ゲーム内で就活も!?(画像はイメージ)

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 アベノミクスにより、失業率は下がりつつあると言われているが、非正規雇用は増え、給与は下がり気味で、まだまだ雇用状況は厳しいようだ。

 そんな中、少し変わった形で仕事を作りだしている人たちがいる。東京都在住のウェブディレクター・有山一郎氏(仮名・36歳)はこのように語る。

「ゲームが趣味で、いくつかのオンラインゲーム(MMO)をやってます。大人数が参加して、ユーザー同士がチャットでやり取りできるんですね。そんな中、知り合った人に仕事を振ったり、あるいは振られたり、なんてしています」

 なんと、オンラインゲームが仕事の発注・受注現場になっているというのだ。もう少し具体的な話を聞いてみよう。

「オンラインゲームをやっていると知り合いができてくる。そして、結構な割合で同業、つまり、プログラマーやエンジニアなどIT系の仕事をしている人が多いんです。私も企業などのホームページを作成したりする際のディレクションをやっているのですが、デザイナーやプログラマーを探してるってゲーム内で言うと、『それ、オレできるよ』『だったらやろうか』なんて話になるわけです」

 オンラインゲームはコミュニケーションツールでもある。意外な事実ではあるが、話を聞けば納得もいく。ただ、いくつかの疑問もある。まずは信用性についてだ。顔を合わせたことのない人物に仕事を依頼・受注することに不安はないのだろうか。

「そもそも、この業界は顔を知らない人間同士が仕事をすることは珍しいことじゃありません。私は東京在住ですが、沖縄在住のプログラマーや長野のコーダー(htmlでサイトを組あげていく人)と仕事をしています。彼らとはいつもメールだけでやり取りしています。ですから、オンラインゲーム上でやり取りするのも、それほど違和感を感じません。むしろ、オンラインゲームはそれぞれキャラクターがいますから、メールより”顔”が見えると考えられなくもない」

 納品した瞬間にばっくれられる、というリスクは?

「オンラインゲーム上で信用できるかどうかを判断するしかないですね。でも、意外とばっくれは生じないんじゃないでしょうか。そんなことをしたら、そのキャラでゲームができなくなってしまいます。こんなに苦労して育てたキャラをそんな簡単に捨てられないでしょう」

ギャラの支払いにあのツール!

 もうひとつの疑問は金銭の授受に関してだ。オンラインゲームでは基本的にお互いの個人情報はわからない。そして、教えることにも危険がある。どうやってギャラを支払い、受け取るのだろう。

「『LINE Pay』です。LINEで友達になっていれば、手数料無料で簡単にお金を振り込めます。逆に『LINE Pay』があるからこそできるモデルかもしれませんね。これがなかったら、こんなことできなかったと思います。LINEも個人情報と言えば個人情報ですが、適当なアイコンとIDだけでは本人の特定は無理。ま、これくらい教えられないようじゃ、こういう仕事はできないですよね」

 もう一人、ゲームのシナリオライターをやっている藤木良成氏(仮名・29歳)も、前出の有山氏と同じ流れで仕事をしているという。

「美少女系のオンラインゲームをやってて、僕自身も美少女系ゲームのシナリオを書いてます。で、ゲーム上の友達にシナリオのアイデアをもらったり、場合によっては書いてもらったりするんです。みんな美少女ゲームマニアですからね。いいアイデアが出るわ出るわ(笑) 友達にとっては小遣い程度のギャラにしかなりませんが、こういうのが好きなヤツって、自分のアイデアが実際のゲームになるということ自体に喜びを感じる。だから、少額でもがんばってやってくれますよ」

 藤木氏は今後、自分のシナリオをもとに、ゲーム内でプログラマーやイラストレーターを見つけ、ゲーム内でゲームを作ってみたいと語る。

 有山氏はそれほどリスクはないと言うが、誰にでも簡単にマネできるようなことではないだろう。こうしたビジネスモデルが増えれば、トラブルも増えるかもしれない。しかし、オンラインゲームやソーシャルゲームがここまで流行ったいま、こうしたゲームがコミュニケーションツールとなり、起業や雇用、仕事の授受に新たな道を切り開く可能性は秘めていそうだ。

(取材・文/蛭子あずま)