インフルエンザや流行性胃腸炎などのウイルスが猛威を奮うこの季節。市場にはウイルス対策として二酸化塩素による除菌を謳った製品が目立つ。国民生活センターは2010年にこうした商品に対して、日常生活の中で消費者が適切に使用できるよう商品の安全性と有効性について十分に検証をするようメーカー側に要望を出した経緯があるが、そもそも学術的には二酸化塩素とはどういうものなのか、調べてみた。

日本二酸化塩素工業会などによると、まずは化学物質としての二酸化塩素は、常温常圧では反応性の高い黄色い気体状の化合物とのこと。物質の最小の構成素である原子の中心にある原子核だが、通常2個ずつ持っている電子が奇数しかない“フリーラジカル”と呼ばれる原子の一種である。

一方、電子というのはもともと対になって安定するため、他から電子を1個奪うか、自分の電子を1個与えて、安定化しようとする性質がある。このためにフリーラジカルというのは、非常に反応性が強く、脂質やたんぱく質を攻撃するとされている。

しかし一方で、同じ原理で二酸化塩素は酸化剤として、ウイルスや細菌、真菌のタンパク質や悪臭物質を酸化修飾し、ウイルス除去や除菌、消臭作用を発揮するとも言われている。このメカニズムを構造学的に解明したのが日本の製薬メーカーの大幸薬品で、その成果を米国の生化学専門誌「Biochemistry」に発表している。

このように二酸化塩素の除菌やアレル物質分解効果は学術的に認められているものの、気になるのは人体への影響。二酸化塩素は、日本においては水道法により水道水の消毒殺菌や、厚生労働省により小麦粉の漂白処理剤(食品添加物)として認められている。しかし、二酸化塩素の安全性は経口摂取では確認されているものの、空間における長期間低濃度条件においての検証はまだ十分ではないようだ。

これに対し日本二酸化塩素工業会は、2014年3月に「二酸化塩素の自主運営基準設定のための評価について―ガス製品―」で、二酸化塩素を用いた空間除菌用一般商品についての安全基性を、室内濃度指針値として0.01ppmに設定。ただし、この指針値は同工業会に加盟する各社が製品を製造販売する際の濃度の目安であり、かつヒトがその濃度の空気を一生涯にわたって摂取しても、健康への有害な影響は受けないであろうと判断される定常状態における濃度水準を示したものであり、最大許容濃度や二酸化塩素ガスの有効濃度を示したものではないと説明している。

次回は、この二酸化塩素を用いた製品「クレベリン」を販売している大幸薬品の担当者に色々話しを聞いていきたいと思う。

(神野恵美)