「いい男に抱かれたい」願望が全開に!? “プロレス女子”急増のワケ
 昨年から話題になっている“プロレス女子”。30、40代を中心に、プロレス好きの女性が急増しているという。……なぜ?「イケメンレスラーが増えたから」「ストレス発散できるから」。それは、プロレスでないといけないのだろうか? プロレスや格闘技をろくに観たことがないので、魅力がさっぱり分からない。

 プロレスの魅力を探るべく、1月17日、草プロレス&学生プロレス情報番組『MID NIGHT MAIN EVENT』主催のイベントへ行ってきた。

 ……が、魅力を探るどころではなくなってしまった。この日を境に、「わが人生、プロレス!」になってしまった。これはスポーツ音痴のアラサー女が、瞬く間にプロレスという非日常の世界に魅了されていった軌跡である。

◆人形とも戦えるプロレス!

 イベント前、トークショーに登壇される柳澤健さんとプチ鹿島さんに話を聞くことができた。柳澤健さんは、『1964年のジャイアント馬場』などのプロレス・ドキュメンタリーで著名なノンフィクション作家。プチ鹿島さんは、『教養としてのプロレス』を出版した時事芸人だ。

 プロレス素人のわたしが、いきなりビッグなお二人に「プロレスとは何か?」を問う形となった。

――プロレスを観たこともないのですが……。何から始めたらよいでしょうか?

柳澤健:まず、『リアル』13巻を読みましょう。『SLAM DUNK』の井上雄彦さんが描いている、車いすバスケ漫画です。『リアル』13巻は、一冊丸ごとプロレスの話なんです。「プロレスにとってカッコいいとは、どういうことか?」が分かるので、そこから入るといいですよ。

プチ鹿島:僕も13巻だけ、買いました。

柳澤健:次に、「飯伏幸太VSヨシヒコ戦」をYouTubeで観てください。ヨシヒコというのは人形なんですが、感動します。『リアル』13巻とヨシヒコ。この二つでなるほどと思ったら、新日本プロレスかDDTを観戦に行って、プチ鹿島さんの本を読んで、それで一丁上がりです。

⇒【YouTube】【究極】これぞプロレス! 飯伏幸太vsヨシヒコ(人形)驚異の身体能力と極上のエンターテインメントを見よ! http://youtu.be/yC4Q3LjFH1g

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(人形と戦う試合って、感動するの?)と不思議に思ったが、イベントが終わってから「飯伏幸太 VSヨシヒコ戦」をYouTubeで観て衝撃を受けた。……すごい! すごい! これがプロレスなんだ! もちろん、人形であるヨシヒコは生きてはいない。つまり、ヨシヒコが自ら戦っているわけではない。飯伏選手が“ヨシヒコが戦っているように見える動き”をして、試合が成り立っているのだ。……すごい! こんなことが出来るだなんて!

『リアル』13巻。車いすになったプロレスラー・白鳥が、再びリングに上がる。しかし白鳥は立つことが出来ない。それでも試合は進んでいく。会場は大盛り上がり。観客は白鳥が立てないことに、全く気づかない。なぜか? 相手のレスラーが、“そういう動き”をしているからだ。

 自分をどう見せるかではなく、“相手をどう見せるか”を考え尽くした動き。――これを知ったら、もう引き返せない。どっぷりハマるしかないと思った。

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◆プロレス観戦=ディズニーランド?

――「プロレス女子」は実際に増えているのでしょうか?

プチ鹿島:一人でプロレスを観に来ている女性もいますし、デートで来るカップルもいますし、言ってみればテーマパーク的な楽しさで溢れています。プロレスの会場へ行くというのが、ディズニーランドへ行くのと同じ発想の女性が増えているんですよ。

柳澤健:イケメン選手を見に来る人も多いです。新日本プロレスだと、棚橋弘至とか中邑真輔とか。入口としていいと思いますよ。

プチ鹿島:若い選手が主役になってきて、お客さんも若い女性が増えて、それでプロレスがV字回復したと言われていますから。棚橋選手なんて、「プロレスを知らない人に向けてやっている」とおっしゃっていますし。

柳澤健:私はいわゆる「昭和プロレス」というやつで、ジャイアント馬場とかアントニオ猪木について書いているんですけど。そこまで遡って調べる必要はないと思います。

プチ鹿島:今のプロレスは女性も楽しめますから。

――アラサー、アラフォー女性がプロレスにハマる理由とは?

柳澤健:もともと、アメリカのプロレスは“いい男を買う”というのがあったんですよ。お金持ちのおばさんが歌舞伎役者を買う、“役者買い”みたいなものです。「いい男に抱かれたい」という女性の秘めた欲望が、プロレスで「ギャー!」と全開になるんでしょうね。

プチ鹿島:柳澤さんの著書によればアメリカの初期のプロレスは、主婦が夢中になっていたというんです。昔は、女性たちがプロレスを支えていたんですよ。今、韓流スターにハマるのと同じだと思います。

柳澤健:そうそう、同じです。韓流ドラマって、ヨン様とかが歯の浮くような台詞を言うわけですよね。それがプロレスだと、ガタイが良くてカッコいい男が飛んだり跳ねたりして、女性は「おー!」「あの筋肉イイ!」みたいなね。

プチ鹿島:韓流にハマった世代の人が今はプロレスを楽しんでいる場合もあるし、会場に行くと韓流を通過してない20代の女性も目立ちます。幅広いです。

⇒【後編】「セーラー服で恍惚…“プロレス女子”急増のワケ」に続く http://joshi-spa.jp/190262

<取材・文・撮影/尾崎ムギ子>

●柳澤健・著『1976年のアントニオ猪木』(文藝春秋)『1964年のジャイアント馬場』(双葉社)……昭和プロレスファンのバイブルとも言うべき名著。プロレスのすべてが詰まった珠玉のドキュメンタリー
●プチ鹿島・著『教養としてのプロレス』 (双葉社)……“プロレス脳”はあらゆるところで応用できる。AKB、半沢直樹、SNS――プロレスを知らない人でも目から鱗が落ちる実践的思想書