昨季の全米オープンで準優勝し、ATP(男子プロテニス協会)世界ランキング5位まで浮上した錦織圭(25歳)。

今季のグランドスラム初戦となった全豪オープンでは、準々決勝で昨季王者のスタン・ワウリンカ(スイス、同4位)に0−3のストレート負け。悲願の4大大会初制覇はならなかった。

とはいえ、4回戦までは世界ランク5位にふさわしい試合内容を見せ、現地で取材する各国ベテラン記者からは称賛の声が聞かれた。

米『ニューヨーク・タイムズ』紙でグランドスラムの取材を続けるベン・ローゼンバーグ記者はこう話す。

「残念ながら、ケイの全豪はベスト8で終わってしまったが、(相手の)ワウリンカがよすぎたともいえる。それまでのケイを見れば、勝つべき試合をラクに勝つなど、昨季と比べても確かな成長がうかがえた。試合前はケイがベスト4にいくと思っていたけど、今回は運がなかったね」

さらに、錦織の長所についてこう続ける。

「スピードがあるだけじゃなく、なんといってもすごいのはショット・メイキング。フォアハンド、ドロップショット、そして最大の魅力はバックハンドでコース、スピード、安定感のどれをとっても素晴らしい」

一方、英『スコットランド・オン・サンデー』紙の特派員で、長年テニスを取材し続ける女性記者のアリックス・ラムジー氏は、錦織のスピードと賢いプレーぶりを高く評価する。

「彼のコートを動き回るスピードと、コーチのマイケル・チャン直伝のコート・クラフト(コートでの賢さ)には驚かされるわ。器用というか、フィジカルで上回る格上の相手に対してもチャレンジできる頭脳があるのよ。全豪はベスト8止まりだったけど、この先どこまで成長するか楽しみだわ」

もちろん、こうした称賛には日本メディア向けに多少のリップサービスも含まれているかもしれない。

ただ、昨季の全米オープン中に錦織が残した「もう勝てない相手はいない」という発言に対してのコメントを求めても、それを否定する理由はないという見方が多かった。

「実際、トップ5まできたわけだし無理な理由はない。(今回敗れた)ワウリンカのほか、現在爍涯瓩箸気譴襯離丱・ジョコビッチ、ロジャー・フェデラー、ラファエル・ナダルはみんなケイよりも年上の選手たち。上位陣の若手で先頭を走るのがケイだ。

僕は、次に初めてグランドスラムで勝つのはケイの可能性が高いと思っているし、それは今年中かもしれない」(前出・ローゼンバーグ記者)

もちろん、課題がないわけではない。

「トップ選手にしては身長178僂半柄な上に、サーブよりストロークが得意なケイのプレースタイルは、どうしても体に負担がかかるように見えるの。そのせいで、これまで何度もケガに悩まされてきているでしょ。今後はケガの多さをどう克服するか、そこに注目しているわ」(前出・ラムジー記者)

今季の残るグランドスラムは全仏、全英、全米の3つだが、果たして、昨季の全米を超える偉業はなるか。今後も目が離せない。

(取材・文/栗原正夫)