昨年末、世界67カ国のがん登録データ(成人)2万5000例超を使って10種類のがんの5年生存率を比較した国際共同研究「CONCORD-2」が報告された。

 各国で2005〜09年に診断された症例の5年生存率を見ると、日本の治療成績の良さが際立っている(ただし、日本のデータは10都道府県の登録データに限られていることに注意)。

 たとえば、胃がんの5年生存率は、英国の18.5%、米国の29.1%、ドイツの31.6%と2〜3割にとどまっているのに対し、日本は54.0%。また同じ胃がん大国の韓国は57.9%、台湾が36.4%、中国は31.3%だった。

 ただ、胃がんは東アジア圏に患者の3分の2が集中し、症例数が少ない欧州と単純比較はできない。治療水準が同程度の肺がんや肝がんの5年生存率はどうだろう。

 肺がんの5年生存率は、米国の18.7%、英国の9.6%など軒並み10〜20%にとどまるのに対し、日本は30.1%でトップ、イスラエルが23.8%でこれに続いた。

 一方、難治がんの代表格、肝がんではいまだ苦戦が続いている。米国の5年生存率は15.2%、EU諸国でも軒並み20%を切っている。それに対し、日本は27.0%。健闘しているといえるだろう。

 増加中の結腸がんは、治療法の進化が奏効してか、米国64.7%、韓国66.0%、日本64.4%と先進国では軒並み6割を超えた。乳がんの5年生存率も着実に改善し、先進国では80%超えが当たり前になりつつある。日本は84.7%だった。

 臓器がんでの日本の奮闘が目立つ一方、成人白血病の5年生存率は18.9%。韓国23.4%、台湾が22.9%だった。欧米先進国の5年生存率が50〜60%であることを考えると、何らかの人種差があるのかもしれない。

 生存率は診断.治療法のみならず、医療機関へのアクセスの良さ、看護.介護力など総合的な医療の質の高さがあって初めて改善される。今回の報告で日本のがん医療の総合力が証明されたといえよう。あとは、その医療資源をいかに効果的に使うか、だけだ。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)