写真左上から時計回りにトゥヘル、ハリルホジッチ、プランデッリ、ライカールト。欧州サッカー界から、現在フリーの新監督候補9人を厳選した。 (C) Getty Images

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 ハビエル・アギーレ監督を解任した日本代表は、3月の親善試合(27日にチュニジア戦、31日にウズベキスタン戦)を経て、6月にはロシア・ワールドカップ・アジア1次予選がスタートと、次期監督探しが急務だ。
 
 日本サッカー協会は3月の試合までに新監督を決めたい意向だが、はたして理想の指揮官は見つかるのか。
 
 ここでは、ヨーロッパのサッカーシーンに目を向け、サッカーダイジェストWebが独断で新監督候補をリストアップ。3月招聘を実現するにはその必要がある現在フリーの立場の指揮官をまずは厳選し、実績、戦術志向、代表チームの指揮経験、W杯での指揮経験、日本人指導歴などを考慮しながら適任者を探った。
 
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ドラガン・ストイコビッチ(49歳/セルビア国籍)
※Jチーム指揮経験あり
※日本人指導歴あり
[過去に率いた主なチーム]
名古屋グランパス
[主な実績]
J1優勝(10年)
 
 現役時代の大半を過ごした名古屋を2008〜13年まで率い、J1優勝1回、ACLベスト4などの功績を残す。
 
 基本戦術はサイドアタック主体の効率を重視したスタイルで、攻守の切り替えの重要性も熟知。ナショナルチームや欧州トップリーグのクラブで指揮を執った経験はないものの、日本サッカーへの造詣が深いメリットは計り知れない。
 
 日本代表がブラジル・ワールドカップで敗退した直後、『サッカーダイジェスト』の独占インタビューに対し、「日本代表監督には非常に興味がある」とコメントしている。
 
ヴァヒド・ハリルホジッチ(62歳/ボスニア・ヘルツェゴビナ国籍)
※代表チーム指揮経験あり
※監督としてW杯出場経験あり
[過去に率いた主なチーム]
コートジボワール代表、アルジェリア代表、リール、パリSG、ディナモ・ザグレブ
[主な実績]
14年W杯ベスト16
フランス・カップ優勝(04年)
クロアチア・リーグ優勝(11年)
 
 ブラジル・ワールドカップでアルジェリア代表を初のグループリーグ突破に導いた智将で、ラウンド・オブ16では同大会の覇者となるドイツ代表を最後まで苦しめた。指導歴は25年近くに及び、リールを率いた2001年にはフランスの年間最優秀監督に輝いている。
 
 テクニックやパスセンスに秀でるうえ、ハードワークを厭わない選手を重用し、攻撃的なサッカーを標榜。もっとも、格上との対戦時には徹底した守備固めを講じるなど、リアリストとしての一面も。規律を重んじる厳格さを併せ持ち、チームの強化のためなら、上層部に忌憚のない意見をぶつけられる。
 
フランク・ライカールト(52歳/オランダ国籍)
※代表チーム指揮経験あり
[過去に率いた主なチーム]
オランダ代表、バルセロナ、サウジアラビア代表
[主な実績]
EURO2000ベスト4
CL優勝(06年)
リーガ・エスパニョーラ優勝(05年、06年)
 
 バルセロナで一時代を築いた2000年代中期をピークに、その後のキャリアは下り坂を辿った。ガラタサライを経て、サウジアラビア代表の監督に就くも任期途中の13年1月に契約解除。翌年には監督業からのセミリタイアを宣言し、現在はフロリダ州のモントバード・アカデミーで大使と選手育成アドバイザーを務める。
 
 もっとも、今年1月にはスペイン紙がバルセロナの次期監督候補として名前を挙げるなど、その動向は注目されている。
 
 オランダ流のトータルフットボールとは無縁で、アタッカーの守備免除やボランチをマンマーカーとして採用するなど、選手個々に明確な役割を与えるタイプの指揮官だ。
フェリックス・マガト(61歳/ドイツ国籍)
※日本人指導歴あり
[過去に率いた主なチーム]
シュツットガルト、バイエルン、ヴォルフスブルク、シャルケ、フルアム
[主な実績]
ブンデスリーガ優勝3回(05年、06年、09年)
 
 言わずと知れた「鬼軍曹」だ。選手を徹底的に鍛え上げる軍隊さながらの筋力トレーニングを課すだけでなく、アクロバチックなプレーに走った選手を叱責するなど、独自の規律順守を徹底させる。
 
 基本戦術はサイドアタックやロングボール重視で、昨今の日本代表が志向してきたスタイルとは一線を画する。
 
 近年はパッとしないものの、3度のブンデスリーガ制覇など実績は確かで、なにより興味深いのは日本人プレーヤーを高く買っていること。長谷部誠や大久保嘉人、内田篤人をドイツに呼び寄せた監督として有名だ。
 
チェーザレ・プランデッリ(57歳/イタリア国籍)
※代表チーム指揮経験あり
※監督としてW杯出場経験あり
※日本人指導歴あり
[過去に率いた主なチーム]
イタリア代表、パルマ、ローマ、フィオレンティーナ、ガラタサライ
[主な実績]
EURO2012準優勝
 
 最大の実績はEURO2012での決勝進出。カテナッチョが根付いていたアッズーリ(イタリア代表の愛称)をポゼッション型の攻撃的なチームに変貌させ、決して高くなかった前評判を覆した。
 
 もっとも、2年後のブラジル・ワールドカップでベスト16進出を逃し、自身初の国外挑戦となったガラタサライでは成績不振で早期解任と、ここにきて評価は下降中だ。
 
 02年夏から2シーズンに渡って指揮を執ったパルマ時代に、当時トップ下の中田英寿を3トップの右にコンバートして話題に。
 
ベルト・ファン・マルバイク(62歳/オランダ国籍)
※代表チーム指揮経験あり
※監督としてW杯出場経験あり
※日本人指導歴あり
[過去に率いた主なチーム]
オランダ代表、ドルトムント、フェイエノールト、ハンブルク
[主な実績]
12年W杯準優勝
UEFAカップ優勝(02年)
 
 小野伸二(現コンサドーレ札幌)らを擁したフェイエノールトで、2001-02シーズンにUEFAカップ制覇の快挙を達成。母国オランダの代表監督として臨んだ南アフリカ・ワールドカップでは、周囲の期待を上回る決勝進出を果たしている。
 
 ただし、ハンブルクで半年と持たずに解任(14年2月)されるなど、最近は目ぼしい成果を挙げられていない。
 
 志向するのはオランダ伝統の美しいサッカーではなく、攻守のバランスを重視したソリッドなサッカー。システムは近年の日本代表と同様の4-2-3-1をよく用いる。昨夏には大韓サッカー協会が招聘に動いていた。
ズデネク・ゼーマン(67歳/チェコ国籍)
[過去に率いた主なチーム]
ラツィオ、ローマ、レッドスター
[主な実績]
セリエB優勝(91年、12年)
 
 超が付くほどのアタッキングフットボールの信奉者で、4-3-3システムがいわば代名詞。約30年に渡り、守備大国のイタリアで異彩を放ってきた実績は伊達ではなく、元ヴァンフォーレ甲府監督の大木武氏など、この鬼才を「師」と仰ぐ同業者は少なくない。
 
 徹底するのはハイライン・ハイプレスの意識で、ボール奪取後は縦に速く攻め込む。スタミナの激しい消費に伴う安定感の欠如に加え、失点のリスクがとにかく大きいのがゼーマン流サッカー最大のデメリットだ。
 
 高確率で得点力の向上をもたらせる指導者ながら、戦術的なトレーニングの時間が限られる代表チームには不向きとの見方も。
 
ルチアーノ・スパレッティ(55歳/イタリア国籍)
※日本人指導歴あり
[過去に率いた主なチーム]
ローマ、ゼニト
[主な実績]
コッパ・イタリア優勝(07年、08年)
ロシア・リーグ優勝(10年、12年)
 
 最前線に典型的なCFを起用しない「ゼロトップ・システム」の始祖。イタリア人の指導者らしい緻密な戦術構築に定評があり、アタッキングサッカーの担い手、そして、高いプロ意識の持ち主としても知られる。
 
 欧州メガクラブやナショナルチームで指揮を執った経験は皆無だが、コッパ・イタリア優勝2回やロシア・リーグ優勝2回などの実績を誇り、勝者のメンタリティを宿している。
 
 かつてヴェネツィアで名波浩を指導。ゼニト監督時代(2010〜14年)は当時CSKAモスクワの本田圭佑に何度か苦杯を舐めさせられた。
 
トーマス・トゥヘル(41歳/ドイツ国籍)
※日本人指導歴あり
[過去に率いた主なチーム]
マインツ
[主な実績]
ブンデスリーガ5位(11年)
 
 現在は休養中ながら、かつてドイツ代表のヨアヒム・レーブ監督が後継者候補に挙げた青年監督。みずからの眼鏡にかなった選手のポテンシャルを最大限に引き出す術を熟知しており、35歳の若さで指揮官に抜擢されたマインツでは、アンドレ・シュールレ(現ヴォルフスブルク)や岡崎慎司を飛躍させた。
 
 選手起用はコンディション重視で、対戦相手や試合状況に応じて、システムを柔軟に変える臨機応変な采配が持ち味。ポゼッション型ではなく、激しい運動量が必須のアグレッシブなプレッシングサッカーを志向する。
 
文:遠藤孝輔