中国メディアの騰訊財経は3日トマ・ピケティ氏がこのほど、金融政策だけでデフレを阻止することはできないと主張、欧州は日本の教訓を汲み取るべきだと論じたことを紹介した。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国メディアの騰訊財経は3日、世界的ベストセラー「21世紀の資本」の著者であるフランス人経済学者のトマ・ピケティ(Thomas Piketty)氏がこのほど、金融政策だけでデフレを阻止することはできないと主張し、欧州は日本の教訓を汲み取るべきだと論じたことを紹介した。

 記事は、ピケティ氏がこのほどインタビューに対し、「日本から汲み取る事ができる教訓は、紙幣の印刷だけでは足りないということ」と述べたことを伝えた。さらに、紙幣の印刷を通じて株価や不動産価格のバブルを引き起こすことはできるとしつつも、「バブルが消費を刺激し、物価上昇や経済成長に必ずつながるわけではない」と論じたことを紹介した。

  欧州連合(EU)統計局が1月30日に発表した1月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)速報値は、前年比0.6%の低下だった。欧州中央銀行はこれより前、1兆1000億ユーロ(約146兆円)の資産を購入プログラムを発表したが、ピケティ氏は日本記者クラブでの講演で、「欧州経済の成長率が低いのは多くの緊縮措置を行ったから」と指摘したことを紹介。

 さらに、財政赤字を減らそうとする速度があまりに速く、経済成長を犠牲にしていると論じたことを伝え、EUが直面している問題はデフレ期に遭った日本と似ていると主張したことを伝えた。

 続けて、ピケティ氏の発言として、「日本銀行は国債の買い入れを通じた金融緩和を行っており、円安によって一部の輸出企業の利益が増え、株価も上昇した」と指摘したうえで、金融緩和と消費増税によって日本国民の生活コストは収入の伸びを上回り、経済成長を圧迫していると指摘したことを紹介した。

 また記事は、安倍首相が「ピケティ氏が提案している富裕層への資産課税強化は難しい」と述べたことを紹介しつつも、ピケティ氏が「日本が率先して富裕層への資産課税強化を行っても良い」と指摘したことを伝え、消費増税は日本の不平等を是正するうえでは良い方法ではないと論じたことを紹介した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)