オリヴェイラには代表監督の経験がないが、鹿島での実績のみならず、2000年にはコリンチャンスを率いてクラブ世界一を経験している。両者ともに安定した期待値は望めるだろう。
 
だが日本の現状を考えると、良い意味で最も大きなサプライズの可能性を秘めるのが、C大阪で次々に若い選手を引き上げ、攻撃的なスタイルでJリーグを盛り上げたレヴィー・クルピかもしれない。
 
 今回のアジアカップでは、新陳代謝を進めたオーストラリアが優勝し、ユース年代から実績を積み上げて来た若いUAEが日本を下した。対照的に日本は、岡田監督時代から主力の顔ぶれが固まる一方で、すべてのカテゴリーの代表がベスト4進出を逃し、若手の押し上げが弱い。このままでは3年後のワールドカップでの好成績どころか、出場が危ぶまれる事態も考えられる。
 
 だからこそ今、日本代表に最も必要なのは、新しい才能を見極める眼と、それを大胆に抜擢する度量なのだと思う。最初にC大阪の監督に就任した時、香川真司はボランチの控えでベンチ入りも難しかったのだ。継続と実験のバランスを取りながら、閉塞気味の代表を再び活性化させるには、最適任ではないかと思う。

文:加部 究(スポーツライター)