成ができる手法である。自由な設計が可能なため新しい高分子材料の開発につながると同時に、製造プロセスを著しく簡素化し、コストの削減が期待できる。また、分子同士が化学結合していないため、簡単な操作で原料まで分解できることから、完璧なリサイクルを実現し環境に影響を与えないことも大きな特徴となっている。今後は、高分子合成の例をどれだけ増やしていけるかが課題であるとコメントしている。

(日野雄太)