2016 年4月をめどに、家庭向けの電力小売りが自由化される予定だ。購入先を選ぶ基準は、安さか、サービスか、信用力か。消費者は、どういう視点で電力会社を選べばいいのだろうか。すでに検討を始めている人もいる。

 東京都江東区にある52階建てタワーマンションの管理組合理事長を務める副島規正さん(50)は、1年ほど前、マンションの電力供給先を東電から切り替えられないか、検討したことがある。テレビ番組で、一括受電方式により電力会社を切り替えたマンションが、共用部分の電気料金を年間400万円浮かせたと紹介されていたからだ。

 しかし、新電力の何社かに、電気料金を安くする方法はないか問い合わせたが、そうしたサービスはないと断られた。オール電化のマンションは、すでに東電が電気料金を割引しているため、新電力の利益が少ないということだった。結局、あきらめた。副島さんは言う。

「共用部分の電気代は1カ月で約200万、年間だと2500万円もかかります。もっといいサービスを選んでいくことは、常に考えています。ただ、電気は安定供給が第一。大手の資本がしっかり入っていて、価格競争力のあるところを選びたい」

 一括受電方式による電力会社の切り替えで実績を持つのは、NTTファシリティーズ、オリックス、中央電力、JCOM系のIPパワー・システムズの4社がある。

 パナソニックを中心に開発したスマートシティー「フジサワSST」(神奈川県藤沢市)。昨夏からここに住む専業主婦の長田佳代さん(37)は、夫と1歳の長女との3人暮らし。家には太陽光発電パネルと家庭用燃料電池(エネファーム)が装備され、リビングで家の発電状況や電気の使用量が一目でわかる。そんな長田さんが、家庭向け電力の小売り自由化後に電力会社を選ぶ場合の基準は、

「第一に安定性です。わが家はダブル発電で自前の電気がある分、買う電気はできるだけ安定したものを買いたい」

 消費者の視点はさまざまだが、やはり関心事は料金だろう。ただ、自由化されたら必ず安くなるというわけでもなさそうだ。

 火力発電を電源とする場合、燃料費が高騰すれば、発電コストが膨らみ、電気料金を安くする余地が小さくなる。供給する電力を確保できない場合は、どこかから調達する必要がある。工場などには自家発電設備があるが、緊急用ということもあり、安く調達できるとは限らない。

AERA 2015年2月2日号より抜粋