日韓関係を悪くした責任はどっち?

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 韓国で、同じ与党(セヌリ党)に属する朴槿恵李明博の新旧大統領とその側近たちが、ふたつの陣営に分かれて神経戦を展開している。きっかけとなったのは、李氏が2月2日に出版した回顧録『大統領の時間』だ。

 李氏はこの中で、「北朝鮮が水面下で何度も南北首脳会談を提案してきたが、これを蹴った」「独島(竹島)には大統領の就任前から上陸しようと思っていた」などのエピソードを自ら暴露している。

 これに対し、朴大統領の側近である青瓦台(大統領府)高官は、「(そのような暴露が)国益につながるか憂慮される」という趣旨で批判を展開。すると、李氏の側近が「朴槿恵政権が(外交を)よく分かっていないようだから(李氏は書いたのだ)」として現職大統領を揶揄するなど、角逐を繰り広げているのだ。

 朴大統領と李氏はもともと、「100年の宿敵」と言われてきた。両者が最初に激突したのは、2007年に行われた大統領予備選でのこと。朴陣営は李氏の「カネの問題」をネタに、李陣営は朴氏の私生活を材料に、激しいネガティブキャンペーンを行ったのである。

 その後も、李氏の在任中に政策を巡ってバトルが起きており、今回はいわば「3回戦」となる。それにしても何故、この時期なのだろうか? 韓国人ジャーナリストが語る。

「日韓は今年で国交正常化50周年を迎えます。そのことが、2人をナーバスにしている可能性がある。周知の通り、現在の日韓関係は最悪の状態にありますが、『そもそも何故こうなってしまったのか』という問題が、そろそろ検証される可能性がある。そこで自分がヤリ玉に上がるのではないかと、2人とも気にしているのです」

李前大統領「従軍慰安婦問題も解決寸前だった」

 たしかに、日韓関係の悪化は過去の歴史問題が根っこにあるとしても、直接的なきっかけは、李氏と朴大統領の振る舞いにあると言えなくもない。

 日本に住む韓国人ビジネスマンが言う。

「2012年8月に李氏が独島(竹島)に上陸したニュースを見た時、正直なところ『やってくれたな』と思いましたね。当時の彼は任期切れの半年前で、完全にレイムダッグ化していた。上陸が人気取りのための行動だったのは明らかです。そんなことで商売の邪魔をされてはたまりませんよ」

 翌年、そんな李氏と入れ替わりに政権の座についた朴大統領に対しては当初、日韓関係改善を期待する声も多かった。父親である朴正熙元大統領が、日韓国交正常化を成し遂げた立役者だったためだ。ところが現実は、まるで逆の方向に転がっている。

「朴大統領の日本に対する強硬姿勢は、まさに父親の存在によるものかもしれません。従軍慰安婦問題がいまに至るも両国関係の課題として残っているのは、国交正常化のときの対応を誤ったためでもある。そのことを蒸し返されるのは、朴大統領にとってかなりの負担でしょう」(前出のジャーナリスト)

 ちなみに李氏は回顧録の中で、「自分の在任中には従軍慰安婦問題も解決寸前まで行った」という趣旨のことも述べている。これがまた、朴大統領を刺激している側面もあるだろう。

 いずれにしても、そうしたいがみ合いは内輪に収め、関係のない国民や日本人まで巻き込まないでもらいたいものだ。

(取材・文/承山京一)